ボルドーの格付けについてまとめています。有名なワインが多いので、数は多いですが比較的、覚えやすい部分だと思います。
僕が書いたメドックのページでは村ごとに紹介していますが、ソムリエ教本では級ごとですね。
ボルドー地方の格付け
メドック地区、グラーヴ地区、ソーテルヌ地区、サン・テミリオン地区の優良生産者は格付けワインとして認定されている。
メドック地区の1855年の格付け
1855年のパリ万国博覧会の際、ナポレオン3世の命令を受けたボルドー市の商工会議所が、当時の取引価格を基にジロンド県のワインの格付けを作成した。
全ジロンド県のワインが対象だったが、19cに主に輸出されていたのはメドック地区の赤ワインと、ソーテルヌ、バルサック地区の甘口白ワインだったため、この2地域のワインが格付けに選ばれる結果となった。
1級から5級まで5階級で60シャトーが格付けされている。
当時52シャトーが格付けされたが、その後の分割や消滅により、60となった(グラーヴ地区のシャトー・オー・ブリオンを含めると61)
シャトー・ムートン・ロッチルドは1903年に2級から1級に昇格した。
メドックの格付けされたワインは赤ワインのみ(メドックのA.O.C.はそもそも赤ワインしかない)
メドック1級格付け(4シャトー+シャトー・オー・ブリオン)
- シャトー・ラフィット・ロッチルド(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ラトゥール(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ムートン・ロッチルド(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・マルゴ(A.O.C.マルゴ)
メモ
いつからかはわかりませんが、ロートシルトではなく、ロッチルドときちんとフランス語で表記されるようになっています。ドイツ語がまざった表記は変ではあるので良いことなのですが、昔からロートシルトと言っているので逆に慣れません。
メドック2級格付け(14シャトー)
- シャトー・モンローズ(A.O.C.サン・テステフ)
- シャトー・コス・デス・トゥルネル(A.O.C.サン・テステフ)
- シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・デュクリュ・ボーカイユ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・レオヴィル・ラスカーズ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・レオヴィル・ポワフェレ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・レオヴィル・バルトン(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・グリュオ・ラローズ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・ブラーヌ・カントナック(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・ローザン・セグラ(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・ローザン・ガシー(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン(A.O.C.マルゴ)
メモ
2級までは文句なく質の高いワインばかりです(もう少しナチュラルだったらなお良さそうなのにとは思うものもありますが)
メドック3級格付け(14シャトー)
- シャトー・カロン・セギュール(A.O.C.サン・テステフ)
- シャトー・ラグランジュ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・ランゴア・バルトン(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・ディサン(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・パルメール(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・カントナック・ブラウン(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・キルヴァン(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・ボイド・カントナック(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・デスミライユ(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・ジスクール(A.O.C.マルゴ、コミューンはラバルド)
- シャトー・フェリエール(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・マレスコ・サン・テクジュペリ(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・マルキ ・ダレーム・ベッケール(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・ラ・ラギュンヌ(A.O.C.オー・メドック、コミューンはリュドン)
メモ
シャトーの名前の表記も微妙に変わっているものが結構あります。パルメは今はパルメールと表記するようになったのですね。
メドック4級格付け(10シャトー)
- シャトー・ラフォン・ロシュ(A.O.C.サン・テステフ)
- シャトー・デュアール・ミロン・ロッチルド(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・サン・ピエール(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・ベイシュヴェル(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・プラネール・デュクリュ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・タルボ(A.O.C.サン・ジュリアン)
- シャトー・プージェ(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・プリウレ・リシーヌ(A.O.C.マルゴ、コミューンはカントナック)
- シャトー・マルキ ・ド・テルム(A.O.C.マルゴ)
- シャトー・ラトゥール・カルネ(A.O.C.オー・メドック、コミューンはサン・ローラン)
メドック5級格付け(18シャトー)
- シャトー・コス・ラボリ(A.O.C.サン・テステフ)
- シャトー・バタイィ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・オー・バタイィ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・クロワゼ・バージュ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・オー・バージュ・リベラル(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ランシュ・バージュ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ランシュ・ムーサ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ポンテ・カネ(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・グラン・ピュイ・デュカス(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ぺデスクロー(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・ダルマイヤック(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・クレール・ミロン(A.O.C.ポイヤック)
- シャトー・デュ・テルトル(A.O.C.マルゴ、コミューンはアルサック)
- シャトー・ドーザック(A.O.C.マルゴ、コミューンはラバルド)
- シャトー・ベルグラーヴ (A.O.C.オー・メドック、コミューンはサン・ローラン)
- シャトー・ド・カマンサック(A.O.C.オー・メドック、コミューンはサン・ローラン)
- シャトー・カントメルル (A.O.C.オー・メドック、コミューンはマコー)
※コミューン名が書いてないものはA.O.C.と同じコミューン
グラーヴ格付け地区の格付け
メドックの格付けから100年近く経った1953年に、グラーヴの格付けが行われた。1959年に修正され、16シャトーが認定。
赤ワイン、白ワインそれぞれ格付けが行われ、赤ワインのみ格付けされたシャトーが7、赤ワインと白ワインがどちらも格付けされたシャトーが16、白ワインのみ格付けされたシャトーが3。
階級の上下はなし。
格付けされたワインは全てA.O.C.ぺサック・レオニャンのもの。
シャトー・オー・ブリオンの白ワインは生産量が少ないため、格付け入りを辞退。
グラーヴ地区、赤ワインのみ格付け(7)
- シャトー・オー・ブリオン(コミューンはぺサック)
- シャトー・パプ・クレマン(コミューンはぺサック)
- シャトー・ド・フューザル(コミューンはレオニャン)
- シャトー・オー・バイィ(コミューンはレオニャン)
- シャトー・スミス・オー・ラフィット(コミューンはマルティヤック)
- シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオン(コミューンはタランス)
- シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン(コミューンはタランス)
グラーヴ地区、赤ワイン、白ワインともに格付け(6)
- シャトー・カルボニュー(コミューンはレオニャン)
- ドメーヌ・ド・シュヴァリエ(コミューンはレオニャン)
- シャトー・マラルティック・ラグラヴィエール(コミューンはレオニャン)
- シャトー・オリヴィエ(コミューンはレオニャン)
- シャトー・ラトゥール・マルティヤック(コミューンはマルティヤック)
- シャトー・ブスコー(コミューンはカドジャック)
グラーヴ地区、白ワインのみ格付け(3)
- シャトー・クーアン(コミューンはヴィルナーヴ・ドルノン)
- シャトー・クーアン・リュルトン(コミューンはヴィルナーヴ・ドルノン)
- シャトー・ラヴィユ・オー・ブリオン(コミューンはタランス)
シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオンは2005年ヴィンテージを最後に生産中止。現在はラ・シャペル・ド・ラ・オー・ブリオンにブレンドされている。
シャトー・ラヴィユ・オー・ブリオンは2009年ヴィンテージから、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン・ブランに名称変更。
サン・テミリオン地区の格付け
メドックの格付けからほぼ100年経った1954年の政令で公布。約10年ごとに格付けの見直しが行われる。
サン・テミリオン地区の格付けはA.O.C.サン・テミリオン・グラン・クリュを対象として、サン・テミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセと、サン・テミリオン・グラン・クリュ・クラッセの2階級となっている。
プルミエ・グラン・クリュ・クラッセはさらに2つに分かれていて、(A)が付くものが上位。
最新の格付けは2012年のもの。プルミエ・グラン・クリュ・クラッセは18シャトー 、グラン・クリュ・クラッセは64シャトー 。
サン・テミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)
- シャトー・オーゾンヌ
- シャトー・シュヴァル・ブラン
- シャトー・アンジュリュス
- シャトー・パヴィ
プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)は長い間、シャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブランの2つでしたが、そこにシャトー・アンジュリュス、シャトー・パヴィが加わった。
サン・テミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(14)
- シャトー・ボーセジュール(デュフォ・ラガロス)
- シャトー・ボーセジュール・ベコ
- シャトー・べレール・モナンジェ
- シャトー・カノン
- シャトー・カノン・ラ・ガフリエール
- シャトー・ラ・ガフリエール
- シャトー・フィジャック
- クロ・フルテ
- シャトー・ラルシス・デュカス
- ラ・モンドット
- シャトー・パヴィ・マッカン
- シャトー・トロロン・モンド
- シャトー・トロット・ヴィエイユ
- シャトー・ヴァランドロー
グラン・クリュ・クラッセに64シャトーは数くらいで覚える必要なし。
メモ
もちろん試験とは別に飲んだワインを中心に覚えていくのが良いと思います。
ポムロール地区の優良生産者
ポムロール地区には格付けは存在しないが、優良生産者と認められている造り手が多くいる。
- シャトー・ペトリュス
- シャトー・レヴァンジル
- シャトー・トロタノワ
- シャトー・セルタン・ド・メイ
- ヴュー・シャトー・セルタン
- シャトー・ラ・コンセイヤント
- シャトー・プティ・ヴィラージュ
- シャトー・ガザン
- シャトー・ラ・フルール・ペトリュス
- シャトー・ラフルール
- ル・パン
- シャトー・ネナン
- ドメーヌ ・ド・レグリーズ
- シャトー・ラトゥール・ア・ポムロール
- シャトー・ド・サル
ソーテルヌ地区の格付け
メドック地区の格付けと同時に(1855年)ソーテルヌ地区の地区の格付けも制定。
プルミエ・クリュ・シュペリュール(1シャトー)、プルミエ・クリュ「1級」(11シャトー)、ドゥジエム・クリュ「2級」(15シャトー)の3段階に分かれている。合計27シャトー。
コミューンがバルサックのシャトーは、A.O.C.バルサックまたはA.O.C.ソーテルヌを名乗ることが出来る。
それ以外のコミューンのシャトーは全てA.O.C.ソーテルヌ。
プルミエ・クリュ・シュペリュール(1)
- シャトー・ディケム
プルミエ・クリュ・シュペリュールはシャトー・ディケムのみ(最も標高の高い丘の頂上)
プルミエ・クリュ(11)
- シャトー・クリマンス(A.O.C.バルサック、コミューンもバルサック)
- シャトー・クーテ(A.O.C.バルサック、コミューンもバルサック)
- シャトー・ギロー(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンもソーテルヌ)
- シャトー・スデュイロー(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはプレニャック)
- シャトー・リューセック(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはファルグ)
- シャトー・ラ・トゥール・ブランシュ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
- シャトー・ラフォリ・ペラゲ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
- シャトー・クロ・オー・ペラゲ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
- シャトー・ド・レーヌ・ヴィニョー(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
- シャトー・ラボー・プロミ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
- シャトー・シガラ・ラボー(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはポンム)
ドゥジエム・クリュ(15)
- シャトー・ブルースト(A.O.C.バルサック、コミューンもバルサック)
- シャトー・ドワジ・デュブロカ(A.O.C.バルサック、コミューンもバルサック)
- シャトー・ネラック(A.O.C.バルサック、コミューンもバルサック)
- シャトー・カイユ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはバルサック)
- シャトー・ドワジ・デーヌ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはバルサック)
- シャトー・ドワジ・ヴェドリーヌ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはバルサック)
- シャトー・ド・ミラ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはバルサック)
- シャトー・スオ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはバルサック)
- シャトー・ダルシュ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンもソーテルヌ)
- シャトー・フィロ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンもソーテルヌ)
- シャトー・ラモット(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンもソーテルヌ)
- シャトー・ラモット・ギニャール(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンもソーテルヌ)
- シャトー・ロメール(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはファルグ)
- シャトー・ロメール・デュ・アヨ(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはファルグ)
- シャトー・ド・マル(A.O.C.ソーテルヌ、コミューンはプレニャック)
メモ
ソーテルヌのドゥジエム・クリュも書きましたが、そんなにきちんと覚えなくて大丈夫だと思います。
セカンドワイン
フランス語ではスゴンヴァン。樹齢の若いぶどうから造られたワインや、醸造初期の熟成段階で選別されたワイン。特定の区画のワインにより造られる。
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