ワインの基礎

ヴァンナチュールとはどんなワイン?

アルザス

ビオ、自然派、オーガニック、ヴァンナチュールとは何か?

ここ十数年の間に大きく認知されるようになったヴァンナチュール。ヴァンナチュールが流行る前はよくビオという言葉が使われていましたね。ビオディナミという農法を実践する造り手も随分と増えてきたように思います。

ではそれぞれの言葉は何が違うのか?僕なりの考えを紹介します。

まずビオという言葉は栽培のことを示しています。除草剤や普通の農薬を使わずに造られたワインがビオワインと言われていました。栽培の話なので、醸造過程が全然自然ではないワインも多々ありました。

その反動から本当に自然なワインを表す言葉として生まれたのが自然派であり、さらに進んでヴァンナチュールとなりました。

ヴァンナチュールの定義はあるのか?

ヴァンナチュールの正確な定義はわかりませんが、個人的な理解としては、ナチュールはスタイルのワインだと思っています。

決してナチュラルなワインをヴァンナチュールというわけではありません。ヴァンナチュール的な味のするワインがヴァンナチュールです(変な表現ですみません)

ヴァンナチュールはナチュラルに造られたワインですが、ナチュラルに造ればみんなヴァンナチュールになるわけではないということです。

ナチュールっぽい味というのは、白ワインだと少し残糖があるものが多く、水色が濃い、または白濁している。赤ワインだと逆に薄くて濁っている。赤白問わず、複雑な香りや風味(まとまっていないものも多い)、還元していたり、マメの状態になる場合も多々ある。

SO2や補糖の問題もありますね。SO2は加えないにこしたことはないと思いますが、味が崩れてしまうなら、入れた方がいいと考えます(レベルの高い造り手の無添加ワインは本当に素晴らしいですけどね)

SO2を加えるにしても、加えるタイミングも難しいです。瓶詰め前に少量加える方が多いですが、急に加えるとショックを受けるので、数度に渡って加えた方がいいとも聞きます。

そんなところでしょうか?言葉で書くと分かりづらい面もありますが、飲み慣れた人なら誰もが飲めばナチュールだとわかる個性を持っています。

クラシックなフランスワインは、難しい味、すこし緊張してしまうような味のものが多く、その点、ヴァンナチュールは楽な感じがします。

反面、テロワールの個性が感じ取りにくく、品種もなんだかわからないものも多いです(農薬や、ブレタノミセスの味を産地の味だと認識されている場合もありますが‥)造り手のクセがモロにでたワインが多いのも特徴です。そのため、INAOに認められずアペラシオンが名乗れないヴァン・ド・ターブルで販売されているものが大半です(アペラシオンに関心がない造り手だとも言える)

産地とか品種とかどうでもいい、美味しければ良いんじゃないというようなワインがヴァンナチュールです。今までワインは飲めなかったが、ヴァンナチュールに出会って飲めるようになった方も多いですね(逆にナチュールはまったく受けつけない方も多いです)

ただアペラシオンの軽視に関しては若干の危惧もあります。フランスのアペラシオンは、完璧とは言いませんが(政治的な問題などもありますし)、かなり精度が高いです。地域の特徴やワインの格を見事に表現しています(中世に修道士たちがすでにクリマの選定をしていて、現在でもほぼそのまま通用するところがすごい)

ワインをただ好きで飲む場合には、深く考える必要はありませんが、ワインを扱うプロであれば、まずアペラシオンを正しく理解してから、この地域はこういうワインが生まれる場所だけど、その味わいから外れた面白いナチュールもありますよ、というのが正しい道筋のように思えます。

ヴァンナチュールの好きな造り手は何人もいますが、個人的には今は少しナチュールに距離を置いています。それは土地の味を正しく理解するのに役に立たないからです。

ワインはナチュラルに栽培した方が良いと思っています。ただ造りに関しては、ナチュールの造り手によくあるほぼ何もしない、自然に任せるというよりは、手を加えた(こねくり回すのはダメで必要なことを考えて、きちんとワインのケアをする)、よりクリアでテロワールを表現したワインに惹かれます。

クリアナチュラルなワインが理想です(フランスで、どう表現するのかは知りませんクレールナチュールとでもいうのか?)

もちろん各人がしっかりと考えて扱うならば、クラシックなワインでもナチュールでも、どんなスタイルでも正しいと思います。

ビオディナミに関しては、また別の視点が必要で、非常に長くなるので、別の機会に紹介します。

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