ペズナス(ペゼナス)〜Pézenas〜
ベジエの北東、ペズナスを含めた15の村に認められている地理的名称付きラングドックがペズナスです。正確にはラングドック・ペズナス〜Languedoc Pézenas〜です(A.O.C.ラングドックのデノミナシオン)
ペズナスの土壌
ペズナスの土壌はシストや石灰質、沖積土に、フランスでは珍しい玄武岩の土壌もあります。この玄武岩土壌がペズナスならではの個性を生み出します。ラングドックの中でも特異というかフランス全体でもかなり珍しいタイプの土壌です。
ペズナスのぶどう品種
ペズナスは赤ワインのみのアペラシオンで、周辺のラングドック地域と同様、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルを主体としたワインを造ります。
ペズナスはカチッとした質感で酸は低く、スパイシーで細身です。小さくてこじんまり。重くなく軽やか。ざっくりとしたワインではなく、整った形をしています。独特の上昇感のあるワインです。石灰岩が多い地域のような硬さや引き締まりはなく、硬さはありつつも適度な感じがします。品格とかそういった物を期待するワインではありませんが、個性的で魅力のある味わいです。
ペズナスのワインも日本ではかなり少ないです(ラングドックのアペラシオンは日本では一部のみに集中している。その他はヴァン・ド・フランスのヴァンナチュールが大部分を占めている印象です)
フォンドゥースのキュヴェ・ジュリエットは数少ないペズナスの味わいを体験出来るワインです(完成度としてはまだまだですが)。ジュリエットはフォンドゥースの特別キュヴェのようですが、かなり値段が安いです。
レ・ヴィニュロン・ド・フォンテスという200軒が加盟している協同組合のペズナスも購入出来るワインです。
カブリエール〜Cabrières〜
ペズナスのエリアの中の北端に位置するカブリエール村にはペズナスとは別の地理的名称付きラングドックであるラングドック・カブリエールがあります。
カブリエールは地理的名称付きラングドックの中で、唯一ロゼが認められていて、そのロゼの質が高いです。
カブリエールのぶどう品種
赤ワインはシラーとグルナッシュ主体で、ロゼワインはサンソー とグルナッシュが主体。主要品種はどちらも使う必要があります。ロゼワインは補助品種としてルーサンヌやヴィオニエ、ヴェルメンティーノなどの白ぶどうも使用可能です。
カブリエールはラングドックの中でも日照が少なく、特に涼しい土地です。暗めで遊びのない味。赤ワインでも薄めのワインになります。
明るくて陽気なロゼワインではなく、緊張感のある味わいですが、使い方さえ間違えなければ、非常に質の高いワインだと思います。
カブリエールの日本で買えるワインもなかなか難しい状況で、基本的にはお手頃なワイン産地であるカブリエールの低価格ワインは見当たらず、カブリエール最上のロゼで非常に高価なジェラール・ベルトランのクロ・デュ・タンプルは買えるという感じです。
ジェラール・ベルトランのクロ・デュ・タンプルは本当に素晴らしいワインですが、この状況は偏りすぎですね。
ラングドック地方のワイン産地17、ソミエールの記事はこちらからどうぞ。