南西地方〜sud-ouest〜

バスク・ピレネー地区のワインの特徴

イルレギ

バスク・ピレネー地区〜Basque & Pyrénées〜

ソムリエ教本などではピレネー地区と表記されていますが、バスクを加えた方が理解しやすい感じがあるので、バスク・ピレネーと紹介しています。

名前の通り、ピレネー山脈の麓に広がるエリア、フレンチ・バスクと呼ばれる地域を示していて、バスクは現在でこそ国が分かれていますが、元々はスペインのバスクを含めて同じ文化圏でした。そのためスペインのバスク地方も一緒に考えた方が理解が深まります。

バスク・ピレネー地区には、マディラン、パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィル、ジュランソン、イルレギ、ベアルン、サン・モン、トゥルサンといったアペラシオンがあります。

マディラン〜Madiran〜

南西地方カップマルタンマディラン

マディランはカオールと並んで南西地方で知名度のある赤ワインのアペラシオンです。粘土石灰質土壌。

マディランは、タナ種を主体とした赤ワインの産地です。タナはタンニンが名前の由来となっていて、強い渋みが特徴です。

マディランを世界的に有名にしたのはアラン・ブリュモンです。アラン・ブリュモンのシャトー・モンテュス〜Chateau Montus〜の知名度が、そのままマディランの知名度と言って良いくらいです。

ただ近年は、他の造り手にもスポットライトが当たるようになり、良くも悪くもアラン・ブリュモンの味わいがマディランの全てみたいな状況が変わり、マディランのテロワールがみえてきたように思います。

カップ・マルタンのマディランもオススメです。いくつかのタイプのマディランを造っていますが、価格の安いマディラン・トラディションは軽やかで、イメージとは違いマディランの人当たりの良さを感じます。もう少し価格の高いマディランVVになると、多くの人がマディランに期待するタンニンの強さやガッチリした骨格が表現されています(アラン・ブリュモンもそうですがテロワールではなく造りによる味わいの表現ですね)

パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィル〜Pacherenc du Vic Bilh〜

マディランと同じエリアの白ワインはアペラシオン名が変わり、パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィルとなります。

ぶどう品種はプティ・マンサンやグロ・マンサン、プティ・クルヴュなどが主体となります。基本的に甘口ですが、辛口もあり、パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィル・セック表記になります。このエリアの主要品種は酸が強いものが多く、甘口ワインにもしっかりとした酸を感じます。

ピエール・ラプラスはA.O.C.マディランの創設に貢献した造り手です。リュット・リゾネ。総じてパシュラン・デュ・ヴィク・ヴィルはマディランと同じ地域、土壌とはいえ、より伸びやかなものが多いです。

ジュランソン〜Jurançon〜

南西地方ジュランソンセック11

ジュランソンもプティ・マンサン、グロ・マンサンなどを主体とした白ワインの産地で、パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィルと同じく甘口が有名ですが、辛口ワインの質も高くジュランソン・セック表記となります(個人的にはセックが好き)

氷河に削られ運ばれてきた丸い礫(石灰岩)が多くあるのが特徴です。砂岩や粘土もあります。パシュラン・デュ・ヴィク・ヴィルと同じような品種構成ですが、より品格があり伸びやかな印象を受けます。

カマラレ、ローゼといった補助品種も認められています。

ドメーヌ・コアペはジュランソンの中でもトップクラスの質の高いワインを造る生産者です。甘口ワインのモワルーが美味しいのはもちろんのこと、辛口のセックの質も抜群です。

甘口ワインも辛口ワインも数種類のキュヴェを造っていますが、ジェゼー・ジュランソン・セックの、プティ・マンサン30%、グロ・マンサン30%、カラマレ30%、ローゼ5%というセパージュが良い感じです(造っているワインの中で最もセパージュの種類が多い)

イルレギ〜Irouleguy

イルレギ14エリミナ

イルレギは山間部にあり、非常に急斜面の畑です。温暖な気候で秋も比較的暖かい・雨量も安定しています。赤色砂岩や石灰岩土壌。石が多い。

白ワインはプティ・マンサンやグロ・マンサンを使っていて、周辺のアペラシオンと同じ品種ですが、辛口ワインのみです。

赤ワインはカベルネフランまたははタナを主体としたワイン、ロゼワインもあり、黒ぶどう主体ですが、白ぶどうもブレンド出来ます。

シャトー・ペトリュスの醸造長を二代続けて務めているベルエ家所有のドメーヌがエリ・ミナです。以前はビオディナミを行なっていましたが、現在はリュット・リゾネに変えたというユニークな造り手です。ビオディナミならではのエネルギー感に欠けるとは言え、現在も真っ当なナチュラルワインで、さすがはベルエ家という造りの安定感です。

ベルエ家のワインなので赤の方が良さそうですが、イルレギの白ワインとても良いです。

ベアルン〜Béarn〜

ベアルン

かなり広いエリアを網羅しているアペラシオンのベアルン。かつてベアルン・べロックというアペラシオンだった中心エリアに加えて、マディランやジュランソンの地域もベアルンの範囲に含まれます(完全にマディラン、ジュランソンのエリアと一致するわけではない)

泥灰岩や粘土質の土壌です。

赤ワインとロゼワインは、カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、タナを主体としています。白ワインはラフィア・ド・モンカードという珍しいぶどう品種を使用しています。

ジュランソンのエリアで赤ワインとロゼワインを造った場合と、マディランのエリアでロゼワインを造った場合がベアルンになる感じです。マディランのエリアは赤ワインでもベアルンを名乗れる場合もありますが、あえてベアルンを造る生産者はいない気がします(カベルネ主体のワインを造りたい場合はありえる)

白ワインは以前はもっと認可されているぶどう品種がありましたが、今は一種類だけなのでエリア関係なくラフィア・ド・モンカードを使うならベアルンです。

ベアルンのワインもあまりありませんが、ドメーヌ・ド・ラ・ケラベール のベアルンは購入可能です。マディランの街の近く、少し南西にあるタロン・サディラック・ヴィエルナーヴの街のドメーヌで、エリア的にはベアルン・べロックです。タナ主体。

サン・モン〜Saint Mont〜

南西地方サンモンコムアラメゾン

サン・モンはアドール川を挟んだマディランの対岸のエリアです(対岸ではない場所もある)。

赤ワインとロゼワインはタナを主体としていて、白ワインはグロマンサンに、プティマンサン、プティクルヴュ、サン・モンならではのアルフィアック(フローラルで優しい品種)をブレンドしています。

お手頃な価格でかつ質の高いサン・モンですが、特に白ワインがおすすめです。軽やかで贅肉のないすっきり感のあるワイン。

サン・モンと言えばプレモン協同組合のワインが人気ですね。安くてかつ質が高いです。安心の味わい。ランプラントゥ ド・サン・モンはグロマンサン、プティマンさん、プティクルビュから造られています。

そしてプレモンのワインで圧巻なのはヴィーニュ・フィロキセリックです。砂質土壌の自根のタナが主体のワインで、圧倒的なエネルギー感があります。この畑には何かわからない古いぶどうもいくつか栽培されているようです。

トゥルサン〜Tursan〜

サン・モンの西側に隣接するトゥルサン。カベルネフランとタナを主体とした赤ワイン、ロゼワインがあり、白ワインは、トゥルサンならではのバロックやグロマンサンが主体です。またクラヴリーという非常に栽培面積の少ない白ぶどうも補助品種として使えます。

トゥルサン・ル・プリュール・デ・オーギュスタンは、バロック55%、グロ・マンサン43%、ソーヴィニョンブラン2%から造られているワインで、グレープフルーツのような爽やかさがあり、非常にさっぱりした味わいです。バロックという品種の魅力が味わえる一本です。


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