プロヴァンス〜Provence〜

バンドールのワインの特徴

プロヴァンス風景バンドール

バンドール〜Bandol〜

バンドール村を中心とした8つの村に認められたアペラシオンであるバンドール。1941年にアペラシオンとして認められています。

認められているのは、バンドール〜Bandol〜、ル・ボセー〜Le Beausset〜、ラ・カディエール・ダジュール〜La Cadière-d’Azur〜、ル・カストレ〜Le Castellet〜、オリウール〜Ollioules〜、サン・シル・シュール・メール〜Saint-Cyr-sur-Mer〜、エヴノス〜Évenos〜、サナリー・シュール・メール〜Sanary-sur-Mer〜の8つの村ですが、それぞれ土壌が少しづつ異なります。

バンドールはムールヴェードルを主体とした力強い赤ワインが有名ですが、割合的には圧倒的にロゼワインが多いです。白ワインもわずかではありますが存在します。ロゼワインも赤ワイン同様力強いタイプです。プロヴァンスの他の地域のロゼとは随分と違います。白ワインもこってりとして重めです。

バンドールの土壌

バンドールの土壌は基本は三畳紀の石灰岩です。場所によってはジュラ紀や白亜紀の土壌もあるので注意が必要です。三畳紀のバンドールがもっともこってりしています。土の色も白亜紀が一番白っぽくジュラ紀、三畳紀と古くなるにつれて濃い色になります。

A.O.C.バンドールの海沿いのエリアは、バンドール村ともう少し東側に回り込んだサナリー・シュール・メールです。さらに東側でかつ内陸に位置するのがオリウールとエヴノスです。バンドール村の北西方向にはサン・シル・シュール・メールがあります。A.O.C.バンドールの北側で最も内陸にあるのがラ・カディエール・ダジュールとル・カストレ、そしてル・ボセーです。

カディエール・ダジュールとル・カストレは近いですが、この辺りは粘土質が多く、ル・カストレにはマール土壌も多いです。ル・カストレの地質年代は三畳紀と白亜紀がどちらもあります。オリウールには三畳紀の石灰岩が多くあります。

バンドールは乾燥した地域ですが、地中海の影響と地下水の多さから(地中海に繋がる水脈)、力強さがありつつも、しっとりしなやかなワインとなります。

バンドールはフランスの中でも特に暑い地域です。北側にサント・ボーム山が聳え、北風から守られるためです。南向き斜面は日照時間が3000時間にも及びます。

レスタンクと呼ばれる石を積んだテラス状の畑もバンドールの特徴の一つです。


カナデル14 15バンドール

ドメーヌ・カナデルはル・カストレのエリアです。三畳紀の硬い石灰質に粘土やマールがあります。粘土は質の高い青粘土があるのも特徴です。場所によっては白亜紀の石灰岩もあります。バンドールで最も有名なドメーの1つであるドメーヌ・タンピエもこのエリアです。

ドメーヌ・ド・ラ・ベギュードはジュラ紀の土壌が主体に三畳紀が混ざります。多くのバンドールは標高80m程度ですが、べギュードの畑は400mのところにあります。当然ムールヴェードル主体ですが、様々なクローンのムールヴェードルを揃えて複雑性を出しているのも特徴です。カディエール・ダジュール(有名なシャトー・ド・ピバルノンはここ)とサン・シル・シュール・メールの間を北西方向、内陸に進んだ所にドメーヌはあります。

ドラべギュードバンドール17

ドメーヌ・テールブリュンヌはオリウールの造り手です。三畳紀の茶色い粘土石灰岩が多いエリアです。三畳紀らしい翳りのある味わいです。

バンドールのぶどう品種

バンドールの赤ワインは、ムールヴェードルを50%以上使うことが規定されています。他の品種はグルナッシュやシラー、サンソーなど、おなじみの南仏品種です。

バンドールはかなり日照量の多いエリアです。皮が厚く晩熟なムールヴェードルがしっかりと熟す土地です。

バンドールはムールヴェードルの原産地でもあります。ムールヴェードルは骨格がしっかりとしていて、暑い場所でも酸をしっかりと保ちます。ムールヴェードルは乾燥に強いですが、栽培中はある程度の水分が必要で、地中海に近いバンドールはその点でもムールヴェードルに適しています。

ムールヴェードルは厚みがあり重めで、ざっくりしたワインになりますが、バンドールのムールヴェードルは細やかなタンニンで品もあります。スケールの大きな味わいです。

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バンドールは、伝統的にフードルで熟成させます。2年以上の樽熟成が規定です。ロゼワインの方が多いとは言え(ロゼワインの質も高いが)、バンドールはやはり赤ワインが特別な味わいだと思います。

ロゼワインも同じような品種構成ですが、白ぶどうも数種類使用可能です(白ぶどう使ったバンドールロゼをみたことありませんが)


カナデルバンドールロゼ18

赤ワインも紹介したシャトー・カナデルはロゼも良いです。もちろんロゼも土壌の影響を受けているのでどこの造り手なのかは把握したい所です。

白ワインはロゼワインにも使用可能なクレーレットが主体です。他にブールブーランやユニブランも使用可能です。ブールブーランやユニブランはロゼのバンドールにも使用可能な品種です。


プロヴァンスバンドールサンタンヌ

シャトー・サンタンヌはエヴノスの造り手です。オリウールの更に北側です。バンドール・ブランはクレーレット50%、ユニブラン50%です。


プロヴァンスのワイン産地⑤、パレットの記事はこちらからどうぞ。

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