ディオニー〜Diony〜
ディオニーはヴァンナチュール色全開のインポーターです。
個人的にはやり過ぎな印象を持つワインも多いですが、非常に人気ですね。日本の今のヴァンナチュール人気にピッタリとハマっているインポーターです。
どのワインをとってもナチュール味ですが、その中でも整った良い形をしているものと、雰囲気だけじゃないか?と思うものがあります。その二つは似て非なるものな気がします。
ディオニーの約束、という項目にはテロワールを表現するワインにこだわるとありますが、多くのワインからはテロワールは見えてきません。
もちろん、ディオニーが扱うワインの中にもきちんとテロワールを表現する造り手はいます。
例えばアルザスのナチュールの名手、マルク・テンペがそうです。ラシーヌのいくつかのワインと同様、ヴァンナチュールとひとまとめにはしたくない完成度の高さ。
美味しいけど品種も土地も見えてこない、といった感じではなく、特にマルク・テンペのグランクリュはきちんと土地の個性を表現しています。
マンブールはマンブールらしく、フルシュテンタムはフルシュテンタムらしいです。
マルク・テンペは以前、ワイナリーを訪れたこともありますが、その時頂いて家で飲んだマンブール・ゲヴェルツトラミネル2010は本当に感動的な味わいでした。
今まで飲んだアルザスグランクリュの中でもベストな1本。その後、何度か飲んだマルク・テンペのマンブールと比べても圧倒的で、手持ちで持って帰ってくるワインのすごさを実感しました。
同じくアルザスのクリスチャン・ビネールは、逆で土地が見えない独特のビネール味。グランクリュのシュロスベルグなどを飲んでも何がなんだか分からないが美味しいワインではあります。
ジュリアンメイエーなども同様です。どのワインも美味しいとはいえ、マルク・テンペのバランス感覚の素晴らしさを感じます(それにしてもアルザスはナチュール味が多いですね)
ディオニーだけでなく、ヴァンナチュール全体の話ですが、やはり味の変化が激しく、現地では良いなと思ったものが、日本では全然違う味に感じることが良くあります(輸送の問題以外にも色々と差異はありますが)
SO2ゼロのワインなども結構ありますからね。
その意味でもヴァンナチュールは本当に難しい。悪くなっているのに、これはこういう味ですから、とか言われて終わるケースがあります。
テロワールを表現していなくても、美味しいとしか言えないワインもあります。
数年前に初めて飲んでびっくりするくらい美味しいと思ったのはレ・ヴァン・コンテのフェルマンタシオン・イン・ヴィトロというペットナット(ペティアン・ナチュレル)です。少し甘くてじんわり旨味がのって単純に美味しい。清涼感と複雑さ。
ロワールのシュナンブランですが、飲んでも土地がどこかも想像出来ませんが、味は本当に良いと思いました。フェルマンタシオン・イン・ヴィトロは今はない気がしますが、他のワインもレ・ヴァン・コンテならではの美味しさがあります。
ディオニーのワインは比較的お手頃なものが多いです。ヴァンナチュールは若干割高なものが多いので、非常に助かります。
高価なワインが多いブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュなどのラインナップは少なく、ヴァンナチュールが盛んに造られているロワール、アルザス、南仏のワインが多いです。
ディオニーは、安旨ヴァンナチュールを探すなら、まず一番に思い浮かぶインポーターです。