ソムリエ試験対策

ソムリエ試験対策2021〜コート・デュ・ローヌ地方の要点、ポイント〜

ローヌシャトーヌフデュパプ

ソムリエ試験対策〜コート・デュ・ローヌ地方〜

フランスの中でもブルゴーニュ、ボルドーに次ぐ産地として人気のあるコート・デュ・ローヌ。A.O.C.も知名度の高いものが多いですね(一部無名のところもありますが)

値段も高いコート・ロティやエルミタージュなどを中心として考えると、ボルドー同様、ローヌという土地の個性が見えにくくなります。

肉とローヌ赤というのは一般的に良く聞く言葉ではありますが、個人的には意外と用途が難しい産地だと思います。

コート・デュ・ローヌのプロフィール

ヴィエンヌからアヴィニョンにかけてのローヌ川沿い200km渡って広がり産地。

フランスのA.O.C.ワイン産地、ボルドーに次いで第2位の規模。

赤、ロゼが大半。北部と南部に分かれ、景観も気候も異なる。

メモ

ほぼ赤ワインの産地で、白ワインはロゼよりも少ないエリアですが、ローヌの白はとても良い。

ローマ帝国時代に栄え、その遺跡を数多く残す町が点在(ヴィエンヌ、オランジェ、ニーム、アヴィニョンなど)

ローヌ渓谷の北部はヴィエンヌからヴァランスまでに60km余り。ローヌ川沿いの狭く急な斜面に広がる。ヴァランスの南西に位置するディーの地域も北部に含む。

その後60kmほどぶどう畑のない区間が続き、モンテリマールの南側からアヴィニョン近辺まで80kmに渡り、南部地区が続く。

南部は緩やかな起伏の土地に畑が広がる。地中海沿岸特有のガリッグやハーブも見られる。

北部は穏やかな大陸性気候。

南部は地中海性気候、ミストラルと呼ばれる強い北風が特徴。冷たく乾燥しているが、雨の後には畑を乾燥させてカビ病などを抑える。

ミストラルは強い風のため、果実は小さくなり、風味は凝縮する。

コート・デュ・ローヌの歴史

ローヌ渓谷のワイン産地としての歴史は古く、紀元前後、ローマ帝国に属領ナルボンヌ地方の、ぶどう栽培地の北限だった。

14c、アヴィニョンへの法王庁移転があり、1307〜1377年まで4代にわたり、ローマ法王がアヴィニョンに移住した。

メモ

アヴィニョンへの法王庁移転は歴史的にもとても大きな出来事。このあたりの歴史も別記事にします。

法王の移住を契機にワイン造りは発展。法王のワイン(ヴァン・デュ・パプ)として知られるようになり、その後シャトーヌフ・デュ・パプとしてローヌ渓谷を代表する産地となった。

20c、一次大戦や、ローヌ渓谷の産業化による人手不足があり、特に険しい斜面で機械化が難しいコート・ロティや、コンドリューは栽培面積が激減。20c後半に再生を果たしている。

コート・デュ・ローヌの地方料理と食材

  • ナヴァラン・ダニョー(仔羊の煮込み。シャトーヌフ・デュ・パプと)

コート・デュ・ローヌの主要なA.O.C.

  • コート・デュ・ローヌ(赤、ロゼ、白。このA.O.C.だけで、ローヌ全体のA.O.C.生産量の約半分を占める。赤ワインが主体。北部ではシラーが主要品種。南部ではグルナッシュを40%以上含まなければならない)
  • コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(赤、ロゼ、白。生産が認められているエリアはA.O.C.コート・デュ・ローヌより小さい。生産基準も厳しい)
  • コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ+コミューン(A.O.C.コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの中のいくつかのコミューンは、ヴィラージュの後にコミューン名を付記出来る。現在20ある。品種は同じだが、規定はさらに厳しい)

コート・デュ・ローヌのぶどう品種

白ぶどう

  • ヴィオニエ(収量が少なく、完璧な日照を必要とする品種。北部のコンドリューが代表的な産地。芳香性が高く、厚みがある)
  • ルーサンヌ(マルサンヌよりも熟期が早い。繊細で花などの香りを持つ)
  • マルサンヌ(小石混じりの熱い土壌を好む。力強く、ルーサンヌとアッサンブラージュされることが多い。

黒ぶどう

  • シラー(ボディがしっかりして色が濃き、熟成向きのワインを生む。グルナッシュやムールヴェードルより熟期は早い)
  • グルナッシュ(スペインからもたらされた。南部の主要品種。ベト病や灰色カビ病に弱いが、乾燥に強い。アルコール度が高く丸みがある)
  • ムールヴェードル(スペイン原産。南部で広く使用される。力強く豊満。タンニン豊か。

コート・デュ・ローヌ北部

黒ぶどうはシラーのみ。エルミタージュとコート・ロティが代表格。

土壌は花崗岩や片岩。

冬は穏やかで夏は暑く、雨は定期的に降る。

黒ぶどうはシラー
白ぶどうはヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌ

コート・デュ・ローヌ南部の主要なA.O.C.

  • コート・ロティ(赤のみ。ロティという名前の通り夏は太陽が照りつける。北部では唯一、シラーにヴィオニエを20%まで混醸できる)
  • コンドリュー、シャトー・グリエ(白のみ。ヴィオニエのみを使用。シャトー・グリエはローヌ渓谷最小のA.O.C.で一軒の生産者が一つのA.O.C.となっている)
  • サンジョセフ(赤、白。赤ワインはシラーにマルサンヌとルーサンヌを10%以下であれば加えることが可能。白ワインはマルサンヌ、ルーサンヌ。ローヌ川右岸の南北約50kmに渡って広がる)
  • エルミタージュ(赤、白。赤ワインはシラーにマルサンヌとルーサンヌ15%以下可。白ワインはマルサンヌ、ルーサンヌ。ローヌ渓谷で最も高名なA.O.C.。タンの街を見下ろす小高い丘の南向き斜面。北風を受けず、日照に恵まれている。ヴァン・ド・パイユも造られている)
  • クローズ・エルミタージュ(赤、白。ローヌ北部で最も広いA.O.C.。シラー主体の赤ワインが大半)
  • コルナス(赤ワインのみ。急斜面でほぼ南向きで日照に恵まれる。赤ワインはシラーのみで白ぶどうは不可)
  • サン・ペレイ(白ワインのみ。ルーサンヌとマルサンヌの軽い白ワイン。1/3は瓶内二次発酵のスパークリングワインのサン・ペレイ・ムスー)
  • クレレット・ド・ディー(発泡性白、発泡性ロゼ。白の辛口はクレレット100%で瓶内二次発酵。ロゼと甘口の白はミュスカ主体で、メトッド・アンセストラル。冬に放置していたワインが春に再発酵し、少し発泡したのが出来たのが最初)
  • クレマン・ド・ディー(発泡性白。瓶内二次発酵。クレレット主体にミュスカ、アリゴテ)
  • コトー・ド・ディー(白ワインのみ。クレレット100%)
  • シャティヨン・アン・ディオア(赤、ロゼ、白。赤ワインとロゼワインはガメイ75%以上。白ワインはアリゴテとシャルドネ)

クレレット・ド・ディー、クレマン・ド・ディー、コトー・ド・ディー、シャティヨン・アン・ディオアは同じ地域。

メモ

シラー100%の赤ワインはコルナスだけ。他の地域は白ぶどうとの混醸が認められている(シャティヨン・アン・ディオアは除く)

コンドリューとシャトー・グリエはヴィオニエ100%だが、他の地域の白ワインはルーサンヌ、マルサンヌが基本(ディーとシャティヨン・アン・ディオアは除く)

コート・デュ・ローヌ南部

モンテリマールの南側からアヴィニョン近辺まで。北部と異なり、広い丘陵地帯。多様な土壌で、ぶどう品種も多く、複数品種をブレンドしてワインを造る。

粘土、砂、丸い小石、石灰岩の砂礫層など。

地中海性気候で夏は暑く乾燥し、冬は温暖。降雨量も少ない。

黒ぶどうは、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソー、カリニャン、テレ・ノワール。
白ぶどうはグルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌ、クレレット、ブールブーラン、ピクプール、ユニ・ブラン。

コート・デュ・ローヌ南部に主要なA.O.C.

  • グリニャン・デ・ザデマール(赤、ロゼ、白。南部の中で最も北。赤ワインはグルナッシュとシラー。2010年にコトー・デュ・トリカスタンから名称変更)
  • コート・デュ・ヴィヴァレ(赤、ロゼ、白。1999年に誕生したA.O.C.。グリニャン・デ・ザデマールとローヌ川を挟んだ対岸)
  • ヴァンソーヴル(赤ワインのみ。グルナッシュ50%以上。主にグルナッシュとシラー。日照に恵まれた斜面。石が多い。もともとはコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュだったが、2006年に単独のA.O.C.になった)
  • ジゴンダス(赤、ロゼ。グルナッシュ50%以上。日照時間長くミストラルも吹き抜ける。グルナッシュ主体の赤、ロゼ。石灰岩の山、ダンテル・デ・モンミライユやその裾野にぶどう畑広がる)
  • ヴァケイラス(赤、ロゼ、白。赤ワインはグルナッシュ50%以上。ロゼワインはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソー。白ワインはグルナッシュブラン、クレレット、ブールブーラン。ダンテル・デ・モンミライユの西側の裾野。赤ワインが大半)
  • ボーム・ド・ヴニーズ(スティルの赤、V.D.N.の赤、ロゼ、白。スティルの赤ワインはグルナッシュ50%以上。V.D.N.はミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズと言う名前で、名前の通りミュスカから造られる。ミュスカ・ア・プティ・グラン・ブランだけではなく、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ルージュを使用して、赤やロゼのV.D.N.を造る。1945年にV.D.N.がA.O.C.認定。スティルの赤ワインはコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュだったが、2005年に単独のA.O.C.として認められた)
  • シャトーヌフ・デュ・パプ(赤、白。13品種使用可能。色まで分けると18品種。多くの品種が使用可能だが、多く使われるのはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、ミュスカルダン、クノワーズ、クレレット、ブールブーラン。玉石、砂質、赤い粘土。南部を代表するA.O.C.。ローマ法王の畑だった。ローヌ渓谷で最も乾燥。ミストラルが吹く。南部は豊満なワイン、北部は繊細なワインが生まれる)
  • リラック(赤、ロゼ、白。赤ワインとロゼワインはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル合わせて25%以上。白ワインはクレレット、グルナッシュブラン、ブールブーラン)
  • タヴェル(ロゼワインのみ。グルナッシュ40%以上。1936年A.O.C.認定)
  • ヴァントゥー(赤、ロゼ、白。ユネスコの生物圏保護区に指定。多様な植物相が維持されているヴァントゥー山を中心としたA.O.C.。山に囲まれているためミストラルが吹かない)
  • リュベロン(赤、ロゼ、白。リュベロン山を中心とするリュベロン国立公園内に畑広がる。標高高く、昼夜の気温差大きい)
  • デュシェ・デュゼス(赤、ロゼ、白。赤ワインはシラー40%以上、グルナッシュ20%以上。ロゼワインはグルナッシュ50%以上、シラー20%以上。白ワインはグルナッシュブラン30%以上、ヴィオニエ40%以上。ヴァン・ド・ペイだったが、2013年にA.O.C.として認められた)
  • コスティエール・ド・ニーム(赤、ロゼ、白。赤ワインとロゼワインはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル合わせて60%以上。白ワインはグルナッシュブラン、ルーサンヌ、マルサンヌ合わせて50%以上。ローヌ渓谷で最も南。雨も少ない。ミストラルが吹く)
  • クレレット・ド・ベルガルド(白ワインのみ。クレレット100%。ベルガルドの段丘に広がる)
  • ラストー(スティルの赤、V.D.N.の赤、ロゼ、白。スティルの赤ワインはグルナッシュ50%以上。日照に恵まれた南向き斜面で、ミストラルから守られる。赤ワインはコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュだったが2010年に単独のA.O.C.になった)
  • ケランヌ(白、赤。赤ワインはグルナッシュ、白ワインはクレレット、グルナッシュブラン、ルーサンヌ。2016年にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから単独のA.O.C.になった)
メモ

タヴェルはロゼワインのみ。ヴァンソーヴルは赤ワインのみ。ラストーのスティルワインは赤ワインのみ。

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試験対策を終えたらこちらもどうぞ。

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