コート・デュ・ローヌ〜Côtes du Rhône〜

エルミタージュのワインの特徴

ローヌエルミタージュブラン09ジャンルイシャーヴ

エルミタージュ〜Hermitage〜

エルミタージュは北ローヌの赤ワインの中でも最も優美でしなやか、品格があるワインです。

フランスにおけるグランクリュ方向の味としては、間違いなくエルミタージュが北ローヌでもっとも格上です。

タン・レルミタージュを含む3つに村からワインは造られています。

また少量ですが、エルミタージュではヴァン・ド・パイユも造られています(マルサンヌとルーサンヌを45日以上乾燥させて造る)

エルミタージュの地にぶどうが栽培されたのはローマ時代にまで遡るようですが、現在のような畑が開墾されたのは、13cにアルビジョワ十字軍から帰還したガスパール・ド・ステランベールが、この地に隠棲した時と言われています。エルミタージュは「隠れ家」というような意味があり、そこから名前が付いています。

フェラトンエルミタージュルメアル14

その後、銘醸地として知られるようになったエルミタージュは、ボルドーに少量ブレンドされてもいた時代もありました。そんなボルドーワインも一度は飲んでみたかったですね。

エルミタージュの中で最も有名なのはポール・ジャヴレ・エネのエルミタージュ・ラ・シャペルでしょうか?エルミタージュ・ラ・シャペルはワイン・スペクテイター誌が1999年に発表した、20世紀最高のワイン〜Wines of the Century〜の12本に、1961年ヴィンテージが選ばれています。

エルミタージュラシャペル06ポールジャブレエネ

先に触れたガスパール・ド・ステランベールが建てた教会(シャペル)が、丘の頂上にあり、ポール・ジャヴレ・エネが所有しています。そのシャペルがワインの名前の由来となっています。区画としてはル・メアル、レ・ベサール、レ・ロクールです。

エルミタージュは高価ですが、値段がお手頃で品質も高いワインは協同組合であるカーヴ・ド・タンのエルミタージュだと思います。16ある区画のブレンドです。

カーヴ・ド・タンは上級のエルミタージュであるエルミタージュ・ガンベル・ド・ロッシュというワインも造っています。全区画の内、優れた区画がガンベル・ド・ロッシュにまわされます。テイスティングをしての判断なので毎年違いますが、ル・メアル、レルミット、ラ・クロワの3つの区画が使われることが多いです。

エルミタージュガンベルドロッシュ11カーヴドタンac

値段は高くなりますが、他の造り手のル・メアルやレルミットを買うともっととんでもない値段になるのでこちらもお得です。

エルミタージュのぶどう品種

エルミタージュも他の北ローヌのワイン産地、赤ワインはシラー主体に、白ぶどうのルーサンヌとマルサンヌを15%まで混醸することが出来ます。

同じシラーでもコート・ロティやコルナスのような力強さ、ワイルドさは控えめで、芯に強さはあってもしなやかで伸びやかです。

白ワインのエルミタージュも少量ですがあり、ルーサンヌとマルサンヌを使ったワインです。赤のエルミタージュとはちがい、リッチでボリュームがあり陽気な印象。赤ワインにある繊細さや品格といった要素は少ないです。

さらに少量ですが、エルミタージュにはヴァン・ド・パイユ〜vin de paille〜もあります。ヴァン・ド・パイユはジュラ地方で有名なぶどうを藁の上で乾燥させて糖度を上げた甘口ワインですが、エルミタージュでも造られています。ヴァン・ド・パイユもルーサンヌとマルサンヌから造られます。

エルミタージュの土壌

エルミタージュはローヌ川左岸で、サン・ジョセフの中心エリアの対岸に位置する小さな産地です。コート・ロティなどと同じく急斜面に広がる畑です。

エルミタージュは花崗岩土壌ですが、場所によっては沖積土壌なども見られます。エルミタージュの丘は大きく西と東に分かれますが、西側が標高が高く花崗岩主体、東側は標高が低く、粘土などの割合が増します。

エルミタージュの区画

エルミタージュには様々な区画があり、単一区画のエルミタージュも多く見かけます。ル・パヴィヨン〜Le Pavillon〜、ル・メアル〜Le Meal〜、レルミット〜l’Ermite〜、レ・グレフュー〜Greffieux〜、ド・ロレ〜de l’Orée〜といった畑はシャプティエの単一畑シリーズのセレクション・パーセレールとして有名です(単独所有ではない)

シャプティエは完璧なビオディナミワインだと思います。値段は高いですが、ここまで完成度の高く、かつテロワールも素晴らしいナチュラルワインはなかなかないので貴重です。

シャプティエのセレクション・パーセレールのエルミタージュ・ブランは全てマルサンヌ100%です。

ル・パヴィヨンはべサールの一区画。昔はべサールはパヴィヨンと呼ばれていました。花崗岩で斜面の中腹辺りの畑。ふんわりと大きな味。

ル・メアルはエルミタージュの中ではどっしり重め。小石が多い。

レルミットはエルミタージュの丘の上の礼拝堂の周囲に広がる涼しい畑。表土も浅い。花崗岩に石灰岩もある。

グレフューはメアルの斜面下、エルミタージュの丘の麓、砂利質で、硬質な印象。

ローヌエルミタージュグレフュー13」」シャプティエ

ド・ロレは比較的新しい地質年代の砂利質。力強さ。

他にも砂質の割合が多いペレア、石灰質の強いロクール、レス(黄土)と鉄分の多い粘土質のメゾン・ブランシュ、礫が多いボーム、小石多めの粘土質のディオグニエールなどといった区画もあり、土壌は様々です。

ジャン・ルイ・シャーヴのエルミタージュ・ブラン・ブランシュはメゾン・ブランシュ主体です。

エルミタージュ

コート・デュ・ローヌ地方のワイン産地⑥、クローズ・エルミタージュの記事はこちらからどうぞ。

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