ラングドック〜Languedoc〜

ミュスカ・ド・フロンティニャンのワインの特徴

ミュスカ・ド・フロンティニャン〜Muscat de Frontignan〜

1936年とラングドックの中でも最初期に認められたアペラシオンがミュスカ・ド・フロンティニャンです。フロンティニャンとヴィック・ラ・ガルディオールの2つの村に認められています。単にフロンティニャンやヴァン・ド・フロンティニャンとも呼ばれます。

今ではあまり見かけないワインですが、昔は貴族に愛飲されていて、フランスの歴史を彩ってきた重要なワイン産地です。

ミュスカ・ド・フロンティニャンのワイン生産地域は、トー湖とヴィック・ラ・ガルディオール湖の間に位置します。地中海からもすぐそばで、ワインはしっとりとした水のニュアンスを感じさせます。

ミュスカ・ド・フロンティニャンの土壌

ミュスカ・ド・フロンティニャンの土壌は第三紀の石灰岩の礫が多いです。海に近い場所は砂質の割合が高く、海から離れると粘土質が増えます。

ミュスカ・ド・フロンティニャンのぶどう品種

ミュスカ・ド・フロンティニャンは、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン100%の甘口ワインのアペラシオンです。

酒精強化ワインであるV.D.N.(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)とV.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)が認められています。

フロンティニャンのワインは、ミュスカらしい果実味がありつつ、酸も程よくありミネラリーです。一連のミュスカを使用した甘口ワインの中でもっとも上品で伸びやかなワインだと思います。そしてあくまで、ゆったりしっとりです。

ミュスカ・ド・フロンティニャンも全然日本で見かけませんね(フランスでもあんまり見ないと思いますが)以前はカーブ・デ・ヴィニュロン・デ・フロンティニャンを見たことがありますが、今は買えないのかも知れません。カーブ・デ・ヴィニュロン・デ・フロンティニャンはミュスカ・ド・フロンティニャンの8割以上を占める協同組合です。

ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン〜Muscat Blanc à Petits Grains〜

ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランはローマ人がこの地にもたらした品種です(原産地はギリシャ)。もともとはアピエナ・ウヴァ〜Apiena Uva〜と呼ばれていました。アピエナ・ウヴァは蜜蜂を引き寄せるぶどう、というような意味があります。

ぶどうの状態でもワインにしても甘く魅惑的な香りがするミュスカ ・ブラン・ア・プティ・グランの特徴を表した名前だと思います。

現在はフロンティニャンとも呼ばれます。早熟で皮の薄い品種です。マスカットの1品種ですので生食しても美味しいぶどうです。

ミュスカ・ド・ノエル〜Muscat de Noël〜

ミュスカ・ド・フロンティニャンと下記で紹介するミュスカ・ド・リュネル、ミュスカ・ド・ミルヴァル、そして、ミネルヴォワの項で紹介したミュスカ・ド・サン・ジャン・ド・ミネルヴォワの新酒は、ミュスカ・ド・ノエルを名乗ることができます。

周辺のミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランを使った甘口ワインのAOC

フロンティニャンの周辺地域には同じくミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランを使用した甘口ワインのアペラシオンがいくつかあります。

ミュスカ・ド・リュネル〜Muscat de Lunel〜

ミュスカ・ド・リュネルは、1943年と、フロンティニャンほどではありませんが、かなり古くから認定されているアペラシオンです。リュネル村を含む4つの村がミュスカ・ド・リュネルを名乗ることが出来ます。

認められているのはV.D.Nのみです。果実味たっぷりで硬さがなく、品のいい味わいです。第四紀の更新世。粘土や小石、砂岩の土壌です。

ミュスカ・ド・リュネルのワインは、この地の協同組合であるヴィニュロン・ド・ミュスカ・ド・リュネルが定番で、かつミュスカの良さがしっかりと感じられるワインです。

ミュスカ・ド・ミルヴァル〜Muscat de Mireval〜

ヴィック・ラ・ガルディオール湖畔に位置するアペラシオンのミュスカ・ド・ミルヴァル。ミルヴァル村と、ヴィック・ラ・ガルディオール村の2つの村に認められています。

ミュスカ・ド・ミルヴァルもV.D.Nのみです。

フロンティニャンやリュネルと比べると少し野暮ったい印象を受けます。鉄分が多い粘土石灰質土壌です。

ムーラン・ド・ガサックはモンペリエの内陸20キロの所にあるドメーヌです。お手頃なワインの質がとても高く、様々な品種別にリリースしているワインは安ウマのお手本のようなワインです。ムーラン・ド・ガサックはピクプール・ド・ピネや、ミュスカ・ド・ミルヴァルも持っていて、特にミュスカ・ド・ミルヴァルはなかなか見かけないので貴重です。


ラングドック地方のワイン産地11、ピクプール・ド・ピネの記事はこちらからどうぞ。

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