アロース・コルトン〜Aloxe-Corton〜
白ワインのグランクリュであるコルトン・シャルルマーニュを有することで非常に有名なアロース・コルトン。ラドワの項で書いたように、3つの村に跨ったり、区画による規定が色々とあったりして、なかなか理解しづらいのがコルトンの丘のワインだと思います。
コルトン・グランクリュが跨っているラドワ・セリニが北東部に隣接し、ぐるっとコルトンの丘を周った北側の部分はペルナン・ベルジュレスのコルトン・グランクリュの区画です。北部だけではなく、南西部にかけてペルナン・ベルジュレスと隣接しています。アロース・コルトンの南西部はサヴィニー ・レ・ボーヌやショレイ・レ・ボーヌとも隣接しています。
アロース・コルトンは、コルトン・グランクリュが認められている3つの村の中でも最も区画が多いですし、中心の村と言えます。
アロース・コルトンのグランクリュ(コルトン〜Corton〜、コルトン・シャルルマーニュ〜Corton Charlemagne〜)
ラドワ同様、グランクリュはコルトン(赤ワイン、白ワイン共に認められていますが基本赤ワイン)とコルトン・シャルルマーニュがあります。知名度としては圧倒的にコルトン・シャルルマーニュの方が高いです。
コルトンの丘のグランクリュは村ごとではなく、ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ベルジュレスを合わせてコルトンの丘のグランクリュとして考えた方が規定などわかりやすいかもしれません(村ごとの説明をしているのでここではアロース・コルトンのことを述べていますが)
コルトンであれば区画名を表記できたり、白のコルトン・シャルルマーニュだと区画名を表記できないなど、かなり特殊な規定があります。コルトンの丘のグランクリュ区画の多くはアロース・コルトンにあります。
他の村でも区画は非常に大切ですが、表記されているケースは少なく、コルトン・グランクリュの区画名表示はわかりやすいとも言えます。ただ単一区画のコルトンの方がブレンドした区画名なしのものより、レベルが高いかどうかは一概には言えません。単一畑だと、平坦な味になっていることもあります。
コルトンの丘のグランクリュは、3つの村の区画をブレンド出来るという点も面白いと思います。
コルトン・グランクリュは名乗れても白のコルトン・シャルルマーニュは名乗れないクリマもあります(白のコルトン・ブランなら可能ではある)
コルトンの丘には、現在、生産者がいないシャルルマーニュというグランクリュもありますが、基本無いものとして考えて問題ないと思います。
コルトン・シャルルマーニュを生み出したのはルイ・ラトゥールです。19c末にフィロキセラによって壊滅してしまったピノノワールとアリゴテをシャルドネに植え替えたのが始まりです。そこから他の造り手もシャルドネを植え始め、1937年にアペラシオン認定されました。
コルトン・シャルルマーニュはモンラッシェなどと並んでブルゴーニュの最上の白ワインと言われますが、ほとんどのワインは、グランクリュ的方向ではなく、品格や凄みといった点ではモンラッシェとは比べられないように思います(良いコルトン・シャルルマーニュに出会うためには区画をしっかりと把握しないといけない)
グランクリュ・コルトン(赤ワイン)は全体的に少し物足りない味です(薄いのに変に硬かったり、広がりに欠ける印象です)コルトンの丘の上部は泥灰岩が多く、その辺りの畑からもコルトン赤は造れますが、ほぼ白ワインのコルトン・シャルルマーニュになってしまいます。
単一区画の方が人気が高いとは思いますが、数区画がブレンドされたコルトン赤はバランスもとれて上質な印象です(斜面上部の泥灰岩のワインを加えたものは特に)
コルトンの丘のグランクリュの区画、ル・シャルルマーニュ、ル・コルトン、レ・プージェ、レ・ランゲット、レ・ルナルドの一部は、白ワインを造るとコルトン・シャルルマーニュを名乗れます。赤ワインのコルトンも造れますが、多くの生産者がコルトン・シャルルマーニュを造ります。これらの区画は斜面の上部の区画で、これら以外の下部の区画では、コルトン・シャルルマーニュは認められていません。
コルトン・シャルルマーニュは区画名を表記できないので、レ・プージェやレ・ランゲットの名前は比較的マイナーな存在となっていますが、レ・プージェやレ・ランゲットを含んだコルトン・シャルルマーニュは非常に質が高いです。赤ワインのコルトンでも同様です。少ないですが、レ・プージェやレ・ランゲットの名前を付けた単一区画のコルトンもあります。
それに比べて、コルトン・グランクリュしか認められていないル・クロ・デュ・ロワや、レ・ブレッサンド、レ・ルナルドは、区画名を表記したワインをよくみかけるので、名前が知られています。
また2009年からドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティが、プランス・フローラン・ド・メロードからクロ・デュ・ロワ、レ・ブレッサンド、レ・ルナルドの3つのグランクリュを借り入れてブレンドしてコルトン・グランクリュを造っています。プランス・フローラン・ド・メロード名義でのリリースは2008年が最後となっていますが、現在の価格はその当時の10倍くらいにはなっています。現在のDRCのコルトン・グランクリュにその価格の価値があるのかはわかりませんが、プランス・フローラン・ド・メロードのコルトンは上質な味わいだったと思います(DRCと同じように3つの区画をブレンドしても良かった気はしますが)
コルトンのグランクリュ区画(18)
- ル・シャルルマーニュ〜Le Charlemagne〜(コルトン・シャルルマーニュが認められている)
- ル・コルトン〜Le Corton〜(コルトン・シャルルマーニュが認められている)
- レ・ランゲット〜Les Languettes〜(コルトン・シャルルマーニュが認められている)
- レ・プージェ〜Les Pougets〜(コルトン・シャルルマーニュが認められている)
- レ・ルナルド〜Les Renardes〜(上部のみコルトン・シャルルマーニュが認められている)
- ラ・ヴィーニュ・オー・サン〜La Vigne-au-Saint〜
- ル・クロ・デュ・ロワ〜Le Clos du Roi〜
- クロ・デ・メ〜Clos des Meix〜
- レ・ブレッサンド〜Les Bressandes〜
- レ・ショーム〜Les Chaumes〜
- レ・ショーム・エ・ラ・ヴォアロス〜Les Chaumes et la Voierosse〜
- レ・コンブ〜Les Combes〜
- レ・フィエトル〜Les Fiètres〜
- レ・グレーヴ〜Les Grèves〜
- レ・マレショード〜Les Maréchaudes〜
- レ・ムトット〜Les Moutottes〜
- レ・ポーラン〜Les Paulands〜
- レ・ペリエール〜Les Perrières〜
ル・シャルルマーニュ〜Le Charlemagne〜
コルトンの丘で最も上質なコルトン・シャルルマーニュが出来ると言われているのがル・シャルルマーニュです。斜面上部で丘を回り込んでペルナン・ベルジュレスのコルトンの区画、アン・シャルルマーニュに接しています。
コルトン・シャルルマーニュで最も有名な造り手であるドメーヌ・ボノー・デュ・マルトレの所有する区画はル・シャルルマーニュと、ペルナン・ベルジュレスの区画のアン・シャルルマーニュです。
ル・コルトン〜Le Corton〜
ル・コルトンはル・シャルルマーニュとは逆側、ラドワに接する部分の斜面上部に位置します。表土浅く水はけが良い畑。比較的かちっとした性格です。
ショレイ・レ・ボーヌの有名な造り手のドメーヌ・トロ・ボーが所有するコルトン・シャルルマーニュの区画はル・コルトンです。
レ・プージェ〜Les Pougets〜
ル・シャルルマーニュの東側に隣接する畑がル・プージェです。品のいい味で、非常に伸びやかなワインが生まれます。冷涼な味わい。南向き斜面。泥灰岩と石灰岩の土壌。
ルイ・ジャドの所有するコルトン・シャルルマーニュの区画はレ・プージェです。
レ・ランゲット〜Les Languettes〜
レ・ランゲットは、丘を回り込んでレ・プージェの北東側に隣接しています。さらにその北側がル・コルトンです。レ・ランゲットはプージェと並んで品格があるワインを生みます。
ジョセフ・ドルーアンが所有しているコルトン・シャルルマーニュの区画はレ・ランゲットです。
レ・ルナルド〜Les Renardes〜
レ・ルナルドはル・コルトンの下部に位置します。コルトンのグランクリュの中では硬めで、構造がしっかりしています。上部はコルトン・シャルルマーニュが認められていますが、下部はコルトンのみです。
コルトン・グランクリュの赤ワインの中でも特に有名な区画です。
ル・クロ・デュ・ロワ〜Le Clos du Roi〜
ル・クロ・デュ・ロワは、レ・ルナルドのコルトン・グランクリュの区画の南西側に隣接しています・レ・ルナルドと並んで構造がしっかりした方向です。付近のグランクリュの中で特に優れた印象です。
先に触れたように、DRCは2009年からドメーヌ・プランス・ド・メロードのぶどう畑を譲り受け、コルトン・グランクリュをリリースしていますが、区画はル・クロ・デュ・ロワ、レ・ブレッサンド、レ・ルナルドのブレンドです。
ラ・ヴィーニュ・オー・サン〜La Vigne-au-Saint〜
ラ・ヴィーニュ・オー・サンは、レ・プージェからレ・ショーム・エ・ラ・ヴォアロス(コルトン・グランクリュ区画)を挟んだ南西側に位置します。表土が厚く柔らかい土壌で、ワインも他にはない柔らかい質感でフルーティです。ラ・ヴィーニュ・オー・サンはほぼルイ・ラトゥールが所有していて、クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オー・サンとしてリリースしています。
クロ・デ・メ〜Clos des Meix〜
ヴィーニュ・オー・サンとレ・コンブを挟んだ隣に位置するクロ・デ・メ。L字型のようなコルトンのグランクリュ群の角の部分です(長靴の踵というか)
ル・メ・ラルマン〜Le Meix Lallemand〜とレ・メ〜Les Meix〜の二区画に分かれています。コント・スナールのモノポール。ピノノワールも良いですが、コルトン・ブランも造っていて、それも濃厚で良い。
レ・ブレッサンド〜Les Bressandes〜
レ・ブレッサンドは、レ・ルナルドと、ル・クロ・デュ・ロワの下部に位置します。穏やかで厚みがあるワイン。おとなしめの性格。
レ・グレーヴ〜Les Grèves
レ・グレーヴはレ・ブレッサンドの南西側に隣接した小さな区画です。東南向きの斜面。ゆったりとしておとなしくて、少し粗めの質感です。
レ・ペリエール〜Les Perrières〜
レ・ペリエールは、レ・ランゲットの下部、ル・クロ・デュ・ロワの南西側に位置する区画です。
レ・マレショード〜Les Maréchaudes〜
レ・マレショードはブレッサンドのさらに下部に位置します。コルトンのグランクリュ区画の中でももっとも標高の低い区画です。他のコルトンにはない安定感。それでいて重苦しくないのはさすがグランクリュです。
ルイ・ラトゥールのコルトン・グランクリュのフラッグシップはコルトン・グランセイです。このコルトン・グランセイは、ル・クロ・デュ・ロワ、レ・ブレッサンド、レ・ペリエール、レ・グレーヴの4つの区画を使用しています。複雑で、どっしりした味わいです。
コルトンのプルミエクリュ
アロース・コルトンのプルミエクリュは赤ワイン、白ワイン共に認められています(村名も同様)アロース・コルトンのワインはコルトン・シャルルマーニュと、レ・ルナルドなどの一部の区画のみが知られていて、プルミエクリュはかなりマイナーな存在となっています。
ですが、真っ新な状態で味わっていると、かなりレベルの高いワインが揃っています。クリュによっては一部のグランクリュ区画より品のある味わいのように思います。
コルトン・プルミエクリュ(14)
- レ・シャリオ〜Les Chaillots〜
- クロ・デュ・シャピトル〜Clos du Chapitre〜
- ラ・クティエール〜La Coutière〜
- レ・プティ・フォリエール〜Les Petites Folières〜
- レ・フルニエール〜Les Fournières〜
- レ・ゲレ〜Les Guérets〜
- レ・マレショードLes Maréchaudes
- クロ・デ・マレショード〜Clos des Maréchaudes〜
- ラ・マレショード〜La Maréchaude〜
- レ・ムトット〜Les Moutottes〜
- レ・ポーラン〜Les Paulands〜
- ラ・トップ・オ・ヴェール〜La Toppe au Vert〜
- レ・ヴァロジエール〜Les Valozières〜
- レ・ヴェルコ〜Les Vercots〜
アロース・コルトンの代表的な造り手
- コント・スナール〜Comte Senard〜
- ボノー・デュ・マルトレ〜Bonneau du Martray〜
- ドメーヌ・ポワゾ〜Domaine Poisot〜
- フォラン・アルベレ〜Follon Arbelet〜
- プランス・フローラン・ド・メロード〜Prince Florent de Merode〜(2008年が最後のヴィンテージ)