アルザス〜Alsace〜

アルザス地方のワインの特徴

アルザス

アルザス〜Alsace〜

アルザスはフランス北東部に位置するワイン産地で、ドイツに隣接したエリアです。品種もドイツと共通するものが多く、同じ尺度で語られることが多いですね。また他の産地と比べて様々な土壌があるのも特徴で、品種と土壌の組み合わせから様々な味わいのワインが生まれるのがアルザスの魅力です。

そして、アルザスは街並みがとても可愛いです。ストラスブールは都会ですが、コルマールや、それよりもっと小さな町は、おとぎ話の世界のような可愛い家が並んでいて、散歩しているだけでも楽しいです(女性は特に楽しいのでは?)

ヴォージュ山脈の東側にぶどう畑は広がり、その中心には、アルザスワイン街道と呼ばれる美しい街道が走っています。街道沿いには可愛らしい村が並び、全部で100を超えます。

アルザスの村

アルザスの歴史

アルザスは歴史的にはフランスとドイツの争いの間で翻弄されてきました。両国が所有権を争い、フランス領になったりドイツ領になったりを繰り返した地域です。戦火に焼かれながらも、独自の文化を守り続けたのがアルザスです。

現在は戦争の悲惨さを表に出すこともなく、フランスの他の地域と比べても随分と明るくフレンドリーな方が多い印象を持ちます。

ぶどう栽培は、ローマ軍が2c頃から始まっています。7c初頭にはアルザスという言葉はあったようです。15cにはアルザスは繁栄のピークを迎え、17c初頭の三十年戦争後に神聖ローマ帝国からフランスへ割譲、飢饉やペストなども伴い、国土は荒廃します。

19cの普仏戦争でドイツ領となり、第一次大戦後にフランス領、第二次世界大戦のフランス降伏でドイツ領、ドイツ降伏で再びフランス領となり、現在に至ります。

アルザスワインのスタイルとぶどう品種

アルザス畑マンブール

アルザスワインというと、白ワインが主体で、まずフルーティで少し甘い味わいのリースリングがあげられることが多いですが(もちろんそういうスタイルのリースリングも多いですが)、それはアルザスワインの一部でしかありません。基本ですらないと思います。

リースリングの本質は、カチッとしてまっすぐ整った形にあると思います。決して飲みやすい品種ではないです(それを甘くて飲みやすいワインだという印象にまで、出来ているのは凄いことだと思います)

親しみやすさというよりは高貴さのある品種です。

リースリングの他にもゲヴェルツトラミネール、ピノグリ、ピノブラン、ミュスカ 、シルヴァネールが基本品種としてあり(他にももう少しありますが)、伝統的には混醸されていました。多く栽培されていた品種はピノブランとシルヴァネールのようです(現在はグランクリュを名乗れない二品種)

現代においては、品種がブレンドされたワインは、価格帯が安いエデルツヴィッカーやジョンティとして存在しますが、単一品種のワインが主流となっています(ラベルに品種名を書くスタイルですしね)

ですが、ブレンドしたワインならではの魅力もありますので、いい場所で栽培されたぶどうを使った混醸ワインが増えてきたら面白そうです(徐々に増えているとか?)

他にも少量ですが、シャスラがあったり、ハイリゲンシュタイン村ではクレヴネル(サヴァニャン・ロゼまたはトラミネール)を使った、クレヴネル・ド・ハイリゲンシュタイン〜Klevener de Heiligenstein〜というワインもあります(トラミネールは南チロルのトラミン原産と言われていますが、違うという話もあります)

ゲヴェルツトラミネールは、トラミネールの選抜品種群です。クレヴネルは硬さのない優しい質感で、あらゆる要素がゲヴェルツトラミネールより弱いですが、そこが魅力です。多少しつこいゲヴェルツトラミネールもありますよね。クレヴネルは飲みやすいです。

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アルザスのワイン生産地域

アルザスは北のエリアのバ=ラン〜Bas-Rhin〜と南のエリアの〜Haut-Rhin〜に大きく分けられます。日本に入ってきているアルザスワインはオー=ランのものがかなり多く、バ=ランのワインは極端に少ないです。オー=ランの方がクオリティが高いとは、よく聞く言葉ですが、そんなことはなく、バ=ランにもたくさんの質の高いワインがあります。バ=ランはより冷涼でかっこいい味がします。

アルザス・グランクリュ〜Alsace Grand Cru〜

アルザスグランクリュヴァインバックシュロスベルグ

そして一番探求しがいのあるアルザス・グランクリュ。品種はリースリング、ゲヴェルツトラミネル、ピノグリ、ミュスカの4品種で、かつ単一品種で造る必要があります(一部例外あり)。アルザスは様々な土壌が入り組んでいて、 グランクリュごとの違いが明確です。土壌と品種と標高や南北の違いを理解すると、味の差異がわかりやすく、ほぼジュラ紀の石灰岩のみで差異を生み出すブルゴーニュより覚えやすいと思います。

日本においては品種が何かが重視され、グランクリュのことは、そんなに気にしている人が少ないように思います。ですが、アルザスのグランクリュは値段も安く、普通に品種名ワインと比べて、圧倒的にクオリティが高いので、本当にお買い得です。

加えて地域ごとに見る方もまだ少ないです。ブルゴーニュと同じように、北から南まで村ごとにみて、グランクリュを把握していくことが大切です。

グランクリュの認知度の低さは、日本で見かけるグランクリュの名前からもわかります。グランクリュは51もあるのに、見かけるのはシュロスベルグ 、キルシュベルグ・ド・バールといった同じものばかりです。これらのグランクリュももちろん素晴らしい畑ですが、豊かなバリエーションが魅力のアルザスなのに、同じものばかりなのはつまらないです。

個人的になんとか探して、色々とグランクリュを飲んできましたが、それでもまだ飲んだことないグランクリュがいくつかあります。

アルザス・グランクリュ一覧(51)
  • シュタインクロッツ〜Steinklotz〜
  • エンゲルベルグ〜Engelberg〜
  • アルテンベルグ・ド・ベルグビーテン〜Altenberg de Bergbieten〜
  • アルテンベルグ・ド・ヴォルクスハイム〜Altenberg de Wolxheim〜
  • ブリューデルタール〜Bruderthal〜
  • キルシュベルグ・ド・バール〜Kirchberg de Barr〜
  • ゾッツェンベルグ〜Zotzenberg〜
  • カステルベルグ〜Kastelberg〜
  • ヴィーベルスベルグ〜Wiebelsberg〜
  • モエンチベルグ(メンヒベルグ)〜Moenchberg〜
  • ムエンチベルグ〜Muenchberg〜
  • ヴィンツェンベルグ〜Winzenberg〜
  • フランクシュタイン〜Frankstein〜
  • ピラウラタンベルグ〜Praelatenberg〜
  • グロケルベルグ〜Gloeckelberg〜
  • カンツラーベルグ〜Kanzlerberg〜
  • アルテンベルグ・ド・ベルグハイム〜Altenberg de Bergheim〜
  • オステルベルグ〜Osterberg〜
  • ガイズベルグ〜Geisberg〜
  • キルシュベルグ・ド・リボーヴィレ〜Kirchberg de Ribeauvillé〜
  • シュナンブール(ショーネンブール)〜Schoenenbourg〜
  • ロザケール〜Rosacker〜
  • フローエン〜Froehn〜
  • ゾーネングランツ〜Sonnenglanz〜
  • マンデルベルグ〜Mandelberg〜
  • スポーレン〜Sporen〜
  • マルクラン〜Marckrain〜
  • シュロスベルグ〜Schlossberg〜
  • マンブール〜Mambourg〜
  • フルシュテンタム〜Furstentum〜
  • ケフェルコフ(ケフェルコプフ)〜Kaefferkopf〜
  • ヴィネック・シュロスベルグ〜Wineck-Schlossberg〜
  • フロリモン〜Florimont〜
  • ソンメルベルグ(ゾマーベルグ)〜Sommerberg〜
  • ブランド〜Brand〜
  • ヘングスト〜Hengst〜
  • シュタイングルーブラー〜Steingrubler〜
  • アイシュベルグ(アイヒベルグ)〜Eichberg〜
  • プェルシッグベルグ〜Pfersigberg〜
  • ハッシュブルグ〜Hatschbourg〜
  • ゴルデール(ゴルデルト)〜Goldert〜
  • シュタイネール〜Steinert〜
  • フォルブルグ〜Vorbourg〜
  • ツィンコップレ〜Zinnkoepflé〜
  • フィングスベルグ〜Pfingstberg〜
  • スピーゲル〜Spiegel〜
  • ケスレール〜Kessler〜
  • サエリング(ザーリング)〜Saering〜
  • キッテルレ〜Kitterlé〜
  • オルヴィレール〜Ollwiller〜
  • ランゲン〜Rangen〜
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アルザスの甘口ワイン

アルザスヒューゲルヴァンダンジュタルティヴ

グランクリュとは別の格付けとしてヴァンダンジュ・タルティヴ〜Vendanges Tardives〜やセレクション・ド・グラン・ノーブル〜Sélection de Grains Nobles〜という甘口の基準もあります。ヴァンダンジュ・タルディヴは遅摘みのぶどうを使って造られた甘口のワインで、セレクション・ド・グランノーブルは貴腐ぶどうを使って造られたワインです。糖度や貴腐ぶどうかどうかが基準となるため、普通の畑のものもあるし、グランクリュ畑のものもあります。

アルザスの赤ワイン

アルザスケーベルレクレイエールピノノワールロデルン

白ワインの産地として有名なアルザスですが、赤ワインも美味しいものがあります。品種はピノノワールですが、ブルゴーニュとは随分と異なる、チャーミングさのあるほんわかとしたワインが多いです。もちろん、土壌により、印象は変わりますが、ジュラ紀の石灰岩土壌のピノノワールでも、ブルゴーニュと随分印象が違うので(気候や醸造の仕方が違うのを加味しても)、そもそもクローンが違うのではないかと思います(事実がどうかは知りません)。

そしてやっぱり魅力的なのが、グランクリュで栽培されたピノノワール。法律上、ピノノワールはグランクリュを名乗れないのですが、多くの造り手が、グランクリュの頭文字を表記したピノノワールをリリースしています。ピノノワールのグランクリュ認可の動きもあるようです。

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アルザスのプルミエクリュの動き

アルザスでは現在、プルミエクリュを作ろうという動きがあります。現状はまだ存在しませんが、いずれは認められるようになりそうです(正直グランクリュだけで手一杯なので、プルミエクリュが増えたらお手上げです)。マルセルダイスのようにすでに自分でプルミエクリュを決めてラベル表記している造り手もいます。


アルザスはナチュラルなワインがたくさんあります。アルザスのナチュラルワインについての記事はこちらをご覧ください。

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