プロヴァンス〜Provence〜

コトー・デクサン・プロヴァンス、コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンス、レ・ボード・プロヴァンス・ピエールヴェール、ベレのワインの特徴

プロヴァンス風景エクスアンプロヴァンス

プロヴァンスのアペラシオン(代表的なパレット、カシー、バンドール、コート・ド・プロヴァンス以外)

プロヴァンスにあるアペラシオンはコート・ド・プロヴァンスのダイレクトプレスのロゼとバンドールの赤以外はマイナーと言って良いくらいの存在ですが、見かけないながらもパレットやカシー、地理的名称付きコート・ド・プロヴァンスは特徴的な味わいがあります。

プロヴァンスは他にもいくつかのアペラシオンがありますが、なかなか特徴が掴みづらいのが現状です。上記のアペラシオンは別の記事に書いてますのでそれ以外のアペラシオンを紹介していきます。

コトー・デクサン・プロヴァンス〜Coteaux d’aix en Provence〜

コトーデクスアンプロヴァンス17

プロヴァンスの内陸、西側に位置するコトー・デクサン・プロヴァンス。山のワインの味わいですが、エリアが広くローヌ渓谷にもサント・ヴィクトワール山の麓にも地中海にも接しています。デュランス川を境にして北側がコート・デュ・ローヌのリュベロンで、南側はマルセイユの辺りまでエリアが広がっています。東側はコート・ド・プロヴァンス・サント・ヴィクトワールです。

エクス・アン・プロヴァンスを中心とした49の市町村がコトー・デクサン・プロヴァンスとして認められています。この記事で紹介しているアペラシオンの中では一番良く聞く名前だと思います。

コトー・デクサン・プロヴァンスのエリアは全体として、日照量が多く乾燥しています。土壌は粘土石灰質で小石もゴロゴロしています。砂質土壌の場所もあります。

ワインは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていて、品種規定はコート・ド・プロヴァンスと似ています。味わいはコート・ド・プロヴァンス・サント・ヴィクトワール方向です。

プロヴァンス風景エクスアンプロヴァンス

コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンス〜Coteaux Varois en Provence〜

元々はコトー・ヴァロワというアペラシオンでしたが、2005年にコトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスに名称変更しました。ブリニョール村を中心とした28村に認められています。プロヴァンスのエリアのちょうど中心くらいの位置に広がるA.O.C.です。

他のプロヴァンスのワイン産地が地中海性気候なのに対して、コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスのエリアは大陸性気候です(サント・ボームの山々に囲まれて地中海の影響を受けにくい)

夏は大変暑く、冬は厳しい寒さとなります。粘土石灰質土壌です。

ワインは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていて、やはり品種規定はコート・ド・プロヴァンスと同じような感じです(それぞれ少しづつ違います)

プロヴァンスの西側のエリアは全体的にカチッと固いワインが多いですが、プロヴァンスの中央部に位置するコトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスも特にそうでメリハリのある味わいです。

レ・ボー・ド・プロヴァンス〜Les Baux de Provence〜

レボードプロヴァンス

レ・ボー・ド・プロヴァンスは、プロヴァンス最西端のエリアです(アルピーユ山脈の西側)レ・ボー・ド・プロヴァンスを中心とした7つの村に認められています。小石の多い崩積土壌、白亜紀の石灰質土壌です。プロヴァンスの内陸エリアらしい味わいです。

中心地の村、レ・ボー・ド・プロヴァンスは「フランスで最も美しい村」の1つと言われている美しい村です(街並みと白い石灰岩の景色)オリーブの生産でも有名なエリアです。

最初は赤ワインとロゼワインのみが認められていましたが、2011年からは白ワインもレ・ボー・ド・プロヴァンスを名乗ることが出来るようになりました。ただし白ワインの比率はかなり少ないです。

ロゼワインが多いプロヴァンスにおいては赤ワイン比率が6割程度と多くなっている珍しいエリアです。

白ワインの特徴はルーサンヌがそこそこ入ることと(主要品種ではないが使わなければいけない)、グルナッシュブランが主要品種の一つになっているところでしょうか?(他の産地でも使えるところがありますが)

もう一つのレ・ボー・ド・プロヴァンスの特徴は全生産者がナチュラルな栽培を行っていることです。アペラシオンの規定の有機栽培を盛り込むべく活動しているようで、それは面白いですね。


ドメーヌ・オヴェットは2003年よりビオディナミを採用し、現在ではカリスマ的な存在の造り手です。アヴィニヨンの南、約20kmに位置するサン・レミ・ド・プロヴァンス村にドメーヌはあります。

赤ワインのキュヴェ・コルナリーヌは、グルナッシュ 50%、シラー 30%、カベルネ・ソーヴィニヨン 20%のセパージュです。フードルでの発酵熟成で、硬質でメリハリがあるレ・ボー・ド・プロヴァンスらしさがありつつ、大きなゆとりのある味わいです。

ピエールヴェール〜Pierrebert〜

昔はコトー・ド・ピエールヴェールというV.D.Q.S.でしたが、同じ名前のままA.O.C.に昇格し、2010年に名称が短くなりピエールヴェールとなりました。ピエールヴェール村を中心とする11の村に認められています。コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスの北側、プロヴァンス地方の最北部のワイン産地です。粘土石灰質土壌。

内陸型の地中海性気候で夏はとても暑く乾燥しますが、冬は寒く霜がおりることもあります。

ピエールヴェールは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていますが、赤ワインはシラー、グルナッシュ主体にカリニャン、サンソー 、ムールヴェードルが使えるのは珍しくありませんが、テウリエという珍しい黒ぶどうも使用可能で、さらの白ぶどうもかなり認められています。

認可されている白ぶどうは、ピクプール 、クレーレット 、ルーサンヌ、マルサンヌ、ユニブラン、グルナッシュブラン、ヴェルメンティーノにヴィオニエまで使えます。この規定はすごい。ただテウリエはほぼないみたいですね。パレットにしか残ってないのかも。

ロゼワインもだいたい同じような品種規定です。白ワインで使用可能な品種は、赤ワイン、ロゼワインで認められている白ぶどうと同じです。


ピエールヴェールを代表する造り手はシャトー・ド・ルーセです。赤ワインはシラーとグルナッシュでテウリエが入ってないのは残念ですが良いワインです。ドライで適度なスパイシーさがあります。

ベレ〜Bellet〜

ベレ18プロヴァンス

ニースの西側、プロヴァンスの東端に位置する小さなアペラシオンであるベレ(ヴァン・ド・ベレ)、ニースにでも行かないとなかなか飲めないワインです(地元消費がほとんど)

すぐ東側はイタリア、ピエモンテやリグーリアです。

アペラシオンの認定は1941年と古く、もう少し遡った19c頃には人気のワイン産地でした(ワイン生産の歴史自体はフランスでも最古の部類です)

テラス状の急斜面に畑はあり、土壌は鮮新世後期のプーダングという玉砂利を含む砂の塊です。第三紀の比較的新しい土壌です。

ベレでは赤ワイン、ロゼワイン、白ワイン全てが認められていますが、プロヴァンスでは珍しく、ロゼワインの比率がもっとも低くなっています。

ぶどう品種もベレは独特で赤ワインとロゼワインは、ブラケとフュエラ・ネラ(フェラ・ネラ)という品種を主体としています。どちらもイタリア原産のぶどうです。ブラケはイタリアに今もあるブラケットにも思えますが(同じ綴りのシノニムあり)、違うようです。フュエラ・ネラはフォル・ノワールとも呼びますが、こちらも詳細は分かりません)

白ワインはヴェルメンティーノ主体と珍しくないですが、補助品種としてブランケロン、マイヨルカンといった珍しい品種の使用が可能です(ロゼワインも)他にもブールブーランやクレーレットなども使えますし、白ワインにはシャルドネも認められています。


日本で買えるのはシャトー・ド・ベレくらいでしょうか?ベレに行った友人のお土産のベレのロゼも飲んだことありますが、オレンジっぽいニュアンスの美味しいワインでした。


プロヴァンスのワイン産地④、バンドールの記事はこちらからどうぞ。

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