ブルゴーニュ〜Bourgogne〜

ヴージョのワインの特徴

メオカミュゼクロドヴージョ01

ヴージョ〜Vougeot〜

ヴージョは、シャンボール・ミュジニーとフラジェ・エシェゾーに隣接した村です。ヴージョの名前はシャンボール・ミュジニーとの間に流れるヴージョ川(Vouge)から来ています。

ヴージョは村のほとんどがグランクリュのクロ・ド・ヴージョで(80%近くを占める)、かつ生産者が1つのグランクリュの中に80名ほどもいるという他の村にはない特色があります。

ヴージョはシトー派と深い関わりがある村で、シトー修道院が設立された10年後にはぶどう栽培が始まっています(シトー修道院の設立は1098年)

グランクリュのクロ・ド・ヴージョは赤ワインのみですが、プルミエクリュと村名は白ワインも認められています。ヴージョの村名アペラシオンのワインはほとんど見かけませんが悪い畑ではないです。変な区画のクロ・ド・ヴージョよりバランスが取れている印象を持っています。

クロ・ド・ヴージョ〜Clos de Vougeot〜

シルヴァンロワシェクロドヴージョ12

ヴージョ村唯一のグランクリュであるクロ・ド・ヴージョ。1228年の文献には「シトー派による偉大なクロ」という記述が登場します。大きな面積のグランクリュですが、現在は分割され、小さな区画から多くの造り手によってクロ・ド・ヴージョは造られています。元々はクロ内の様々な区画をブレンドして造られていたワインです。昔のワインと今のワインの差が最も大きいワインかもしれません。

クロ・ド・ヴージョもフランス革命までずっとシトー修道院が所有していましたが、革命後、ジュリアン・ジュール・ウヴラールが取得、この時点では単独所有でしたが、1889年に売却され、どんどん所有者が増えていくことになります。

広いグランクリュですから、離れた区画では味わいも大きく異なりますし、造り手の技量の問題などもあって、当たり外れの非常に大きなグランクリュと言われています。

クロ・ド・ヴージョは大きく分けて、上部の「教皇の畑」、中部の「王の畑」、下部の「修道士の畑」に分かれます。

教皇の畑は、石灰質が強く水はけのいい土壌(バトニアンのウーライト)で、もっともクオリティの高いワインが生まれると言われます。王の畑は、プレモー石灰岩(砂利が多い)、修道士の畑は、コングロメレイトで、さらに下部は石灰がなく粘土が強い柔らかい土壌です。上部は平坦な畑で、中腹が最も傾斜があります(上部だけ、中部だけ、下部だけ所有の造り手のクロ・ド・ヴージョを飲むとこうした土壌の違いがわかりやすいです)

一概に上部から出来たワインのクオリティが高いかと言うとそうとも限りません。バランスが取れているのは、色んな区画がブレンドされているもので、やっぱりクロ・ド・ヴージョは1つの畑なんだなと感じます。

他のグランクリュと比較すると、クロ・ド・ヴージョは標高が低く傾斜がなだらかです。その点から、クロ・ド・ヴージョはグランクリュの価値はないと言われることがありますが、確かに区画によっては今ひとつではありますが、シトー派が本拠地にした場所ですし(意味のないところを本拠地にしない)、むしろブルゴーニュの全グランクリュの中でもトップクラスに重要な畑だと思います。

上部にはシトー修道院が建設したシャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョがあります。フランス革命まではワインの醸造が行われていました。現存するシャトーは16cに再建されたものですが、利き酒騎士団に譲渡され、ブルゴーニュのワインに関する博物館となっています。

ブルゴーニュ シャトードクロドヴージョ

クロ・ド・ヴージョにはいくつかの小区画がありますが、ほとんどの造り手は区画名は付けずにクロ・ド・ヴージョの名前だけで販売します。そのため、クロ・ド・ヴージョという名前だけでは、どんなワインなのかわかりません。他の村であれば、グランクリュやプルミエクリュは造り手に関わらず、共通の要素を感じ取ることができますが、クロ・ド・ヴージョに関しては非常に広いので、生産者が持っている区画をきちんと把握することが重要になってきます(他のグランクリュも区画は重要ですが、特にクロ・ド・ヴージョは重要。もともとシトー派の修道士は様々な区画をブレンドして1つのクロ・ド・ヴージョを造っていたので、現在は良くないとされている区画もブレンドの要素として重要)

クロ・ド・ヴージョで、区画名がついて販売されているのはグラン・モーペルテュイ〜Grand Maupertui〜とミュジニー〜Misigny〜くらいでしょうか(プティ・モーペルテュイもありますね)

グラン・モーペルテュイはフラジェ・エシェゾー 村グランクリュ であるグラン・エシェゾーに隣接するクロ・ド・ヴージョ上部の区画です。クロ・ド・ヴージョの中でも最上の区画と言われています。

グラン・モーペルテュイを表記してリリースしている造り手はドメーヌ・アンヌ・グロとドメーヌ・ミッシェル・グロです(ドメーヌ・メオ・カミュゼもリリースしたことがある)

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ミュジニーはシャンボール・ミュジニーのグランクリュ、ミュジニーに隣接した区画です。シャトー・ド・クロ・ド・ヴージョの周辺です。

クロドヴージョミュジニー06

ミュジニー表記でリリースする造り手はグロ・フレール・エ・スールです。

プティ・モーペルテュイもグラン・エシェゾーに隣接した畑です(グラン・モーペルテュイの南部)

クロドヴージョレプティモーペルテュイ14ダニエルリヨン

プティ・モーペルテュイの区画名では何人かの生産者がワインをリリースしています。

区画名での販売はありませんが、シャトー・ド・クロ・ド・ヴージョの下部に隣接するレ・シウルという区画も優良区画と言われていて(ミュジニー下部)、メオ・カミュゼが所有しています。

メオ・カミュゼはグラン・モーペルテュイも所有していますし(その他にももう少し区画を所有している)、基本はブレンドしてクロ・ド・ヴージョをリリースしますが、2009年と2017年のみ、2つの優良区画を別々にリリースしています。

クロ・ド・ヴージョ・プレ・ル・セリエがシウル区画のワインです。グラン・モーペルテュイはそのままグラン・モーペルテュイでリリースしています。

単一区画のワインが味わえることは勉強にはなりますが、先に書いたように、様々な区画をブレンドしたクロ・ド・ヴージョの方が完成された味わいのようには思います(グランクリュらしい味わい)

ですが、なかなか色々な区画を持っている造り手がいないのが現状です。いくつかの場所に上手く分散して区画を持っている造り手は、メオ・カミュゼ(上部の区画多め)、ルロワ、フランソワ・ラマルシュ(2018年からニコル・ラマルシュ)、シャトー・ド・ラトゥール、アルベール・ビショーくらいでしょうか?

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中腹の抜けの良いエリアはシャトー・ド・ラトゥールと、アンリ・ルブルソーがかなりの割合を占めています。そういった意味でもシャトー・ド・ラ・トゥールのクロ・ド・ヴージョは、最もクロ・ド・ヴージョらしいワインと言えるかもしれません。

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ヴージョのプルミエクリュ

ヴージョのワインと言うとほぼクロ・ド・ヴージョの話になりがちですが、プルミエクリュも上質です。

ヴージョのプルミエクリュ(4)
  • ル・クロ・ブラン〜Le Clos Blanc〜(ラ・ヴィーニュ・ブランシュ〜La Vigne Blanche〜)
  • クロ・ド・ラ・ペリエール〜Clos de la Perrière〜
  • レ・クラ〜Les Cras〜
  • レ・プティ・ヴージョ〜Les Petits Vougeots〜

ル・クロ・ブラン〜Le Clos Blanc〜(ラ・ヴィーニュ・ブランシュ〜La Vigne Blanche〜)

ル・クロ・ブランはドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレのモノポールです。シトー派の修道士が12cからぶどうを栽培していた畑。その当時はル・プティ・クロ・ブランと呼ばれていて、当時から現在まで白ぶどうの畑です。

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ラ・ヴィーニュ・ブランシュとも呼ばれます。

クロ・ド・ラ・ペリエール〜Clos de la Perrière〜

ペリエールは他の街にもいくつかある名称ですが、石切場の意味です。シトー派の所有でしたが元々はぶどう畑ではなかった場所です。小さな畑で現在はドメーヌ・ベルターニャのモノポールです。シャンボール・ミュジニーのグランクリュのミュジニーやプルミエクリュのレ・ザムルーズ、クロ・ド・ヴージョ上部に囲まれたなかなかすごい場所です。

レ・クラ〜Les Cras〜

ヴージョレクラブラン15

レ・クラはクロ・ド・ヴージョの下部に接した畑です。レ・クラも良くある畑名ですが、石みたいな意味です。何人かの造り手が所有していますが、基本的に赤ワインです。ドメーヌ・ベルターニャはレ・クラの白ワインを造っています。

レ・プティ・ヴージョ〜Les Petits Vougeots〜

レ・プティ・ヴージョは、ル・クロ・ブランの上部に位置していて、シトー派の修道士はル・プティ・クロ・ノワールと呼んで区別していた畑です。クロ・ド・ラ・ペリエールの下部で、レ・ザムルーズにも隣接しています。

ル・プティ・クロ・ノワールと言うだけあり赤ワインの畑ですが、白ワインも少し造られています。

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ヴージョの代表的な造り手

ヴージョの唯一のグランクリュであるクロ・ド・ヴージョはかなりの数の生産者がいますが、多くは他の村の造り手です。特に評価されているクロ・ド・ヴージョはほとんどが別の村の造り手ですし、人気の造り手のクロ・ド・ヴージョにしてもフラッグシップとは言えないのが現状です。

クロ・ド・ヴージョ自体の評価は少し下がるとは言え、ヴージョ村を本拠地にした造り手もいますので紹介します。

  • シャトー・ド・ラ・トゥール〜Chateau de la Tour
  • ドメーヌ・ベルターニャ〜Domaine Bertagna〜
  • ドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラ〜Domaine Alain Hudelot Noellat〜
  • ドメーヌ・クリスチャン・クレルジェ〜Domaine Christian Clerget〜

シャトー・ド・ラ・トゥール〜Chateau de la Tour

シャトー・ド・ラ・トゥールは、クロ・ド・ヴージョの最大所有者です。先に紹介したように区画もいくつかに分かれていますし、中腹部分を所有する数少ない造り手でもありますので、栽培と醸造が噛み合えば、最も優れたクロ・ド・ヴージョになる可能性はある気がします。

ドメーヌ・ベルターニャ〜Domaine Bertagna〜

ドメーヌ・ベルターニャは、クロ・ド・ヴージョも所有していますが、ヴージョのプルミエクリュを3つも所有しています(クロ・ド・ラ・ペリエール、レ・クロ、レ・プティ・ヴージョ)

1940年代後半にベルターニャ氏によってヴージョ村に設立されたドメーヌ・ベルターニャですが、1982年にドイツでワイン生産を行なっていたエヴァ・レイに買い取られています。

ドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラ〜Domaine Alain Hudelot Noellat〜

アラン・ユドロが1964年にヴージョに創業したドメーヌがアラン・ユドロ、ノエラです。アラン・ユドロ自身はシャンボール・ミュジニー出身です。

アラン・ユドロの妻のオディールがヴォーヌ・ロマネのシャルル・ノエラの孫娘で、1978年に祖父シャルル・ノエラの所有畑の4分の1を受け継いでいます。そのため、ヴォーヌ ・ロマネのリシュブールやロマネ・サン・ヴィヴァンも所有しています。リシュブールやロマネ・サン・ヴィヴァンち比べると目劣りしがちなクロ・ド・ヴージョですが、所有している区画は上部のミュジニーに隣接するガレンヌの区画(ルロワの所有区画の隣)とその下部(シウルの隣)の区画です。

ドメーヌ・クリスチャン・クレルジェ〜Domaine Christian Clerget〜

ドメーヌ・クリスチャン・クレルジェはヴージョの造り手ですが、クロ・ド・ヴージョは所有していません。ヴージョにはプルミエクリュのレ・プティ・ヴージョを所有しています。

特に評価されているのはフラジェ・エシェゾー村のグランクリュであるエシェゾーや、シャンボール・ミュジニーのプルミエクリュのレ・シャルムだったりしますが、レ・プティ・ヴージョにはやはり本拠地のワインならではの魅力があります。


こちらはコート・ド・ニュイのアペラシオン⑦〜ヴォーヌ・ロマネ〜の詳しい紹介です。

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