ワインの基礎

ゲヴェルツトラミネール〜フランスの主要ぶどう品種の特徴〜

ゲヴェルツトラミネール〜Gewurztraminer〜

ゲヴェルツトラミネールはアルザス地方の主要品種の1つです。白ぶどうですが、ピンクっぽい果皮の色をしています。

現代のアルザスではリースリングと並んで超重要品種ですが、知名度で言えばリースリングが圧倒的で、ゲヴェルツトラミネールは二、三歩後ろにいるような印象です。ただ重要度で言えば同率首位で、アルザス地方と切っても切れない品種です。

フランスではアルザス以外では見かけない品種です。

アルザスにはリースリングやゲヴェルツトラミネール以外にも様々な品種があり、その多様性が魅力の1つですが(品種の多様性と土壌の多様性がアルザスの楽しさ)、グランクリュに限って言えば、使用できる品種は4つしかなく、かつ大多数がリースリングかゲヴェルツトラミネールです。

リースリングとゲヴェルツトラミネールの品種の特性や土壌の相性は真逆で、各グランクリュはどちらかの品種が合います(一部どちらも美味しいリューディもありますが)

ゲヴェルツトラミネールは土壌によって様々な味わいのものがありますが、全体としては酸が低くフルーティーです。ライチやスパイスなどの特徴的な香りがあり、かつとても強い香りです。もっとも品種が分かりやすいぶどうだと思います。

温かい雰囲気で硬さがない品種です。厚みがありますがミネラル感が少ない傾向にあります。ゲヴェルツトラミネールは、適度な甘みを感じるものが多いですね。

土壌によっては緩すぎて腰がない感じになるので基本は粘土石灰の土壌に植えられます。粘土石灰は、ワインを引き締めて、酸も増します(もちろん粘土石灰以外の良いゲヴェルツもあります)

土壌や標高によって様々な顔を見せるのもゲヴェルツトラミネールの魅力です。特にグランクリュのゲヴェルツトラミネールは飲み比べてみると違いがはっきりとしていて非常に面白いです(土壌が分かりやすいから比べやすい)キルシュベルグ・ド・バールやマンブール、スポーレンなどのグランクリュから素晴らしいゲヴェルツトラミネールが造られています。

ゲヴェルツトラミネールは比較的新しい品種で、1920年頃にクレヴネル(サヴァニャンロゼ)の中から香りが強いものを選別して生まれました。ゲヴェルツはスパイスの意味です。

クレヴネルとゲヴェルツトラミネールは見た目はほぼ同じです。

もともとの原産地は北イタリア、アルトアディジェのトラミンと言われていましたが、今は違うと言う意見も多いですね。正確なことはまだわからないそう。

クレヴネルは以前は多かったようですが、現在はアルザスでもほぼ見かけない品種です。ハイリゲンシュタインの近郊にのみ残っていて、クレヴネル・ド・ハイリゲンシュタインという名称で流通しています。

クレヴネルは、ゲヴェルツトラミネールより香りはだいぶ穏やかで、かつ味わい自体も穏やかです。控えめな正確。ゲヴェルツトラミネールにたまにあるしつこい感じがありません。これはこれでとても使える個性です。柔らかく繊細で、適度な華やかさがあります。やはり酸も優しめです。

コメントを残す

*