ブルゴーニュ〜Bourgogne〜

ジュヴレ・シャンベルタンのワインの特徴

ジュヴレ・シャンベルタン

目次

ジュヴレ・シャンベルタン 〜Gevrey-Chambertin〜

コート・ド・ニュイの中でも非常に人気がある村であるジュヴレ・シャンベルタン。村名アペラシオンとしてはフィサンの南に下った次のアペラシオンですが、村としては間にブロションがあります。南部はモレ・サン・ドニと接しています。

もとはジュヴレ・アン・モンターニュ村でしたが、1847年に当時から有名だった畑、シャンベルタンの名前を付けてジュヴレ・シャンベルタン村となりました。以降、他の村でも同じように有名畑を村名に使う流れが出来ました。加えてグランクリュの名前にもシャンベルタンをつけるよう変更がされました。

ジュヴレ・シャンベルタンは村が大きく、かつ国道の東側のぶどうも使用可能なため、味わいの幅がかなり大きいのが特徴です。力強いワインを生む産地と言われますが、単純にそうとは言えない多様性があります。全体としては確かに力強いワインが多く、かっちりして芯があります。強くても重い感じではありません。まっすぐな性格。骨格、構造がしっかりしているのがジュヴレです。

ブルゴーニュの中でも古くからぶどうが栽培されていた地域で、紀元1cにはすでに葡萄畑がありました。中世に入り、修道士たちによってぶどう栽培が広く行われるようになり、中でもベーズ修道院が所有していたクロ・ド・ベーズは現在でもブルゴーニュを代表するグランクリュの一つです。

ワインは赤ワインのみです。ジュヴレ・シャンベルタン村のぶどうを使用した白ワインもありますが、広域アペラシオン表記となります。

ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュ

ジュヴレ・シャンベルタンには9つのグランクリュがありますが、名前の由来などを考えると、もともと素晴らしい土地だとは思われていなかった畑が多いように思えますが、現在のワインの味わいは素晴らしく、特にクロ・ド・ベーズとシャンベルタンの2つはブルゴーニュ最上の畑の1つです。

ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュは、赤ワインのみが認められていますが(村名やプルミエクリュもそうですが)、1959年まではルイ・レミーがシャンベルタン・ブランを生産していました。

ジュヴレ ・シャンベルタンのグランクリュ(9)
  • シャンベルタン〜Chambertin〜
  • シャンベルタン ・クロ・ド・ベーズ〜Chambertin Clos de Beze〜
  • リュショット・シャンベルタン〜Ruchottes Chambertin〜
  • マジ・シャンベルタン〜Mazis Chambertin〜
  • ラトリシエール・シャンベルタン〜Latricieres Chambertin〜
  • シャペル・シャンベルタン〜Chapelle Chambrtin〜
  • グリオット・シャンベルタン〜Griotte Chambertin〜
  • シャルム・シャンベルタン〜Charmes Chambertin〜
  • マゾワイエール・シャンベルタン〜Mazoyeres Chambertin〜

シャンベルタン〜Chambertin〜

ジュヴレ シャンベルタングランクリュ98

斜面の中腹に集中するグランクリュの中央上部に位置するシャンベルタン。ベルタンという名前の農夫が開墾した畑で、シャンベルタンはベルタンの畑の意味。13c頃、当時から有名だったクロ・ド・ベーズの隣に開墾した畑です。シャンベルタンとシャンベルタン・クロ・ド・ベーズがジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中でも別格と言われますが、この2つのクリュは方向性が結構違います。

クロ・ド・ベーズはこれぞ修道士の畑という厳格さがありますが、シャンベルタンはクロ・ド・ベーズと比べるとですが楽観的です。偉大、というよりはすごく美味しいワインと言った感じに近い印象です。

シャンベルタンとクロ・ド・ベーズは土壌は同じようなものなので、これほど違うというのは不思議です。2つの畑はブルゴーニュの中でもかなり複雑な土壌構成をしています。ジュラ紀の石灰岩ではありますが、様々な地層が重なっています(斜面下部から上部にかけて、バジョシアンからバトニアンに至る地層が何層にも重なっている。ウミユリ石灰岩やプレモー石灰岩、泥灰岩など)

そのため、造り手がどこの区画のぶどうを使っているかで味わいは大きく変わります(他の村のグランクリュも区画がどこなのかは大事な部分です。でもほとんどのグランクリュのワインは区画名を書いていないので、造り手がどこの区画を持っているのか、または購入しているのか、という情報と、どういう土壌だったら、どんな味になるのかを推論できる経験が必要です)

シャンベルタンの畑を所有している生産者は基本的に斜面上部から下部まで所有している方ばかりですが、ぶどうを購入してシャンベルタンを造っている造り手は、一部の区画からシャンベルタンを造っています(例えばドミニク・ローランは斜面上部のプレモー石灰岩の区画。シャンベルタンにクロ・ド・ベーズもブレンドしてある。クロ・ド・ベーズはシャンベルタンを名乗ることが出来るという規定も特徴の把握を難しくしている要因)

シャンベルタンの南端の畑はジャック・プリウールやアルマンルソーの区画がありますが、その隣はルイ・ラトゥールの区画です。ルイ・ラトゥールは軽やかな仕上がりのシャンベルタンを造ります。凄みはないですがそこが魅力です。フレンドリーで可愛らしい方向。

シャンベルタン ・クロ・ド・ベーズ〜Chambertin Clos de Beze〜

クロ・ド・ベーズは、シャンベルタンの北隣の畑です。土壌的にはシャンベルタンとほぼ同じです。クロ・ド・ベーズの歴史は630年頃までさかのぼれます。クロ・ド・ベーズも他のグランクリュ同様、シャンベルタンの名前が付きますが、クロ・ド・ベーズの方が早くから有名でしたし、シャンベルタンの名前がつかなくてもいいのでは?と思ってしまいます。現に多くの場合、ただクロ・ド・ベーズとだけ呼ばれることが多いように思います。

ただクロ・ド・ベーズはシャンベルタンの名前でリリースすることが可能です。後に述べるマゾワイエールと並んで、理解を難しくする部分です。逆にシャンベルタンはクロ・ド・ベーズとは名乗れないので、クロ・ド・ベーズはやはり特別な畑だと認識されていたのでしょう。

クロ・ド・ベーズは全ブルゴーニュワインの中でも最も崇高と言えるようなワインだと思います。現在は修道士がワインを造っていうわけでもないのにワインの中に修道士の意志が宿り続けているかのようです。この土地が特別なエネルギーを持った場所なのでしょう。

クロ・ド・ベーズを最も広く範囲で所有している造り手はピエール・ダモワです。シャンベルタンも少しですが所有していて、両グランクリュを合わせたトータルでも最も広い畑を所有しています。

次いで所有畑が広いのはアルマン・ルソーで、シャンベルタンとクロ・ド・ベーズを最もバランスよく所有している造り手です。

リュショット・シャンベルタン〜Ruchottes Chambertin〜

リュショット・シャンベルタンは、一連のグランクリュの中で最も最北に位置し、標高も最も高いです(唯一300mを超える)

諸説あるようですが、リュショットは岩の意味。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中で最も小さい畑です。マジ・シャンベルタンの斜面上部(西側)で、リュショット・シャンベルタンの中でも、より上部のリュショット・デュ・ドゥッシュと下部のリュショット・デュ・バに分かれます。

リュショット・シャンベルタンは、表土が浅く母岩が露出している部分もあります。母岩はバトニアンの石灰岩です(ジュラ紀中期)

急斜面で、コンブ・ド・ラヴォーから冷たい風が吹く涼しいクリマ。程よくかっちりしてミネラリー、細身で繊細なワインが生まれます。

上部の畑、リュショット・デュ・ドゥッシュにはクロ・デ・リュショット〜 Clos des Ruchottes〜という区画があってアルマン・ルソーの単独所有です。

リュショット・シャンベルタンの造り手は6人しかいませんが、その中でもドメーヌ・トラペ・ロシュランデのリュショット・シャンベルタンは好感が持てる味わいです。下部のリュショット・デュ・バに畑を所有しています。

ドメーヌ・トラペ・ロシュランデは100年前から使われているプレス機を使用して、ゆっくりぶどうを絞るのが特徴です。樽を使わないキュヴェがいくつもあり、非常にクリアでオススメですが、樽を使用しているリュショット・シャンベルタンもとても良いです。

樽を使用していると言っても、基本はステンレスタンク熟成で、リュショットの性格とステンレスタンクの綺麗な味わいがあっています。

マジ・シャンベルタン〜Mazis Chambertin〜

ジュヴレ マジシャンベルタン94

クロ・ド・ベーズの北隣(ほぼ同じ標高)、リュショット・シャンベルタンの斜面下部にあるマジ・シャンベルタン。マジは家などを指す言葉です。マジ・シャンベルタンも斜面上部のレ・マジ・オーと下部のレ・マジ・バに分かれます。リュショットと並んでコート・ドール最北のグランクリュ 。

クロ・ド・ベーズの斜面上部はバトニアンのプレモー石灰岩ですが、隣のマジ・シャンベルタンもプレモー石灰岩で、硬めの質感のワインが生まれます(上部に繋がるリュショットも同じくバトニアン)

下部はバジョシアンの石灰岩と泥灰岩です(バトニアンよりもう少し古い時代)

全体的にマジ・シャンベルタンはガッチリした強さがあります。はっきりした骨格を感じるワインです。くっきりとした表情でストレートな味わい。グランクリュとしては小さめで暗い雰囲気です。

フレデリック・エスモナンのマジ・シャンベルタンは、マジらしい堅牢なストラクチャーが魅力のワインです。

ラトリシエール・シャンベルタン〜Latricieres Chambertin〜

ジュヴレ ラトリシエール91

ラトリシエールは痩せた土地を意味する言葉です。ラトリシエールはシャンベルタンの南隣ですが、渓谷の出口に位置し、谷間からの風を受けるため冷涼な畑となっています。バジョシアンの石灰岩の上に泥灰岩が覆う土壌です。表土にも粘土が多く、粘土のニュアンスをしっかりと感じます。どっしりしつつも重たくはないのが特徴。果実のニュアンスは大人しくスパイシーな風味があります。

ロシニョール・トラペはビオディナミも取り入れたナチュラルな造りの生産者です。1990年にルイ・トラペの相続問題で分割され誕生したドメーヌ です。ラトリシエール・シャンベルタンは大人しくて控えめで優しい味わい。そっと寄り添ってくれるようなワインです。

シャペル・シャンベルタン〜Chapelle Chambrtin〜

シャペル・シャンベルタンは、クロ・ド・ベーズの下部に位置するグランクリュです。シャペルはベーズ修道院の教会があったことから付けられた名前です(1155年に建てられたノートル・ダム・ド・ベーズ)教会はフランス革命までありました。アン・ラ・シャペルとレ・ジェモーという2つの区画に分かれています(もともと別の畑でしたが統合された)

バジョシアンのウミユリ石灰岩。表土は浅く粘土多めです。隣のグリオット・シャンベルタンと比べてなだらかな斜面です。

シャペル・シャンベルタンは全体的に線の細い印象です。小さく優しい味わいです(表土が浅く硬い石灰岩の土壌としては珍しく柔らかさがある)

ドメーヌ・ドルーアン・ラローズは1850年にまで遡るジュヴレ・シャンベルタンの名門です。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュやプルミエクリュをいくつも所有している造り手ですが、それだけではなくシャンボール・ミュジニーの二大グランクリュボンヌ・マールとミュジニーも所有しています(クロ・ド・ヴージョも持っているので所有しているグランクリュはちょっとすごい)

栽培もナチュラルです。グランクリュがお手頃価格なのも嬉しい造り手です。

ドルーアン・ラローズのシャペル・シャンベルタンは柔らかく果実味も豊かで程よいミネラル感があります。

グリオット・シャンベルタン〜Griotte Chambertin〜

ジュヴレ グリオットシャンベルタン12マルシャンフレール

グリオット・シャンベルタンは、シャペル・シャンベルタンとシャルム・シャンベルタンの間に位置します。シャペル・シャンベルタン同様、クロ・ド・ベーズの東側です。グリオットは、この畑に野生のグリオットが生えていたためと言われています(諸説あり)

土壌はバジョシアンのウミユリ石灰岩です。表土は薄く石が多い畑です。シャペル・シャンベルタンの隣ですし、土壌も同じような感じですが、味わいの印象は結構違います。

急斜面で日照量も多く、力強い味わいです。過熟したチェリーのニュアンスがあります。

ドメーヌ・フーリエのグリオット・シャンベルタンは、やはり力強く果実味豊かで凝縮度の高いワインです。

シャルム・シャンベルタン〜Charmes Chambertin〜

ジュヴレ シャルムシャンベルタン12ジヴリオット

ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中でも品がある優しい味わいなのがシャルム・シャンベルタンです。シャルムは耕作放棄地の根を抜き取ることを意味しているようです。あまりいい名前に思えませんが、個人的にシャンベルタンとクロ・ド・ベーズを抜かしたグランクリュの中で一番好きなクリュです(マゾワイエールが入っていないシャルム)

シャルム・シャンベルタンは、シャンベルタンの東隣(斜面の下部)に位置します。土壌は小石が多く、少し赤みがかっています。表土は深めです。

しっかり抽出した濃い色調でフレーバーも強いワインを産むクロード・デュガは、性格的にはグリオット・シャンベルタンの方が合っていると思いますし、評判もグリオットが良いと思いますが、シャルム・シャンベルタンの柔らかくて厚みのあるスタイルも非常に好感が持てます。マゾワイエールの区画ではないシャルムのみのぶどうから造られています。

特別ナチュラルさなどは唄っていませんが、化学肥料は使いませんし、区画によっては所有する馬を使って耕しています。

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かなり高価なシャルム・シャンベルタンですが、クロード・デュガが立ち上げたネゴシアンであるラ・ジブリオットもシャルム・シャンベルタンを所有していいます。価格はかなり安く、かつ非常にしなやかで美しいワインです。

マゾワイエール・シャンベルタン〜Mazoyeres Chambertin〜

マゾワイエールは集落や家などの意味を持つ言葉です。マジと同じような意味合いです。シャルム・シャンベルタンの南にあり、シャルム・シャンベルタンを名乗ることができるので、マゾワイエール・シャンベルタンはあまり見かけませんが、やはり味の方向性は違います。

ざっくりした味わいで一連のグランクリュの中では雑さのある土っぽい地味な印象です。マゾワイエールの中でも北と南では土壌の色も違い、北側はシャルムっぽくなります。トプノ・メルムのマゾワイエール・シャンベルタンはマゾワイエールらしさを良い形で表現しているワインです。

トプノ・メルムはジュヴレが本拠地というわけではなく、モレ・サン・ドニの造り手ですが(コート・ド・ニュイだとシャンボール・ミュジニーにも畑がありますし、コート・ド・ボーヌのオーセイデュレスやサンロマン にも畑を持っています)、所有する畑のトップキュヴェはシャルム・シャンベルタンとマゾワイエール・シャンベルタンです(クロ・デ・ランブレイも少しだけ所有していますが、小さすぎるので実質的にないに等しい)この2つの畑を分けてワインを造っている造り手も珍しいですが、それぞれの畑の特徴をしっかりと生かしたワインを造っています。

ジュヴレ・シャンベルタンのプルミエクリュ

ジュヴレ・シャンベルタンには26のプルミエクリュがあります。

ジュヴレ・シャンベルタンは圧倒的知名度のグランクリュを保有している村ではありますが、プルミエクリュにも有名なクリュが数多く揃っています。他の村のプルミエクリュはいくつかしか知らなくても、ジュヴレ・シャンベルタンのプルミエクリュは聞いたことある畑が多いという方もたくさんいるのではないかと思います。

ジュヴレ ・シャンベルタンのプルミエクリュ(26)
  • レ・グーロ〜Les Goulots〜
  • シャンポー〜Champeaux〜
  • コンブ・オー・モワンヌ〜Combe au Moine〜
  • レ・カズティエ〜Les Cazetiers〜
  • プティ・カズティエ〜Petits Cazetiers〜
  • クロ・サン・ジャック〜Clos Saint-Jacques〜
  • エストゥールネル・サン・ジャック〜Estournelles-Saint-Jacques〜
  • ポワスノ〜Poissenot〜
  • ラヴォー・サン・ジャック〜Lavaut Saint-Jacques〜
  • ラ・ロマネ〜La Romanée〜
  • クロ・デ・ヴァロワイユ〜Clos des Varoilles〜
  • ラ・ボシエール〜La Bossière〜
  • クロ・デュ・シャピトル〜Clos du Chapitre〜
  • クレピヨ〜Craipillot〜
  • シャンポネ〜Champonnet〜
  • フォントニー〜Fonteny〜
  • レ・コルボー〜Les Corbeaux〜
  • イサール〜Issarts〜
  • ベル・エール〜Bel Air〜
  • オー・クロソー〜Au Closeau〜
  • ラ・ペリエール〜La Perrière〜
  • クロ・プリウール〜Clos Prieur〜
  • シャルボード〜Cherbaudes〜
  • プティ・シャペル〜Petite Chapelle〜
  • アン・エルゴ〜En Ergot〜
  • オー・コンボット〜Aux Combottes〜

グランクリュより標高の高い北西部分に最も評価の高いプルミエクリュ群があります。コンブ・ラヴォーという谷の北側斜面に弧を描くような形をした一群です。南側にはラ・ボシエールやラ・ロマネ、クロ・デ・ヴァロワイユ、ポワスノなどが続きますが、特に評価が高いのはその先のクリュで、南からラヴォー・サン・ジャックとその上部のエストゥーネル・サン・ジャック、クロ・サン・ジャック、レ・カズティエ、コンブ・オー・モワンヌ、シャンポーと有名畑が連なっています。

コンブ・オー・モワンヌ〜Combe au Moine〜

ジュヴレ1erコンブオーモワンヌ79

この一帯の畑だと個人的にはコンブ・オー・モワンヌが気に入っています。東向きの急斜面でマルヌ土壌、鉄分も多い畑です。表土は浅く、硬く厚いバトニアンの岩盤があります。よりこじんまりとしそうですが、力強くて大きく広がります。

レ・カズティエ〜Les Cazetiers〜

ジュヴレ1erレカズティエ90セラファン

レ・カズティエは相当、評価高い畑です。力強く濃厚、高密度。まっすぐで上昇力がある。南東向き斜面です。

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クロ・サン・ジャック〜Clos Saint-Jacques〜

カズティエと並んで評価が高いクロ・サン・ジャック。クロ・サン・ジャックの所有者は5名しかいませんが、どの造り手も良いとはいえドメーヌ・アルマン・ルソーと、ドメーヌ・フーリエのワインは特に人気が高いです。アルマン・ルソーではシャンベルタンとクロ・ド・ベーズに次ぐ扱いです(他のグランクリュより上)

クロ・サン・ジャックは上部は白っぽいマルヌで、下部は茶色っぽく粘土質が強くなります。どの造り手も斜面下部から上部まで所有していますので、違いは造りの差です(南側か北側で微妙に違うとはいえ)全体的に緻密で小さくて閉じた印象を受けます。

エストゥールネル・サン・ジャック〜Estournelles-Saint-Jacques〜

品の良さで言えばエストゥーネル・サン・ジャックも良い畑です。今はなきクレール・ダユのエストゥーネルは非常に評価の高いワインです。

ラヴォー・サン・ジャック〜Lavaut Saint-Jacques〜

ジュヴレ1erラヴォーサンジャック

ラヴォー・サン・ジャックも知名度の高いクリュですが、非常に硬質で酸もしっかりとあるワインを生みます。谷からの冷たい風が吹くエリアならではの冷涼感があります(このエリアは全体として標高が高く、急斜面で風が強く冷涼です。なので特に寒い年などは青い場合もあります。味わいがキツすぎる場合も)。畑自体は南向き斜面です。ラヴォー・サン・ジャックもマルヌです。

クロ・デ・ヴァロワイユ〜Clos des Varoilles〜

この一帯の人気畑と比べてあまり目立つ方ではありませんが、クロ・デ・ヴァロワイユも良い畑です。ドメーヌ・デ・ヴァロワイユのモノポールです。南向きの急斜面。白っぽいマールと粘土石灰に砂質もあります。

クレピヨ〜Craipillot〜

クレピヨはジュヴレ・シャンベルタンのプルミエクリュの中では例外的な優しい可愛らしい性格のクリュです。クロ・サン・ジャックの東側の近い場所にある畑なのに性格は真逆で面白いところです。

フォントニー〜Fonteny〜、レ・コルボー〜Les Corbeaux〜

グランクリュのマジ・シャンベルタンやリュショット・シャンベルタンに隣接しているフォントニーやレ・コルボーもオススメです、場所的にジュヴレ・シャンベルタンの中心に位置しますが、味わい的にもジュヴレらしさが最も感じられる畑のように思います。

プティ・シャペル〜Petite Chapelle〜

ジュヴレ1erプティシャペル09

シャペル・シャンベルタンの下部に位置するプティ・シャペルは名前の通り、少しこじんまりとしたワインですが細やかな質感の上質なクリュです。伸びやかさはありませんが、安定感のある味わいです。

他のプルミエクリュと比べて芯が硬くないのも特徴です。

オー・コンボット〜Aux Combottes〜

ジュヴレ・シャンベルタンの最南端にあるプルミエクリュ、オー・コンボットはラトリシエール・シャンベルタンとマゾワイエールシャンベルタンに隣接した畑ですが、反対側はモレ・サン・ドニのグランクリュ、クロ・ド・ラ・ロッシュです。両村のグランクリュに挟まれた好立地と言えます。むしろマゾワイエールの南部のエリアより良いクリマ。細身で無駄な部分がなくしっかりとした骨格があります。隣のクロ・ド・ラ・ロッシュは急斜面ですが、比べると穏やかな斜面です。

ピエール・アミオもそうですが、所有者はモレ・サン・ドニの造り手が多いですね。

ジュヴレ・シャンベルタンの造り手

クリュの紹介の中でも造り手のことも軽く書いてますが、ジュヴレ・シャンベルタンを代表する造り手をもう少しだけ詳しく書いていきます(より詳しい詳細は別記事にする予定)

  • ドメーヌ・アルマン・ルソー〜Domaine Armand Rousseau〜
  • ドメーヌ・フーリエ〜Domaine Fourrier〜
  • ドメーヌ・クロード・デュガ〜Domaine Claude Dugat〜
  • ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィ〜Domaine Bernard Dugat-Py〜
  • ドメーヌ・ドニ・モルテ~Domaine Denis Mortet~
  • ドメーヌ・モーム~Domaine Maume~
  • ドメーヌ・フレデリック・エスモナン~Domaine Frederic Esmonin~

ドメーヌ・アルマン・ルソー〜Domaine Armand Rousseau〜

ドメーヌ・アルマン・ルソーはジュヴレ・シャンベルタンを語る上で欠かせない存在です。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュを9つ中、5つも所有しています(シャンベルタン、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、シャルム・シャンベルタン、マジ・シャンベルタン、リュショット・シャンベルタン)

ジュヴレ・シャンベルタンのプルミエクリュも、クロ・サン・ジャック、ラヴォー・サン・ジャック、カズティエと評価の高いクリュを所有していますし、ジュヴレを代表する生産者と言えます。20c初頭、ブルゴーニュで最初期にワイン元詰めを始めた造り手の一人でもあります。リュットリゾネ。90%程度除梗。新ダルはあまり使いませんが、クロ・ド・ベーズは新ダル100%です。

ドメーヌ・フーリエ〜Domaine Fourrier〜

ドメーヌ・フーリエはアンリ・ジャイエのもとなどで研修をしたジャン・マリー・フーリエ氏(5代目)のドメーヌです。リュット・リゾネ。100%除梗、自然な温度での低温浸漬、無濾過無清澄です。テロワリストを名乗るジャン・マリー氏はテクニックを多用しない自然を大切にしたワインを造っています。

フーリエはグランクリュこそグリオット・シャンベルタンのみですが、プルミエクリュは数多く所有しています(クロ・サン・ジャック、コンブ・オー・モワンヌ、シェルボード、レ・シャンポー、レ・グーロ、レ・グリュアンシエール)

ドメーヌ・クロード・デュガ〜Domaine Claude Dugat〜

家族経営の小さなドメーヌであるクロード・デュガは所有する畑も非常に少なく、特にグランクリュはレアで高価です。グランクリュはグリオット・シャンベルタンとシャルム・シャンベルタン、シャペル・シャンベルタンの3つを所有しています。パーカーポイント100点を取ったことのある数少ないブルゴーニュの造り手でもあります。実際、グリオット・シャンベルタン1993が100点を取ったことで爆発的に人気が高まりました。

しっかりと完熟したぶどうを使用するのが特徴でもあり、早詰みエレガント方向のワインが多い現代では貴重です。剪定をしっかりと行い収量がかなり少ないのも特徴の1つです。非常に凝縮度の高いワインが生まれます。プルミエクリュはラヴォー・サン・ジャックを畑名でリリースしているのに加えて、クレピヨと、マジ・シャンベルタンの下部に位置するラ・ペリエールをアッサンブラージュした畑名なしのプルミエクリュもリリースしています。

ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィ〜Domaine Bernard Dugat-Py〜

ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィは、クロード・デュガとは親戚関係にあります。ビオロジックです。凝縮度が高く濃密でありながら、ほぐれ感があります。シャンベルタン、マジ・シャンベルタン、シャルム・シャンベルタン、マゾワイエール・シャンベルタンと4つのグランクリュを所有していますが、かなり所有面積は小さく、特にシャンベルタン、1樽にも満たないくらいの量しか出来ません(なので飲んだことありません)

シャルム・シャンベルタンとマゾワイエール・シャンベルタンを別のワインとして仕上げている造り手ですが、シャルム・シャンベルタンにもマゾワイエールの区画が入っています。シャルムに入るマゾワイエールの区画はシャルムに隣接した区画で、土壌的にも同じような感じです。別に仕上げているマゾワイエールは、石も多く灰色っぽい土壌で、ガッチリした仕上がりです。

プルミエクリュはラヴォー・サン・ジャック、シャンポー、プティット・シャペルの3つは畑名でリリースしていて、他にもフォントニー、コルヴォー、ペリエールをアッサンブラージュした畑名なしのプルミエクリュもリリースしています。斜面の上中下の畑のブレンドから生まれるプルミエクリュはかなりバランスが良いです。

ドメーヌ・ドニ・モルテ~Domaine Denis Mortet~

ドニ・モルテは1993年にドニ・モルテ氏が父から畑を受け継ぎ誕生したドメーヌです。2006年にドニ・モルテ氏は亡くなってしまい、現在は息子のアルノー氏がドメーヌの運営を行なっています。息子の代になり随分と柔らかさが出てきたと思います。メオカミュゼやルフレーヴでの研修を行なったアルノー氏ですが、他にオレゴンや、オーストラリアでの経験もあります。

ビオディナミに関心がありルフレーヴで経験したようですが、ドニ・モルテはビオディナミではありません。ですがナチュラルな栽培ではあります。醸造は完全除梗、低温マセレーション、コンクリートタンク発酵です。

グランクリュはジュヴレ・シャンベルタン村のものはシャンベルタンのみで、かつかなり小さな面積なのでなかなかお目にかかれないワインです。他の村を含めるとクロ・ド・ヴージョも所有しています。

プルミエクリュはラヴォー・サン・ジャック、シャンボーを畑名でリリースする他、シェルボード、プティット・シャペル、シャンポネ、ベル・エールも所有し、これらはアッサンブラージュしてリリースしています。グランクリュを囲む様に点在する畑のアッサンブラージュはなかなか興味深いですね(シャンポネだけグランクリュに隣接していない)

ドメーヌ・モーム~Domaine Maume~

古典的で昔ながらの手法でワインを造るドメーヌ・モーム。グランクリュはマジ・シャンベルタンとシャルム・シャンベルタンを所有していますが、旗艦ワインであるマジ・シャンベルタンの評価が高く、1800年代の後半から所有していたという古い歴史があります。

プルミエクリュはシャンポーとラヴォー・サン・ジャックをリリースしている他、シェルボードとペリエールをアッサンブラージュした畑名なしのものもリリースしています。シェルボードもペリエールもマジ・シャンベルタンに隣接する畑なので、比べてみると面白いと思います。

ですが、ドメーヌ・モームは2012年に相続問題により、ドメーヌをカナダのモレ・トーズに売却しました。現在はモーム・バイ・ドメーヌ・トーズという名前でワインをリリースしています。ワインのスタイルも結構代わり、現在はビオディナミを行なっていますし、以前は100%除梗していたのが一部全房で発酵させるなど、違ったスタイルのワインとなっています。

ドメーヌ・フレデリック・エスモナン~Domaine Frederic Esmonin~

フレデリック・エスモナンは1970年代に設立されたドメーヌです。ドメーヌ元詰めは1988年と遅めですが、以前はルロワなどの有名ネゴシアンに販売していました。コンプランシアンの畑も持っていますが、ジュヴレ・シャンベルタンに特化したドメーヌと言って良いと思います。

所有するグランクリュはマジ・シャンベルタンとリュショット・シャンベルタンです。プルミエクリュはラヴォー・サン・ジャックとエストゥーネル・サン・ジャックの2つです。

フレデリック・エスモナンの何より良いのは値段が安いことです。超人気のドメーヌと比べると半分以下の価格ですので、アペラシオンの特徴を掴むのに最適な造り手です。マジとリュショット以外のグランクリュも持っていたらどんなにありがたいことか(昔はグリオットも造っていましたが)

ワイン醸造は100%除梗で低温マセレーションを行なった後に発酵させます。熟成に使う樽はプルミエクリュ以上は新ダル100%です。


こちらはコート・ド・ニュイのアペラシオン④〜モレ・サン・ドニ〜の詳しい紹介です。

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