サヴォワ〜Savoie〜

サヴォワ地方のワインの特徴

サヴォワ風景

サヴォワ〜Savoie〜

サヴォワ地方はフランス東部、アルプス山脈の麓に広がるワイン産地です。レマン湖を挟んでスイスに隣接しています(レマン湖の北側がスイスで南側がサヴォワ)イタリアとも国境を接しています。レマン湖畔からローヌ川沿い、ブルジェ湖を通ってシャンベリーの南東までぶどう畑は点在しています。

サヴォワのワインは、こじんまりとはしていますが、作り込みすぎない流す感じが飲んでいて楽で、そこが魅力です。レマン湖やブルジェ湖など湖の近くのワインがとくに穏やかです。サヴォワは山岳地帯ですが、畑自体は山の上にはなく優しい印象です。

サヴォワ風景シャモニーモンブラン

サヴォワ地方の歴史〜サヴォイア公国とサルディーニャ王国〜

サヴォワ地方のぶどう栽培は紀元前1cには始まっていたと記されています。

サヴォワ地方を構成するサヴォワ県とオート・サヴォワ県はかつてのサヴォイア伯国の領土の大部分を占めています。

サヴォイア伯国は1000年頃、ブルグント王国の崩壊した時に誕生した国です。サヴォワとサヴォイアはフランス語かイタリア語かの違いです。サヴォワ伯国やサヴォワ公国とも言いますがイタリアにとって重要な国ですし、国名はサヴォイアと書かれることが多いです。

シャンベリーを中心とした地域がサヴォイア伯国の中心でしたが、現在のイタリア、ピエモンテ西部、山岳地域のピネローロを中心としたエリアにまで領土を持っていました。

1416年、 サヴォイア伯アメデーオ8世が、 皇帝ジギスムントから公爵の位を与えられてサヴォイア公国が成立します。

サヴォイア公国は、現在のイタリアのヴァッレ・ダオスタやピエモンテ、スイスのジュネーヴなどにまで領土を広げます。首都は最初はシャンベリーでしたが、1563年にトリノに移しています。

18c初頭のスペイン継承戦争の際に、サヴォイア公はシチリアの王位を得ます。1720年にオーストリア・ハプスブルク家との間で、シチリア島とサルディーニャ島を交換したことで、サヴォイア公はサルディーニャ王の称号を得ました。サルディーニャ王国が誕生です。

サルディーニャ王国という名称ですが、本拠地はピエモンテのトリノのままです。

18c末のフランス革命戦争では、オーストリア側について参戦しましたがフランスに敗れ、サヴォワやニースをフランスに割譲することとなります。

その後再びサルディーニャ王国の領土となります。

19c、サルディーニャ王国が中心となってイタリア統一運動が加速していき、フランスの協力を得るため、1860年に再びサヴォワとニースはフランスに割譲されました。

1861年サルディーニャ王国はイタリア王国となり、イタリア統一が達成されます。イタリア王国は現在のイタリア共和国の前身となる国です。

もともとサヴォワから始まったサヴォイア公国は現在のイタリアの成立に大変重要な役割を果たしたことがわかりますね。

サヴォワ地方の料理、食材

サヴォワ地方と言えばもっとも有名なのはお隣スイス同様、チーズフォンデュです。フォンデュ・サヴォワイヤルドと言いますが、ボーフォールやエメンタールなどを使用したチーズフォンデュです。エメンタールはスイスのチーズですがフランスでも作っています。

チーズを使用した料理と言えばタルティフレットもあります。ルブロションを溶かしてジャガイモなどに乗せたグラタンです。

トム・ド・サヴォワも知名度の高いチーズですね。

タルティフレットに使われるジャガイモはサヴォワで良く食べられる食材です(痩せた土地なので)

イタリアとの関わりが深いことからポレンタやパスタなども良く食べます。クロゼという四角い小さなそば粉のパスタがよく使われます。

シャルキュトリーもサヴォワならではのものがいくつかありますし、魚だとトリュイト・オ・ブルーというマスを煮た料理があります。

サヴォワ地方のぶどう品種

サヴォワ地方は白ぶどうだとジャケール、シャスラ、アルテス、ルーサンヌが代表的な品種となります。赤ワインはピノノワールなどもありますが、重要な品種はモンデューズです。

他にも地場品種が多数あります。白ぶどうだとモレットやグランジェ、モンデューズ・ブランシュ、ヴェルデスなどがありますし、黒ぶどうだとエトレール・ド・ラ・デュイ、ペルサン、セルヴァナン、ジュベルタンと言ったぶどう品種があります。

アペラシオンやクリュごとに細かく品種の規定が変わるのもサヴォワの面白いところです。

代表的な品種であるジャケールは、地味で地酒的なサヴォワらしい品種です。アルコールが低く酸が強めになります。シャスラはジャケールより洗練度の高い印象です。

生産量としては7割ほどが白ワインです。

サヴォワ地方のワイン生産地域

サヴォワのワイン生産地域は、ヴァン・ド・サヴォワ、ビュジェ、セイセルに分けることが出来ます。

ヴァン・ド・サヴォワはレマン湖畔からローヌ川沿いの東側、そしてシャンベリー周辺まで弓状に広がるエリアです。同じヴァン・ド・サヴォワとは言えレマン湖畔、ローヌ川沿い、シャンベリー周辺は連続してもいないですし違った性格です。その他にレマン湖畔のエリアから南に下った位置のエーズ(アイズ)もヴァン・ド・サヴォワです。

いくつかの地域はヴァン・ド・サヴォワの後ろにクリュ名を付記することが出来ます。

ヴァン・ド・サヴォワとほぼ同じエリアで、ルーセットを使用する場合はルーセット・ド・サヴォワのアペラシオンとなります。ルーセット・ド・サヴォワもいくつかのクリュがあります。

ローヌ川の西側に広がるエリアがビュジェです。ビュジェのエリアもルーセットを使用する場合はルーセット・ド・ビュジェとなります。ビュジェもルーセット・ド・ビュジェもいくつかのクリュの付記が認められています。

サヴォワルーセットドビュジェ

ビュジェのローヌ川沿いのエリアの北部に隣接するエリアがセイセルです。非常に小さなワイン産地です。セイセルはビュジェの一部と考えることが出来ますが、川の反対側(ヴァン・ド・サヴォワ側)にもぶどう畑はあります。

品種もルーセットですので、ルーセット・ド・ビュジェの中でも特に優れた地域というようなイメージでも良い気はしますが、反対側、オートサヴォワのエリアのワインの方が質が高いとも言われます。

スイスと共通の品種、シャスラはヴァン・ド・サヴォワ・クレピィ(レマン湖畔)で使用される品種です。シャスラはスイスでは柔らかく、整って穏やかですっと抜けていくワインです。サヴォワだともう少しだけ表面の硬さがあるように思います。それでも硬すぎることはないですし芯の硬さはなく、共通する湖畔ワインらしいしっとり穏やかな性格です。

ジャケールのワインで一番よく見かけるのはヴァン・ド・サヴォワ・レ・アビームでしょうか。他の地域に比べてかっちりした印象のワインです。他にヴァン・ド・サヴォワ・アプルモン(優しい)やヴァン・ド・サヴォワ・クリュエ(ボリュームのある。最も酸が穏やか)などのクリュがあります(アビーム、アプルモン、クリュエは全てシャンベリー周辺です)

アルテス(ルーセット)はとろみがあり、サヴォワの白品種の中ではもっともどっしりしています。スパークリングワインで知られているセイセルの主要品種です。セイセルはアルテスを使ったスティルワインの評判もいいです。セイセルにはモレットという地場品種もあります。先に書いたようにルーセット・ド・サヴォワやルーセット・ド・ビュジェで使用される品種でもあります。

ローヌの白ワインでよく使われるルーサンヌは、サヴォワではまた違った魅力を見せてくれます。ローヌのルーサンヌは高級なものが多いですが(特に美味しいのは高い)、サヴォワのルーサンヌはお手頃です。冷涼な雰囲気のワインが多いサヴォワにおいて、唯一南国的なニュアンスがある品種です。ヴァン・ド・サヴォワ・シニャン・ベルジュロンが有名なクリュです(シャンベリー周辺)

サヴォワ

7割が白ワインのサヴォワですが、質の高い赤ワインもあります。赤ワインではモンデューズを多く見かけますが、モンデューズが最も美味しいクリュがヴァン・ド・サヴォワ・アルバンです(ヴァン・ド・サヴォワ・サン・ジャン・ドラ・ポルトもいい)少し粗さがあり、若干薄めにしたシラーのような印象です(アルバンもサン・ジャン・ドラ・ポルトもシャンベリー周辺です)

現在、日本においてサヴォワのワインで人気なのはガメイを使った甘めの赤のスパークリングワインのビュジェ・セルドンでしょうか?ビュジェにはセルドン以外のワインも色々とありますが、セルドンが一番知名度が高いように思います。フルーティで飲みやすく、ボージョレでもこういったタイプがあったら人気が出そうです。

セルドンサヴォワ

サヴォワのワイン生産地域の詳しい紹介はこちらからどうぞ。

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