ソムリエ試験対策〜フランス概論〜
ソムリエ教本のフランス概論をまとめてみました。もう少し早く記事にしたかったですが、来年以降用ですね。そもそもそんなの長いページではなく、まとめられた内容ではあります。フランスのことでまず最初に知っておきたい部分です(教本ではなく自分なりのフランス概論を書いてなかったのでいずれ書きます)
※後日、色を変えたり付け加えたりと見やすくする予定です。
フランスはドイツと並ぶ西ヨーロッパの要となる国。北東はベルギー、ルクセンブルグ、ドイツ、東はスイス、イタリア、南西はピレネー山脈を隔てて、スペインと接する。北西には英仏海峡を隔ててイギリス。
西に大西洋、南東に地中海。
ノルマンディー地方、ブルターニュ地方、フランス最北部、山岳地帯を除く、各地方にワイン産地が点在。
2016年のワイン輸出額は79億ユーロで世界一。アメリカ、イギリス、ベルギーが主な市場。中国も伸びてきている。
ぶどう栽培面積は2016年のデータで75.4万ha。ワイン生産量は 4.428万hlで、スペイン、イタリアとほぼ同じくらいで世界トップクラス。
フランスの歴史
BC6 古代ギリシャの一民族であるフォカイア人が、今のマルセイユに上陸。植民地、マッサリアを築く。その後、古代ローマ人により、ぶどう栽培、ワイン造りは広がる。
1cにはコート・デュ・ローヌ地方にぶどうが植えられた。3c頃にはボルドー、ブルゴーニュなどにもぶどう栽培は広がる。
6c頃にはぶどう栽培はロワール地方や、冷涼なシャンパーニュ地方にも到達。
481年、フランク諸族を統一したクローヴィスがメロヴィング朝フランク王国を建国。統治を容易にするため、ガリア人が信奉していたカトリックを認めたことから、ワインは浸透していく。
中世にはローマ・カトリック教会の権力が大きくなり、ベネディクト派やシトー派の修道僧により、ぶどう畑が拡大。宮廷の王侯貴族たちに、ボルドーやブルゴーニュのワインが人気となる。コンティ公ルイ・フランソワが後にロマネ・コンティと呼ばれる畑を入手するなど、ワインは貴族の権力を示す存在となる。
1789年のフランス革命により、貴族や教会の財産が没収され、ブルジョワジーがぶどう畑を取得。
19cにはワインは市民の間で愛飲されるようになり、輸出も始まり主要な品目の一つとなる。
19c後半にベド病やウドンコ病が流行り、さらにはフィロキセラによる被害を受ける。
20c前半は第一次世界大戦や世界恐慌などの世界的な不景気により、粗悪なワインや産地偽装が横行。
1935年、I.N.A.O.の前身機関が設立。A.O.C.法制定(シャトーヌフ・デュ・パプの生産者、バロン・ル・ロワが中心)
1980年代、醸造学の発展に伴い、ワインの品質向上(特に南仏)
1990年代、1960年代〜1980年代に大量に使用された化学肥料や農薬への反省から自然環境に優しい栽培法が広がる。
フランスの気候
北緯42〜51度(北海道〜サハリンあたり)
地中海や北西部を流れる暖流、北大西洋海流の影響で、緯度の割に温暖で多様な気候。
- 海洋性気候、大西洋に近いロワール川下流、ボルドー
- 半大陸性気候〜大陸性気候、内陸のロワール川上流、ブルゴーニュ、アルザスなど
- 地中海性気候、地中海に面したラングドック、プロヴァンス、コート・デュ・ローヌ南部など
※同じ地方でも地形や地勢で、微気候が生じる。
土壌は、
- 砂利質、=ボルドーメドック地区に多い
- 粘土質=ボルドー右岸に多い
- 粘土石灰質=ブルゴーニュ
- 片岩、片麻岩=コート・デュ・ローヌ北部など
- 花崗岩=アルザスなど
土壌の多様性に加えて、斜面の角度や向きなどが関係して多様なテロワールを形成。
フランスのぶどう品種
栽培面積が広い白ぶどうは一位から順に
- ユニ・ブラン=サンテミリオン・デ・シャラント(コニャック、アルマニャック、南部)
- シャルドネ=オーベーヌ=ガメイ・ブラン=ムロン・ダルボワ=ボーノワ=ムロン・ブラン(ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ジュラ、ロワール)
- ソーヴィニヨンブラン=ブランフュメ(ボルドー、南西、ロワール)
- セミヨン(ボルドー、南西)
- ムロン・ド・ブルゴーニュ=ミュスカデ(ロワール)
黒ぶどうは一位から順に
- メルロ(ボルドー、南西、ラングドック 、ルーション)
- グルナッシュ(コート・デュ・ローヌ南部、ラングドック、ルーション)
- シラー=セリーヌ(コート・デュ・ローヌ北部、ヴォクリューズ、プロヴァンス、ラングドック、ルーション)
- カベルネソーヴィニヨン(ボルドー、南西、ロワール、プロヴァンス、ラングドック)
- カリニャン(地中海沿岸、南仏全域)
フランスのワイン法と品質分類
1935年A.O.C.法制定。
2008年EUレベルで新たなワイン法導入。A.O.CはA.O.P.として登録された。※2009年ヴィンテージから適用された。
新たな制度では、
- 地理的表示付きのワイン
- 地理的表示のないワイン
に大別。
三階層になっていて一番上でA.O.P.、次が、I.G.P.、一番下がV.S.I.G.
A.O.P.(A.O.C.)とその下のI.G.P.が地理的表示付きのワインで、一番下のV.S.I.G(フランスではヴァン・ド・フランス)が地理的表示のないワイン。
以前あったV.D.Q.S.はA.O.C.に昇格、またはI.G.P.に吸収という形で廃止に。ヴァン・ド・ペイはI.G.P.に。
ヴァン・ド・フランスは、以前のヴァン・ド・ターブルでは認められていなかったヴィンテージ表示が可能。品種名も表示することも出来る(アリゴテ、アルテス、クレレット、ゲヴェルツトラミネール、グランジェ、ジャケール、モンデューズ、ペルサン、プールサール、リースリング、サヴァニャン、シルヴァネール、トゥルソーは品種表示不可)
また2009年以降、地域に関わらずぶどう品種の植え付けが自由化されている(A.O.C.を名乗るためには各規定に則る必要がある)