ルーション〜Roussillon〜

ルーション地方のワイン

ルーション風景ペルピニャン

ルーション〜Roussillon〜

ルーション(ルシオン)は、ラングドック&ルーションとひとまとめにされてしまうワイン産地ですが、文化圏的には違います。名前の由来はペルピニャン近郊の軍事要塞のルシノからきています。

南西地方のフランス領バスクと同じく、ルーションもスペインのカタルーニャ地方と一緒に考えた方が自然です。もともとカタルーニャ君主国に属していた地域です。

中心の都市はペルピニャン。スペイン側のカタルーニャ州にはバルセロナがあります。世界一予約の取れないレストラン、と呼ばれていたエル・ブリがあったのもカタルーニャ州です(バルセロナから車で2時間くらいのロザスの辺り)

ルーション風景ペルピニャン

ルーション地方とカタルーニャの歴史

ルーション風景ペルピニャン マジョルク王宮

ルーションを含むカタルーニャは、南仏の他のエリア同様、ギリシャ人の植民地となり(それ以前にケルト人が様々な文化を伝えた時代がありますが)、その後ローマ帝国(共和制ローマ)に征服されていきます。

ローマ帝国は、現在のタラゴンであるタラコや現在のバルセロナであるバルキノを建設。イベリア半島の北側はローマ化が進んでいきます。

ローマ帝国の分裂、弱体化に伴い、5c後半から西ゴート族がカタルーニャを含むイベリア半島を占領していき、589年にイベリア半島は統一されます。

711年にイベリア半島に侵入しやイスラム教徒がカタルーニャを征服。カタルーニャ北部は9c初頭頃にフランク王国領となりますが、南部は12c半ばまでイスラム教徒の支配下でした。

フランク王国のカール大帝は、イスラム教徒に対する備えとしてスペイン辺境領を設置します。

スペイン辺境領は、ルーションを含むいくつかの伯領に分かれていて、少しづつ領土を拡大し、バルセロナなども領土としました。

この拡大したスペイン辺境領から後に、ナバラ王国や、カタルーニャ君主国、アラゴン王国が生まれています。現在、フランスとスペインの間にある小さな国、アンドラ公国もスペイン辺境領の一部であるウルジェイ伯領がもともとの起源です。

フランク王国から分離し、明確にカタルーニャの領土が出来たのは988年のことです。

1137年には、先に分離していたアラゴン王国との同盟連合が成立します(アラゴン・カタルーニャ連合王国)

イベリア半島で最も強大な国になったアラゴン・カタルーニャ連合王国は、地中海にも勢力を伸ばし、地中海一帯を支配することとなります(ナポリ王国なども征服)

1479年にはカタルーニャ・アラゴンの王位継承者であるフェルナンド2世と、カスティーリャ王国の継承者であるイサベル1世の結婚により、カスティーリャとアラゴンの統一されました(スペインの国家統一)

それによりカタルーニャは独自性を奪われることとなります。

16〜17cにはカタルーニャは少しづつ衰退し、フランス・スペイン戦争後の1659年、ピレネー条約で北カタルーニャ(ルーション )はフランスへ割譲されました。

その後もカタルーニャの独自の文化は保たれています。今でもカタルーニャ語を話す方も多く、フランスというよりカタルーニャと言った方が自然な地域です。

スペイン自体、いくつかの国の集合のような国で、各地で大なり小なり独立運動が行われていますが、カタルーニャはその中でも独立の機運が特に高まっている地域です。2017年には独立宣言を行なっていますが、スペインからは無効を宣言され、どの国からも独立を認められていないのが現状です。

北カタルーニャとも呼ばれるルーション地方はスペインのカタルーニャ州ほどは独立に向けての流れが強くないように思いますが、カタルーニャ人としてのアイデンティティは大切にされています。

カタルーニャ州のワイン産地

スペインのカタルーニャ州のワイン産地の説明も軽く書きます。カタルーニャ州には11のDO(原産地呼称)が認められています。特に知られているのはペネデスとプリオラートです。

ペネデスは地中海沿いのエリアで、全体として石灰岩ではありますが海沿いの低地の方が岩っぽいワインが生まれます。スペインの他の地域と比べて降水量が多いのも特徴です。

またカヴァ(カバ)もDOの1つですが、カヴァは地域の名称ではなく、スペインのシャンパーニュ製法で造られるスパークリングワインで、カスペイン全土で認められている地域があるDOですが、ほとんどはペネデスで生産されています。

カヴァのぶどう品種はマカベオ、パレリャーダ、チャレッロが基本です。ほとんどが白のスパークリングワインですが、黒ぶどうを加えてロゼを造る場合もあります。カヴァは色々な地域で造られているため、他のDOのようにその土地の個性を示すものではない不思議なDOです。元々はチャンパンと呼ばれていましたが、シャンパーニュ地方からの抗議により、カタルーニャ語で洞窟を意味するカヴァと呼ばれるようになりました。

チャレッロやパレリャーダはフローラルで華やかな香りの品種でその香り高さがカヴァの特徴です。以前は、割と熟成感のあるカヴァが多く見られましたが、現在のカヴァはさらっとして飲みやすく、シャンパーニュとは同じ製法とはいえ随分と違う方向にあります。

プリオラートは原産地呼称制度の最高位のDOCa(特選原産地呼称)に認定されています。ペネデスの南西、もう少し内陸に位置する産地です。

ぶどう栽培自体は12c頃から行われていましたが、品質とは無縁の地域で近年になり注目を集めるようになりました。DOCaに認定されたのは2009年です(DOには早い段階で認められている)

ぶどう品種は伝統品種のガルナッチャ・ティンタやガルナッチャ・ペルーダ、カリニェナにカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シラーなどをブレンドするスタイルで、現代的な製法を用い新しいタイプのスペインワインとして脚光を浴びました(品種構成を見るとラングドックのカバルデスやマルペールのようですね。プリオラートには白ワインもありますが、白は土着品種)

リコレリャと呼ばれる褐色のスレート土壌から硬質でしなやかなワインが生まれます。

ルーション地方のぶどう品種

ルーションで栽培されているぶどう品種自体はラングドックやコート・デュ・ローヌ南部と同じく赤ワインだとグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなどです。全体的にラングドックよりグルナッシュ比率が高いように思います。

白ワインはグルナッシュ・ブランやヴェルメンティーノ、マカブーなどのブレンドです。ですが後述するコート・デュ・ルーションのアペラシオンでは白ワインを造れるとはいえ、コート・デュ・ルーション・ヴィラージュでは赤ワインのみですし、一部のアペラシオンや酒精強化ワイン以外は赤ワインのみの規定となっています。コート・デュ・ローヌ南部と同じく赤ワインが主なワイン産地です(味わいもどこに近いかというとコート・デュ・ローヌ南部)

ルーション地方のワイン生産地域〜コート・デュ・ルーションとコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ〜

クリュが細かく分かれているラングドックと違い、ルーションはほとんどのエリアがコート・デュ・ルーションとなります(あとはI.G.P.のコート・カタラン〜Cotes Catalanes〜など)エリアが広く、特徴がわかりずらい産地です。

ラングドックと共通の品種とは言え、全体的にはラングドックほど硬くはなく、柔らかく厚みのあるワインを生みます。とは言えコート・デュ・ローヌ南部よりは硬く、また村名付きのコート・デュ・ルーション・ヴィラージュなど良い産地になるほどかっちりします。

村名付きのコート・デュ・ルーション・ヴィラージュはコート・デュ・ルーション・ヴィラージュの中でも格上のいくつかのエリアで、果実味が豊かでタンニンの強いカラマニー、 カチッと抜けがいいトータヴェル、さらっとしたレスケルドなどがあります。

コート・デュ・ルーションの詳しい紹介はこちらからどうぞ。

ルーション地方の酒精強化ワイン

ルーションを語る上で忘れてはならないのが酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)です

ルーションは酒精強化ワイン発祥の地でもあります。モーリー、リブザルト、バニュルスのV.D.N.(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)は有名ですね。甘口が多いですが、辛口のセックもありますし、酸化熟成させたランシオもルーションのものは美味しいです。探せば古いヴィンテージのものも結構見つかります。1940年とかが普通に売られていて値段もそこまでではないのはすごいですね。

ルーションの酒精強化ワインの各生産地域の詳しい紹介はこちらからどうぞ。

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