グラーヴ〜Graves〜
メドックの南に位置するボルドー市。ボルドー市からさらに南に広がるエリアがグラーヴです。
メドックやサンテミリオン、ポムロールのアペラシオンは赤ワインのみに認められていますが、グラーヴや後述するぺサック・レオニャンは白ワインも造ることが出来ます。ボルドーの辛口白ワインの代表と言えるのがグラーヴです。
グラーヴ・シュぺリュール〜Graves Supérieures〜という中甘口の白ワインのアペラシオンもあり、甘すぎない使いやすい個性です(全然見かけないのが困るところ)
グラーヴはメドックに比べて暖かく、メドック北部と比べると収穫が1週間以上も早いです。
味わいからもしみじみとした温かさが感じられ、それでいて適度な硬すぎない芯があります。ゆるさもあれば品もあるというバランス感覚が魅力です。
グラーヴは砂利の意味ですが、メドックより細かく、浅い表土です。石灰岩があるところもあり、そういった場所のワインは適度な引き締まりがあります。粘土が少なく軽やかな土壌なのでメドックで言えばサンジュリアンが一番似ています(より暖かな雰囲気)
ペサック・レオニャン〜Pessac-Léognan〜
グラーヴの中でもボルドー市寄りの北部のエリアには有名シャトーが集まっていて、A.O.C.ぺサック・レオニャンを名乗れます。
A.O.C.ぺサック・レオニャンは、ペサック、レオニャン、メリニャック、グラディニャン、タランス、ベルナーヴ・ドルノン、カドージャック、マルティヤック、サン・メダール・デイラン、カネジャンという10の村から構成されています。代表的な2つの村の名前を繋げて生まれたのがぺサック・レオニャンです。
グラーヴに比べると礫が多くなり、かっちりしてきます。AOCグラーヴの方が柔らかさと硬さのバランスがよく、普段使いには便利なように思います(シチュエーションに応じて使い分けてください)
グラーヴの格付け
グラーヴにも1953年に制定された格付けがあります。1959年に一度見直しが行われています。16ある格付けシャトーは全てぺサック・レオニャンにあります。ワインは赤ワインと白ワインが別々に格付けされています。
シャトー・オー・ブリオンは、グラーヴにありながら、メドックの1級に格付けされていますが、グラーヴの格付けにも選ばれています。シャトー・オー・ブリオンの白ワインは質は高いのですが量が少なく、格付けを辞退しています。
シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオンは2005年を最後にシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンに併合されていまし、シャトー・ラヴィユ・オー・ブリオンも2009年からシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン・ブランとなっています。
グラーヴの格付け(16)
- シャトー・オー・ブリオン〜Château Haut Brion〜赤ワインのみ。ペサック村
- シャトー・ド・フューザル〜Château de Fieuzal〜赤ワインのみ。レオニャン村
- シャトー・オー・バイィ〜Château Haut Bailly〜赤ワインのみ。レオニャン村
- シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン〜Château La Mission Haut Brion〜赤ワインのみ。タランス村
- シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオン〜Château La Tour Haut Brion〜赤ワインのみ。タランス村
- シャトー・パプ・クレマン〜Château Pape Clement〜赤ワインのみ。ペサック村
- シャトー・スミス・オー・ラフィット〜Château Smith Haut Lafitte〜赤ワインのみ。マルティヤック村
- シャトー・ブスコー〜Château Bouscaut〜赤ワイン、白ワイン両方。タランス村
- シャトー・カルボニュー〜Château Carbonnieux〜赤ワイン、白ワイン両方。レオニャン村
- ドメーヌ・ド・シュヴァリエ〜Domaine de Chevalier〜赤ワイン、白ワイン両方。レオニャン村
- シャトー・ラトゥール・マルティヤック〜Château Latour Martillac〜赤ワイン、白ワイン両方。マルティヤック村
- シャトー・マラルティック・ラグラヴィエール〜Château Malartic Lagraviere〜赤ワイン、白ワイン両方。レオニャン村
- シャトー・オリヴィエ〜Château Olivier〜赤ワイン、白ワイン両方。レオニャン村。
- シャトー・クーアン〜Château Couhins〜白ワインのみ。ヴィルナーヴ・ドルノン村。
- シャトー・クーアン・リュルトン〜Château Couhins Lurton〜白ワインのみ。ヴィルナーヴ・ドルノン村
- シャトー・ラヴィユ・オー・ブリオン〜Château Laville Haut Brion〜白ワインのみ。タランス村
やはり格付けの中でもシャトー・オーブリオンは素晴らしい出来の年が多いと思います。他のメドック1級格付けのワインと比べると凄みはなく落ち着いたワイン。細やかで丸みがあり形が整っています。本当に綺麗な形、伸びやかなワインです。
他の格付けワインで言うとシャトー・スミス・オー・ラフィットはビオディナミを取り入れていて、ビオディナミらしさはシャトー・ポンテ・カネなどに劣るように思いますが確かな品質です。シャトー・スミス・オー・ラフィットが格付けされているのは赤ワインのみです。
ドメーヌ・ド・シュヴァリエもシャトー・オー・ブリオンに負けず劣らずの品質です。厚みがあって大きくて少しざっくりとした味わいながら品もあります。ビオディナミを取り入れたナチュラルなワインです(ビオディナミっぽくはそこまでなく上質のナチュラルワイン)
ドメーヌ・ド・シュヴァリエは赤ワインも白ワインも格付けされていますが、白ワインの知名度の方が高く、赤ワインは随分と値段が安いです。
さらにドメーヌ・ド・シュヴァリエのロゼは赤ワインの副産物(セニエ)ですので本当に安いですが、質の高いテロワールは感じとれるのでかなりオススメです。
シャトー・カルボニューのレベルは安定して高く値段もお手頃です。赤ワインと白ワイン両方が格付けされています。紹介しているのは1980年の古い赤ワインですが、この古さでこの値段は安いですね。必ずしも古いものが良いわけではなく、新しいヴィンテージもとても良いです。
シャトー・カルボニューはセカンドワインもとても美味しく、特に白ワインのラ・クロワ・ド・カルボニュー・ブランはかなりコストパフォーマンスが高いと思います。
ボルドーのワイン産地③サン・テミリオンの記事はこちらからどうぞ。