ジゴンダス〜Gigondas〜
ジゴンダスは南ローヌの中でも標高が高く、冷涼な地域です。他の南ローヌの産地とは毛色が違うワインを生みます。
ジゴンダスはもともとはA.O.C.コート・デュ・ローヌでしたが、1966年にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュに格上げされて、1971年にA.O.C.ジゴンダスとして認められました。ジゴンダスの名前は「喜び」や「楽しみ」みたいな意味のラテン語からきています。ジゴンダスは知名度の高いワイン産地ですが、ジゴンダス村は人口600人程度のとても小さな村です。
ジゴンダスのぶどう品種
ジゴンダスのぶどう品種はグルナッシュ主体でシラーやムールヴェードルなどをアッサンブラージュした赤ワインの産地です。少量ですが、ロゼワインもあります。
ジゴンダスの土壌
ジゴンダスは標高が400mを超えるところもあります。他の地域と比べて日照時間も短いです。石灰岩の少ない南ローヌですが(あってもその地域の地層ではなく、川によって運ばれてきた礫が多い)、ジゴンダスは石灰岩(プラス標高の高さ)の引き締まった味わいで、酸もカチッとしています。畑以外の場所は主に森で、それがさらに冷涼さを増します。
石灰岩といっても地質年代が多様で、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀、第三紀(第四紀も)まであるので場所によって味わいは異なります。標高の低い平地の石灰の少ない畑もありますし、ジゴンダスという名前だけでは選べません。
標高の高いダンテル・ド・モンミライユ(680m)側のエリアは白亜紀です。ジゴンダスの街の方、ヴァケラスのエリアの近くの平地は第三紀。ジュラ紀の土壌も標高の高いエリアにあります。
ジゴンダスの街の近くには三畳紀の土壌もあります。三畳紀の石膏があり、その石膏の溶解によって生じた水(硫酸銅を含む水)によってドロマイトや石灰岩が溶解し堆積したCargneulesと言う堆積岩もあります。
加えて粘土や砂利などがあり、それらが重なり合ってジゴンダスの味わいを形成しています。
ジゴンダスは、全体的には品があって力強いワインです。重いワインではありません。
ジゴンダスの造り手
サンタ・デュックはジゴンダスを代表する造り手の一人です。あまりアピールしていませんがナチュラルな栽培です。ジゴンダス・オー・リューディはジゴンダスの8つの区画のブレンドです。8つの区画は3つの土壌に分けることが出来ます。
1つ目の土壌は第四期の赤粘土と砂利質の区画です。レ・オー・ガリグー〜Les Haut Garrigues 〜、レ・カルボニエール〜Les Carbonnieres 〜、レ・ロカシエール〜Les Rocassieres〜、サンタ・デュック〜Santa Duc〜、レ・パリエルダス〜Les Pailleroudas〜、 レ・ルート〜Les Routes〜といった区画があります。
2つ目の土壌は青粘土質の グジャール・エ・プレイン(かな?)〜Goujard et Plane〜、3つ目が白亜紀のマールと石灰岩土壌のデリエール・ヴィエイユ〜Derriere Vieilles〜です。
デリエール・ヴィエイユのみ標高が高く350mの畑です。ダンテル・ド・モンミライユに向かう斜面中腹です。他の畑は標高140m程度と低めです。
シャトー・ド・サン・コムもナチュラルで素晴らしいジゴンダスを造る生産者です。500年の歴史ある造り手。ビオディナミも行なっています。斜面中腹辺りの畑が多いようです。第三紀の土壌だと思います。石灰岩が露出している土壌です。トップキュヴェのジゴンダス・オミニス・フィデスはもちろん良いですが、基本のジゴンダスもかなり質が高いです。
ファミーユ・ペランのジゴンダス・ラ・ジルは斜面中腹のエリアで第三紀だと思いますが、砂質の割合が多く、エレガントと言うよりサラリとした個性のジゴンダスです。
クロ・デュ・ジョンキュアスのジゴンダスは三畳紀の土壌で味わいもとても良いですし、ナチュラルなワインでオススメだったのですが、現在は販売しているところはないかもしれません。
コート・デュ・ローヌ地方のワイン産地10、ヴァケラスの記事はこちらからどうぞ。