アジャクシオ〜Ajaccio〜
コルシカ島の西部に位置するアジャクシオ(中央より少し南側)、北部のパトリモニオと並んでコルシカ島の二大産地の一つです。アジャクシオを中心とした36の市町村に認められています。
もともとはコトー・ダジャクシオという名称のアペラシオンでしたが(1971年認定)、1984年にアジャクシオと名称が短くなり、規定も変わりました。
アジャクシオはフランス語で、コルシカ語ではアヤッチュと言います。
ナポレオンの生誕地としても知られています。
アジャクシオの土壌
アジャクシオの土壌は少し赤みがかった花崗岩です。コルシカ島はフランス本土と比べて随分と南に位置するので非常に暑いイメージですが(実際暑い地域ですが)、その中ではアジャクシオは比較的涼しい地域です。雨もそこそこ降ります。
コルシカ島は風の強い場所が多いですが、丘に囲まれたアジャクシオは風が弱いです。強い風は吹かないとはいえ、朝方は山から冷たい風が吹き、それが暑いコルシカ島にあって独特の冷涼感を生みます。
アジャクシオのぶどう品種
アジャクシオは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていますが、シャッカレッロ主体の赤ワインが特に素晴らしい出来です。
赤ワインとロゼワインの主要品種はシャッカレッロです。ニエルキオ、バルバロッサ(バルバルー)、ヴェルメンティーノ(マルヴォワジー・ド・コルス)もシャッカレッロに次ぐ主要品種です。アレアティコやカルカジョーロ・ネーロ、モラステル(ミニュステッロ、グラシアーノ)にメジャーなカリニャン、サンソー、グルナッシュも使えます。
色々な品種がありますが、アジャクシオはシャッカレッロのワインという認識で問題ないと思います。
シャッカレッロは房も小さく、凝縮感がありそうですが、とくのアジャクシオのシャッカレッロはふんわりとしています。
シャッカレッロはイタリア原産のぶどうで、イタリア(トスカーナ)ではマンモーロと呼びます。
日本では昔はシャッカレッロのことをスキアカレロと読んでいましたが、いつのまにかスキアカレロと呼ばれることはほぼなくなったように思います。
アジャクシオ以外でもシャッカレッロは栽培されていますが、アジャクシオのシャッカレッロが最も質が高く、しっとりふんわりフルーティで伸びやかなワインが出来ます。酸の優しいワインです。
アジャクシオの造り手
個人的に最も好きなアジャクシオの造り手はドメーヌ・ア・ペラチアです。非常に真っ当なビオディナミの造り手で、アジャクシオ・トラディション・ルージュは淡い色調ながら旨味が強く、エネルギーに溢れたワインです。
コンテ・アバトゥッチもアジャクシオにとって大事な生産者です。コルシカ島の英雄であるシャルル・アバトゥッチの末裔のドメーヌですが、ビオディナミを行いながら、コルシカならではの固有品種を多数、栽培しています(18種類の固有品種を栽培している)
上記の写真のワイン、ヴァッレ・ディ・ネロ・ルージュは、カルカジョーロ・ネーロ100%です。バルバロッサ100%のアルテ・ロッソ・ブランなども造っています。
ドメーヌ・ウ・スティリチオヌもビオディナミの造り手です。ドメーヌ・ウ・スティリチオヌのアジャクシオ・ダミアヌはSO2無添加のサンスフルで、少し行き過ぎた感はありますがアジャクシオらしさは感じられます。