ソムリエ試験対策〜アルザス・ロレーヌ地方〜
ソムリエ教本に沿ったアルザスのまとめです。非常に短いですね。特にアルザス・グランクリュは、ソムリエ試験合格後に掘り下げていくと面白い部分です。
アルザスのプロフィール
フランス北東部に位置、東側にはライン川が南北に流れ、ライン川を挟んでドイツと国境を接する。西側はヴォージュ山脈が南北に連なる。
ヴォージュ山脈の東側丘陵にぶどう畑は広がり(標高170〜478m)、北のヴィセンブールから南のタン(厳密にはラインバック)まで170キロ。幅1.5〜3キロの帯状に広がる。
アルザスの気候
ヴォージュ山脈を越えた風はフェーン現象を引き起こし、大西洋からの湿った風を遮るため、降雨量はフランスでも特に少ない。暖かく乾燥した大陸性気候。
アルザスの土壌
モザイクと表現されるほど多種多様な土壌
花崗岩、片麻岩、シスト(結晶片岩)、火山性堆積岩、砂岩、石灰質、石灰の石膏が混じった泥灰質、砂岩の石ころが混じった泥灰質、粘土と石灰と砂岩の混合、石灰で固められた石英の粒子、粘土がちの泥灰質、崩積土、沖積土、横土。
一つの村に4〜5種のことなる土壌。
メモ
アルザスはこの土壌が多種多様なところが非常に面白いところです。土壌の違いがしっかりと味に出ているので色々と飲み比べてみてください。
アルザスの歴史
古代ローマ時代にはすでにぶどう畑があったと考えられているが、ぶどう栽培の足跡は9cまでない。
神聖ローマ帝国に支配されていたが、1648年のウエストファリア条約でアルザスはフランスに割譲。普仏戦争で敗れたフランスは1871年のフランクフルト講和条約で、アルザスをドイツ帝国に譲渡。
普仏戦争でドイツ領となった後は質より量、安価なブレンドワインの供給地となる。
19cのフィロキセラの後、病気に強い交配品種が平地に植えられる。斜面の畑は見捨てられる。
1919年、第一次大戦後のベルサイユ条約で再びフランス領に。第一次大戦後、斜面の畑の植え付けが再開。1940年、第二次大戦でナチスドイツがアルザスを占領。1945年にアルザス領に復帰、現在に至る。こういった歴史のため、ドイツ文化の影響を強く受けている。
6割以上の住民が、ゲルマン語系のアルザス語を話せる。
アルザスの地方料理と食材
- シュークルート 乳酸発酵させた塩漬けキャベツにハム、ソーセージ、ジャガイモを添える。
- ベックオフ 肉と野菜の白ワイン蒸し煮
- タルト・フランベ アルザス風薄焼きピザ
- クグロフ レーズン入りブリオッシュ
- フォワ・グラ・ドワ ガチョウのフォワ・グラ
- マンステール 牛乳のA.O.P.ウォッシュチーズ
アルザスのぶどう品種
白ぶどう
- リースリング
- ゲヴェルツ・トラミネール
- ピノ・グリ
- ミュスカ(ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン、ミュスカ・ローズ・ア・プティ・グラン、ミュスカ・オットネル)
- ピノブラン=クレヴネール(クレヴネール・ド・ハイリゲンシュタイン=サヴァニャン・ローズとは異なる)
- シルヴァネール
黒ぶどう
- ピノ・ノワール
アルザス地方のA.O.C.
1962年にA.O.C.アルザス、1975年にA.O.C.アルザス ・グラン・クリュ、1976年にA.O.C.クレマン・ダルザスが認定されている。
ワインは単一品種から造られることが多い。
A.O.C.アルザス/A.O.C.ヴァン・ダルザス
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン。アルザス全品種(サヴァニャン・ローズはハイリゲンシュタインのみ)
単一品種の場合は品種名を併記する。オーセロワとピノブランをアッサンブラージュした場合、ピノブランと併記可能。
複数の品種を混醸、アッサンブラージュした場合はエデルツヴィッケールの併記可能。高貴品種を50%以上使用したアッサンブラージュは(混醸は不可)ジョンティの併記可能。
一定の条件を満たした場合は13の地理的名称を付記できる。クレヴネル・ド・ハイリゲンシュタインのみ覚える(ここだけ品種がサヴァニャン・ローズ)
一定の条件を満たした場合、リューディ名を付記することが出来る。
メモ
リューディも地理的名称もいくつかの除き僕も特徴を把握出来ていない部分です。
A.O.C.アルザス ・グラン・クリュ
白ワインのみ。51のリューディが認められている。
1975年にシュロスベルグがこのA.O.C.として認められ、1983年に24のリューディが昇格、1992年に25のリューディが追加、2007年にケフェルコップフが加わり51。
2011年にリューディそれぞれが単独のA.O.C.として認められた。
高貴品種4品種、リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノグリ、ミュスカ(ミュスカ・オットネル表記可)の中の1つの品種を使用。
ぶどうは手摘み。
リューディ名と品種名を表記。
いくつかの例外がある。
- アルテンベルグ・ド・ベルガハイムは単一の場合はゲヴェルツ・トラミネール、リースリング、ピノグリで、これら3品種に加え、2005年3月26日以前に植樹されたぶどうであれば、ピノブラン、ピノノワール、ミュスカ 、シャスラの混醸可能。
- ケフェルコップフは高貴品種4品種の混醸、アッサンブラージュ可能。単一も可能だがミュスカは不可。
- ゾッツェンベルグはミュスカが不可で代わりにシルヴァネールが使用可能。
メモ
アルザス ・グラン・クリュは例外的なもののみ覚える感じでソムリエ試験は大丈夫だと思います。教本には名前が一覧になっているだけですね。ただ特徴を覚えていくと本当に楽しい部分です。
A.O.C.クレマン・ダルザス
発泡性の白ワインまたはロゼワイン。ロゼワインはピノノワールのみ。瓶内二次発酵。ティラージュ後7ヶ月以上熟成。使用可能品種はリースリング、ピノノワール、ピノグリ、ピノブラン、オーセロワ、シャルドネの6品種。
フランス国内で消費されるクレマンの第一位。
アルザスの甘口ワイン、貴腐ワイン
遅摘みによるパスリヤージュ(樹上乾燥)や貴腐ぶどうから甘口ワインを造ることが出来る。高貴品種4品種のうち一つを使用。ぶどうは手摘み。
- ヴァンダンジュ・タルディーヴ
- セレクション・グラン・ノーブル
A.O.C.アルザス、A.O.C.アルザス・グラン・クリュに付記することが出来る。収穫時の果汁糖分最低含有量が定められている(補糖不可)
- ゲヴェルツ・トラミネール、ピノグリ(ヴァンダンジュ・タルディーヴは270g/ℓ、セレクション・グラン・ノーブルは306g/ℓ)
- リースリング、ミュスカ (ヴァンダンジュ・タルディーヴは244g/ℓ、セレクション・グラン・ノーブルは276g/ℓ)
収穫翌年の6月1日までは熟成が必須。
ロレーヌ地方
アルザス 地方の西側に広がる。
- A.O.C.コート・ド・トゥール(赤、白、グリ。赤ワインはピノノワール、グリはガメイとピノノワールのブレンド、白ワインはオーセロワ主体「
- A.O.C.モーゼル(赤、白、ロゼ。赤ワインはピノノワール、ロゼワインはピノノワール70%以上、白ワインはオーセロワ主体にミュラー・トゥルガウ、ピノグリ。