サヴォワ〜Savoie〜

サヴォワ地方のワインの特徴

サヴォワ風景

サヴォワ〜Savoie〜

サヴォワ地方はフランス東部、アルプス山脈の麓に広がるワイン産地です。レマン湖を挟んでスイスに隣接しています(レマン湖の北側がスイスで南側がサヴォワ)イタリアとも国境を接しています。レマン湖畔からローヌ川沿い、ブルジェ湖を通ってシャンベリーの南東までぶどう畑は点在しています。

サヴォワのワインは、こじんまりとはしていますが、作り込みすぎない流す感じが飲んでいて楽で、そこが魅力です。レマン湖やブルジェ湖など湖の近くのワインがとくに穏やかです。サヴォワは山岳地帯ですが、畑自体は山の上にはなく優しい印象です。

サヴォワ風景シャモニーモンブラン

サヴォワ地方の歴史〜サヴォイア公国とサルディーニャ王国〜

ジュラ地方と並んでマイナーなサヴォワ地方は(ジュラ・サヴォワと一纏めにされてしまう)、歴史的にみるとイタリアの成立に大きく関わったサヴォイア家が誕生した重要な地域と言えます。

サヴォワ地方の料理、食材

サヴォワ地方と言えばもっとも有名なのはお隣スイス同様、チーズフォンデュです。フォンデュ・サヴォワイヤルドと言いますが、ボーフォールやエメンタールなどを使用したチーズフォンデュです。エメンタールはスイスのチーズですがフランスでも作っています。

チーズを使用した料理と言えばタルティフレットもあります。ルブロションを溶かしてジャガイモなどに乗せたグラタンです。

トム・ド・サヴォワも知名度の高いチーズですね。

タルティフレットに使われるジャガイモはサヴォワで良く食べられる食材です(痩せた土地なので)

イタリアとの関わりが深いことからポレンタやパスタなども良く食べます。クロゼという四角い小さなそば粉のパスタがよく使われます。

シャルキュトリーもサヴォワならではのものがいくつかありますし、魚だとトリュイト・オ・ブルーというマスを煮た料理があります。

サヴォワ地方のぶどう品種

サヴォワ地方は白ぶどうだとジャケール、シャスラ、アルテス、ルーサンヌが代表的な品種となります。赤ワインはピノノワールなどもありますが、重要な品種はモンデューズです。

他にも地場品種が多数あります。白ぶどうだとモレットやグランジェ、モンデューズ・ブランシュ、ヴェルデスなどがありますし、黒ぶどうだとエトレール・ド・ラ・デュイ、ペルサン、セルヴァナン、ジュベルタンと言ったぶどう品種があります。

アペラシオンやクリュごとに細かく品種の規定が変わるのもサヴォワの面白いところです。

代表的な品種であるジャケールは、地味で地酒的なサヴォワらしい品種です。アルコールが低く酸が強めになります。シャスラはジャケールより洗練度の高い印象です。

生産量としては7割ほどが白ワインです。

サヴォワ地方のワイン生産地域

サヴォワのワイン生産地域は、ヴァン・ド・サヴォワ、ビュジェ、セイセルに分けることが出来ます。

ヴァン・ド・サヴォワはレマン湖畔からローヌ川沿いの東側、そしてシャンベリー周辺まで弓状に広がるエリアです。同じヴァン・ド・サヴォワとは言えレマン湖畔、ローヌ川沿い、シャンベリー周辺は連続してもいないですし違った性格です。その他にレマン湖畔のエリアから南に下った位置のエーズ(アイズ)もヴァン・ド・サヴォワです。

いくつかの地域はヴァン・ド・サヴォワの後ろにクリュ名を付記することが出来ます。

ヴァン・ド・サヴォワとほぼ同じエリアで、ルーセットを使用する場合はルーセット・ド・サヴォワのアペラシオンとなります。ルーセット・ド・サヴォワもいくつかのクリュがあります。

ローヌ川の西側に広がるエリアがビュジェです。ビュジェのエリアもルーセットを使用する場合はルーセット・ド・ビュジェとなります。ビュジェもルーセット・ド・ビュジェもいくつかのクリュの付記が認められています。

サヴォワルーセットドビュジェ

ビュジェのローヌ川沿いのエリアの北部に隣接するエリアがセイセルです。非常に小さなワイン産地です。セイセルはビュジェの一部と考えることが出来ますが、川の反対側(ヴァン・ド・サヴォワ側)もセイセルの生産地域です。

品種もルーセットですので、ルーセット・ド・ビュジェの中でも特に優れた地域というようなイメージでも良い気はしますが、セイセルがルーセット・ド・ビュジェのどのワインより品があり別物の味わいです。スティルワインも優れていますが、スパークリングワインの方が見かける頻度は高いです(セイセルにはモレットという地場品種もあり、モレットとルーセットをブレンドしたスパークリングの出来がいい)

スイスと共通の品種、シャスラはヴァン・ド・サヴォワ・クレピィ(レマン湖畔)で使用される品種です。シャスラはスイスでは柔らかく、整って穏やかですっと抜けていくワインです。サヴォワだともう少しだけ表面の硬さがあるように思います。それでも硬すぎることはないですし芯の硬さはなく、共通する湖畔ワインらしいしっとり穏やかな性格です。

ジャケールのワインで一番よく見かけるのはヴァン・ド・サヴォワ・レ・アビームでしょうか。他の地域に比べてかっちりした印象のワインです。他にヴァン・ド・サヴォワ・アプルモン(優しい)やヴァン・ド・サヴォワ・クリュエ(ボリュームのある。最も酸が穏やか)などのクリュがあります(アビーム、アプルモン、クリュエは全てシャンベリー周辺です)

アルテス(ルーセット)はとろみがあり、サヴォワの白品種の中ではもっともどっしりしています。先に書いたようにルーセット・ド・サヴォワやルーセット・ド・ビュジェ、セイセルで使用される品種です。

ローヌの白ワインでよく使われるルーサンヌは、サヴォワではまた違った魅力を見せてくれます。ローヌのルーサンヌは高級なものが多いですが(特に美味しいのは高い)、サヴォワのルーサンヌはお手頃です。冷涼な雰囲気のワインが多いサヴォワにおいて、唯一南国的なニュアンスがある品種です。ヴァン・ド・サヴォワ・シニャン・ベルジュロンが有名なクリュです(シャンベリー周辺)

サヴォワ

7割が白ワインのサヴォワですが、質の高い赤ワインもあります。赤ワインではモンデューズを多く見かけますが、モンデューズが最も美味しいクリュがヴァン・ド・サヴォワ・アルバンです(ヴァン・ド・サヴォワ・サン・ジャン・ドラ・ポルトもいい)少し粗さがあり、若干薄めにしたシラーのような印象です(アルバンもサン・ジャン・ドラ・ポルトもシャンベリー周辺です)

現在、日本においてサヴォワのワインで人気なのはガメイを使った甘めの赤のスパークリングワインのビュジェ・セルドンでしょうか?ビュジェにはセルドン以外のワインも色々とありますが、セルドンが一番知名度が高いように思います。フルーティで飲みやすく、ボージョレでもこういったタイプがあったら人気が出そうです。

セルドンサヴォワ

サヴォワのワイン生産地域の詳しい紹介はこちらからどうぞ。

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