ブルゴーニュ〜Bourgogne〜

マコネーのワインの特徴

マコンヴェルジッソンラロッシュ16 17コルディエ

マコネー〜Maconnais〜

マコネーはコート・シャロネーズの南に広がるワイン産地です。

マコネーとマコンという二つの語をよく聞くので、どちらでも良いのかと思ってしまいがちですが、マコネーが地域の名前、マコンは街の名前であり、アペラシオン名でもあります。

この辺りは北フランスと南フランスの境界でもあります。昔は言葉も北と南で違いましたし(現在も南仏はオック語を母語とする方が高齢の方が多い)、家の形は今でも違いますね(住居の話や言語を含めた文化的な話も別記事予定)

ブルゴーニュの一部ではありますが、北部と比べて温暖で穏やかな気候で、ワインにもその影響が見て取れます。丘陵が続くコート・ドールとは違い、ぶどう畑は様々なところに点在しています。マコネーの北部はなだらかな小さな丘がたくさんあり、南部は起伏も大きくヴェルジッソンやソリュトレの断崖が有名ですが、巨岩が露出した風景に変わります。

さらに南に行くとボージョレのエリアに入りますが、マコネ南部のワインの一部はボージョレの名前が認められているものもあります。

コート・ドールの緊張感のある味わいに対して、開放感のある味わいが魅力です。基本的にブルゴーニュは石灰岩のかっちりした味わいだと思いますが、マコネーは石灰岩が少なく、傾斜も緩やかで風もあまり吹かないため、柔らかい質感で穏やかな性格です(マコネー南部は石灰岩があって他の産地に近くなる)

この柔らかさ、穏やかさがマコネーの大事な個性です。食事との相性などを考えると、ブルゴーニュの中でも特に使えるワインだと思います。

マコネーは白ワインが有名な産地ですが、赤ワインやロゼワインも少量造っています。

マコネーはブルゴーニュ公国に含まれていなかったため、ガメイ引き抜き令を逃れ、今でもガメイが多く栽培されています。マコネーはクリュニー修道会とのつながりが強い産地でもあります。

アペラシオンとしてはマコンと、コミューン名付きのマコン、そして白ワインのみが認められたマコン・ヴィラージュ、そしてより上級のコミューン名のみが認められたアペラシオンもあります。

コミューン名が付いたアペラシオンとしては、プイィ・フュイッセ、プイィ・ヴァンゼル、プイィ・ロッシェ、サン・ヴェラン、ヴィレ・クレッセの5つがあります。全てプルミエクリュやグランクリュはありません(※現在はプイィ・フュイッセにプルミエクリュが認められています)

ヴィレ・クレッセ以外はマコネ南部に集中しています。

マコン〜Macon、マコン・ヴィラージュ〜Macon Villages〜

マコンヴィラージュシャムロワ17ルイラトゥール

マコンは白ワインの他、赤ワインやロゼワインも認められているアペラシオンです。マコン・ヴィラージュになると白ワインのみとなります(コミューンの指定あり)マコンのアペラシオンにはコミューン名を表記できるものもあります(白ワインは26コミューン、赤ワインとロゼワインは20コミューン)

白ワインも良いですが、ガメイ種の赤ワインも美味しいエリアです。マコン・ピエールクロ〜Macon Pierreclos〜や、マコン・ヴェルジッソン〜Macon Vergisson〜(プイィ・フュイッセも名乗れる村)、シャルドネ品種が生まれたとされている村、マコン・シャルドネ〜Macon Chardonnay〜、クリュニーの修道院が長く畑を所有していた歴史的にも重要なマコン・クリュジーユ〜Mâcon Cruzille〜などがあります。

マコン・ピエールクロはガチッとした石灰岩の土壌から素晴らしいガメイの赤ワインを造ります。ボージョレにおいては花崗岩の方が石灰岩よりガメイに合っていると言われますが、石灰岩もまた違った相性の良さがあることを示しています。

ドメーヌ・デ・ヴィーニュ・デュ・メイヌのマコン・クリュジーユ・キュヴェ910は中世の時代のワインを再現した、ピノノワール、ガメイ、シャルドネの混醸ワインで、他にはない味わいです。ブルゴーニュの歴史を考える上でも大切なワインですし、ピノノワールとシャルドネの単一ワインが本当に良いのか考えさせられます(910年はクリュニー修道院の創立年)

ヴィレ・クレッセ〜Vire Clesse〜

ブルゴーニュヴィレクレッセ06

1999年に生まれた新しいアペラシオンです。マコンの村の北側、マコネーのエリアの真ん中くらいに位置するヴィレ村(北側)とクレッセ村(南側)の間を中心に広がる産地です(ヴィレ村とクレッセ村を超えたところにも畑はあります)

  • ヴィレ〜Vire〜
  • クレッセ〜Clesse〜
  • レゼ〜Laize〜
  • モンベレ〜Monbellet〜

上記の4つの村で生産されたワインが名乗れるアペラシオンです。ヴィレ・クレッセは白ワインのみのアペラシオンです。以前はマコン・ヴィレ、マコン・クレッセという別々のアペラシオンでした(2002年まであった)

マコンのワインの中で最もしっとりした印象です(全ブルゴーニュの中でももっとも水を感じさせる味わい)

プイィ・フュイッセ〜Pouilly-Fuisse〜

プイィフュイッセ17

プイィ・フュイッセはマコネーで最も有名で評価されているワインです。マコネーのエリアの南端に位置します。

  • ヴェルジッソン〜Vergisson〜
  • ソリュトレ〜Solutre〜
  • プイィ〜Pouilly〜
  • フュイッセ〜Fuisse〜、
  • シャントレ〜Chaintre〜

の5つの村のワインが使用可能です(北から順番に並べています)。ワインは白ワインのみです。これらの村はマコンの村の西側にあります。ソリュトレの岩丘に代表される奇岩が聳え立っているエリアです。プイィ・フュイッセの後にクリマ名を付記することも出来ます。

※プイィ・フュイッセは、2020年のヴィンテージから22のクリマで、プルミエクリュが認められました。ヴェルジッソン、ソリュトレ・プイィ、フュイッセ、シャントレの4つのコミューンに分かれています(上記の村と同じことです)

ヴェルジッソンのプルミエクリュは、アン・フランス〜En France〜、ラ・マレショード〜La Maréchaude〜、レ・クレイ〜Les Crays〜、スー・ラ・ロッシュ〜Sur La Roche〜

ソリュトレ・プイィのプルミエクリュは、オー・ヴィニョレ〜Au Vignerais〜、アン・セルヴィ〜En Servy〜、ラ・フレリー〜La Frérie〜、ル・クロ・ド・ソリュトレ〜Le Clos de Solutré〜、プイィ〜Pouilly〜、オー・シャイユ〜Aux Chailloux〜、オー・ブティエール〜Aux Bouthières〜

フュイッセのプルミエクリュは、ル・クロ〜Le Clos〜、レ・ブリュレ〜Les Brulés〜、レ・メネトリエール〜Les Ménétrières〜、レ・ペリエール〜Les Perrières〜、レ・レシエ〜Les Reisses〜、レ・ヴィーニュ・ブランシュ〜Les Vignes Blanches〜、ヴェール・クラ〜Vers Cras〜

シャントレのプルミエクリュは、オー・カール〜Aux Quarts〜、ル・クロ・ド・モンシュール・ノリィ〜Le Clos de Monsieur Noly〜、ル・クロ・レシエ〜Le Clos Reyssier〜、レ・シュヴリエール〜Les Chevrières〜

となっています。基本的に石灰が強いところがプルミエクリュになっています。たしかにブルゴーニュワインとしては高品質ですが、他に代替のないマコンの個性が生きているかという点では、逆にマイナスかなとも思います。あくまでマコネの基本はマコンやマコンヴィラージュだと思います。

現在、すでに多くのプイィ・フュイッセが流通しています。いくつか試してみても良いかもしれません。

プイィ・ヴァンゼル〜Pouilly-vinzelles〜

ブルゴーニュドルーアンプイィヴァンゼル

プイィ・フュイッセのエリアのフュイッセとシャントレに囲まれた産地のプイィ・ヴァンゼル。ヴァンゼルとロシェの村がプイィ・ヴァンゼルを名乗れます。周辺のエリアの中では力強いワインを生みます。

プイィ・ロシェ〜Pouilly-Loche〜

プイィ・ヴァンゼルの北側に隣接したアペラシオンがプイィ・ロシェです。ロシェの村周辺にぶどう産地はあります。プイィ・ロシェもフュイッセのエリアと隣接しています。プイィ・ロシェのエリアはプイィ・ヴァンゼルのエリアでもあります。

サン・ヴェラン〜Saint-Veran〜

サンヴェラン17

プイィ・フュイッセの周りに広がるのワイン産地がサン・ヴェランです。アペラシオンの名前と村名はスペルが違います。

  • プリッセ〜Prisse〜
  • ダヴァイエ〜Davaye〜
  • ソリュトレ〜Solutre〜
  • プイィ〜Pouilly〜
  • シャスラ〜Chasselas〜
  • レーヌ〜Leynes〜
  • サン・ヴェラン〜Saint-Verand〜
  • シャーヌ〜Chanes〜
  • サン・タムール・ベルヴュ〜Saint-Amour Bellevue〜

上記の9つの村で造られた白ワインがサン・ヴェランを名乗れます。ソリュトレとプイィはプイィ・フュイッセも認められたエリアです(まとめてソリュトレ・プイィと呼ばれたりもします)ソリュトレ・プイィを交点としてプイィ・フュイッセは北西から東南にかけて畑が広がり、サン・ヴェランは南北に畑が広がっています。

サン・ヴェランは、1971年にアペラシオンとして認められた地域で、それ以前はマコン・ヴィラージュでした。プイィ・フュイッセより軽やかなワインができます。

サン・タムール・ベルヴュは実際はボージョレ地区で、クリュ・ボージョレのサン・タムールで有名な村ですが、白ワインも造られていて、サン・ヴェランを名乗れます。シャスラやレーヌ、サン・ヴェランの赤ワインも畑によってボージョレやボージョレ・ヴィラージュを名乗れます。

マコネーの代表的な造り手

マコネーには安くて美味しいワインを造る生産者がたくさんいますが、いくつか紹介します。

  • ドメーヌ・コルディエ・ペール・エ・フィス〜Domaine Cordier Pere et Fils〜
  • ジャン・テヴネ / ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン〜Jean Thevenet / Domaine de la Bongran〜
  • ギュファン・エナン〜Guffens Heynen〜
  • アンドレ・ボノーム〜Andre Bonhomme〜
  • オリヴィエ・メールラン〜Olivier Merlin〜
  • ドメーヌ・J.A.フェレ〜Domaine J.A.Ferret〜
  • アレクサンドル・ジュヴォー〜Alexandre Jouveaux〜
  • ドメーヌ・バロー〜Domaine Barraud〜
  • ドメーヌ・ジルー〜Domaine Giroux〜

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