ジュラ〜Jura〜

アルボワ、レトワール、コート・デュ・ジュラマック・ヴァン・デュ・ジュラのワインの特徴

ジュラ風景アルボワ

アルボワ、レトワール、コート・デュ・ジュラマック・ヴァン・デュ・ジュラのワインの特徴

アルボワ、アルボワ・ピュピヤン(アルボワ・ピュピラン)〜Arbois、Arbois Pupillin〜

アルボワ

アルボワ村周辺に広がるジュラ地方でもっとも大きなアペラシオンがアルボワです。

アルボワ南部のピュピヤンで造られるワインはアルボワ・ピュピヤンを名乗ることが出来ます。

ピュピヤンのエリアは起伏に富み、石灰岩、泥灰岩、粘土質の土壌です(三畳紀からジュラ紀)

アルボワもアルボワ・ピュピヤンも赤ワイン、白ワイン、ロゼワインに、ジュラならではのヴァン・ド・パイユ、ヴァン・ジョーヌを造ることが出来ます。

赤ワイン、ロゼワイン、白ワインはジュラを代表する5品種を全て使用可能です。白ぶどうのサヴァニャンとシャルドネ、黒ぶどうのプールサールとトゥルソー、ピノノワールです。

当然、白ワインは白ぶどう主体、赤ワインは黒ぶどう主体です。単一でもブレンドでも造ることが出来ます。

ヴァン・ド・パイユはピノノワール以外の上記のぶどうから、ヴァン・ジョーヌはサヴァニャンのみ使用可能です。

アルボワは赤ワインの生産が多く、アルボワ・ピュピヤンは特にプールサールのレベルが高いです。全体的に暗めでおとなしい味わいです。


アルボワ・ピュピヤンを代表する造り手と言えばピエール・オヴェルノワはやはり外せません。2000年にピエール・オヴェルノワさんは引退して、現在は弟子のエマニュエル・ウイヨンさんがオヴェルノワの名前でワインを造っています。シャルドネも良いですが、サヴァニャンとプールサールは非常に素晴らしいナチュラルワインです。別格の造り手。


ドメーヌ・ド・ラ・パントはアルボワの造り手です(アルボワ・ピュピヤンにも畑はあります)アルボワ・プールサール パント・ビエンは3週間のマセラシオンをしていますが、抽出は比較的穏やかです。

ドメーヌ・ド・ラ・パントはプールサールも良いですが、実は白ワインの方が優れています。アルボワ・ピュピアン・ムロン・ア・クー・ルージュは、アルボワにしか残っていないシャルドネの亜種であるムロン・ア・クー・ルージュの古木を使用したワインです。ルージュと付きますが白ワインです。通常のシャルドネとは全然違いますが、面白い上に味わいもとても良いです。

さらにサヴァニャンのオレンジワインであるサヴァールというワインがあり、サヴァールは圧倒的エネルギー感がありおすすめです。

シャトー・シャロン〜Château Chalon〜

シャトーシャロン11ステファンティソジュラ

サヴァニャンを使用したヴァン・ジョーヌのみのアペラシオンがシャトー・シャロンです。ジュラ紀前期リアスの灰色の泥灰岩が厚く堆積している地域です(地上部分はほぼ灰色泥灰岩)アルボワの南に位置します。

シャトー・シャロンは1936年にアペラシオン認定を受けています。5つの村に認められた呼称です。1958年以降はINAOなどで構成された管理委員会がぶどうのチェックをしていて、ぶどうの品質が良くないと判断された場合はワインをリリースすることが出来ません。1974年、1980年、1984年、2001年はぶどうの品質が認められずシャトー・シャロンは存在していません。

シャトーと付くとボルドーをイメージしてしまいますが、ボルドーのようにお城みたいな建物があるわけではありません。コミューン名であり、かつての修道院の名称でもあります。ローマ時代からワインが造られていた場所ですが、シャトー・シャロン修道院がハンガリーからサヴァニャンの元となるぶどうを持ち込んだようです(元は野生のぶどうとも言われますし、ハンガリーの修道士がシャトー・シャロンに送ったとも)サヴァニャンはこの地で1000年近く歴史のある品種です。

シャトー・シャロンのヴァン・ジョーヌは他エリアのヴァン・ジョーヌと比べてキレイで輝きのある味わいです。ナッツのようなテイストはヴァンジョーヌ共通のものです。


ベルテ・ボンデは「ジュラ地方のワインの特徴」の記事の中でヴァン・ド・パイユを紹介した造り手です。シャトー・シャロンの造り手なので、こちらのヴァン・ジョーヌがメインのアイテムです。複雑で独特の香味、味わいながらクリアな酒質です。

レトワール〜L’Etoile〜

モンブルジョ11レトワールヴァンジョーヌジュラ

レトワール=星という名前の付いたアペラシオン。5つの丘陵に囲まれている、あるいは星型のウミユリの化石が多いのがアペラシオン名の由来です。白ワインとヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユが認められています。

シャトー・シャロンから川を挟んで南西側です。白ワインはサヴァニャンとシャルドネから生まれます。ジュラ北部と比べて降水量も多いです。石灰岩の土壌はシャルドネとの相性が良いです。泥灰岩の区画にサヴァニャンを植えることが多いです。


ドメーヌ・モンブルジョーはレトワールの最古の造り手の一人です。オーガニック栽培で一部ビオディナミを取り入れています。

レトワール ・シャルドネはヴァン・ジョーヌのようなウイヤージュなしのスタイルです。様々な熟成容器を使い、酸幕酵母が付いたものや付かなかったものなどをアッサンブラージュして味わいを造っています。なので癖がありつつもそこまで強くはないのが魅力です。

ヴァン・ジョーヌも出来が良く、他の地域と比べて繊細さが際立つレトワールですが、ヴァン・ジョーヌは繊細でありつつボリューム感のあるワインに仕上がっています。

レトワールの北側にはアルレイ〜Arlay〜という街があり、最近はアルレイのワインも入ってくるようになりました。

ダルレイコートデュジュラヴァンジョーヌ10

コート・デュ・ジュラ〜Cotes du Jura〜

ジュラトゥルソー13

コート・デュ・ジュラのアペラシオンはジュラ地方を南北に細長くカバーします。エリア的には広い範囲ですが、ワインの生産量自体はアルボワに劣ります。

赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、ヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユが造れますが、最も多いのはシャルドネやサヴァニャンをアッサンブラージュした白ワインです。


グランは、シャトー・シャロンの北側に位置するパスナン村の造り手です(シャトー・シャロンやアルボワのワインも造っています)グランのトゥルソーは程よい濃さがあってアルボワのワインより明るく、赤果実のニュアンスが広がります。泥灰岩土壌です。


日本人の鏡健二郎さんのドメーヌ・ミロワールも日本でかなり人気の造り手です。ジュラ地方南部のグリュス村に畑を持っています。アペラシオンは全てコート・デュ・ジュラです。

マクヴァン・デュ・ジュラ(マックヴァン・デュ・ジュラ)〜Macvin du Jura〜

ダルレイマックヴァンデュジュラ

1991年認定のV.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)のアペラシオンがマクヴァン・デュ・ジュラです。ジュラ地方全域で造れます(ヴァン・ジョーヌしか認められていないシャトー・シャロンでも別のアペラシオンとして造ることが出来る)

マクヴァン・デュ・ジュラは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインのV.D.L.が認められていますが、ほぼ白ワインです。ジュラの代表的な5品種が使用可能です。


ドメーヌ・ガヌヴァはレトワールの南西部ロタリエの造り手です。日本でもかなり人気ですが、ナチュラルで真面目なものから遊び心あるものまで様々なワインを造っています。マクヴァン・デュ・ジュラもとても良いです。

クレマン・デュ・ジュラ〜Cremant du Jura〜

発泡性の白ワインとロゼワインを造るアペラシオンがクレマン・デュ・ジュラです。1995年に認定されたアペラシオンで、それ以前はレトワール・ムスー、アルボワ・ムスー・コート・デュ・ジュラ・ムスーといった名称でした。

以前の方が地域性が明確で良かったように思います。赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていて、どのタイプでもジュラの代表的な5品種を使用可能です(比率の規定はある)

ですがよく見かけるのはシャルドネのクレマンですね。グランのコート・デュ・ジュラのトゥルソーを紹介しましたが、グランはトゥルソーのロゼのクレマン・デュ・ジュラも造っています。トゥルソーが特別得意というわけではないですが、スティルもスパークリングのトゥルソーもどちらもとても良いです。

ジュラのワインは、アペラシオンのコート・デュ・ジュラにしろ、マック・ヴァン・デュ・ジュラにしろ、クラマン・デュ・ジュラにしろ、エリアが結構広いのでどの辺りなのかをきちんと把握することが大切になってきます。アペラシオンではないですが、ヴァン・ド・パイユ、ヴァン・ジョーヌも同様です。


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