ポムロール〜Pomerol〜
サン・テミリオンの西側に隣接するエリアがポムロールです。とても小さなワイン生産地で、ワインの生産量も他のメジャー生産地と比べてずっと少ないです。
今でこそ有名で超高額なワインが多数あるポムロール ですが、歴史は浅く、格付けもありません。伝統的なボルドーの歴史の中で評価されてきた地域と違うポムロールは、ワインの味わいも他の地域とは違うベクトルです。
ポムロールのぶどう品種はほぼメルロです。隣のサン・テミリオンもメルロ主体ですが、性格は真逆と言っていいくらいです(現在はメルロの産地でしたが、以前はマルベックが多く、フィロキセラの前はセミヨンなど白ぶどうが多かった)
普通は柔らかくフルーティに仕上がるメルロですが、グラス・ド・フェールがある重い粘土質の土壌のポムロールのメルロは、骨格がしっかりして重くて大きく横幅のあるワインになります。標高も低くほぼ平地です。他のメジャーなボルドーのワイン産地の高級ワインは比較的速く抜けていくワインですが(余韻は長いとしても)、ポムロールはゆっくり口中にとどまります。
粘土もスメクタイトという膨潤性の高いものが多くあり、それが密度の高さや緻密さをを作ります。
こういったポムロールならではの特徴を備えているのは、有名シャトーが集まっている中心地のみの話です。西側のエリアは、砂質が増え、個性は変わります。ポムロールという名前だけではなく、どの辺りに畑があるかが大事になってきます。
シャトー・ネナンはポムロール南西部の粘土が少ないエリアです。シャトー・ネナンは小さな造り手が多いポムロールに置いてかなり広い畑を持っているシャトーです。
セカンドのフューグ・ド・ネナンはポムロールの中ではお手頃で質の高いワインですが、先に紹介した通り、イメージするポムロールらしいワインではないです。
ポムロール中心地だとシャトー・クリネが比較的お手頃な値段です。セカンドワインのフルール・ド・クリネはポムロールらしさをお手頃な値段で感じることが出来ます。
ポムロールの有名シャトー
ポムロールにはワインの格付けはありませんが、格付けされているのと変わらないくらい評価が高く有名なシャトーがあります。
ポムロールの有名シャトー
- シャトー・ペトリュス〜Château Pétrus〜(ポムロール東部)
- ル・パン〜Le Pin〜(ポムロール東部)
- シャトー・ラフルール〜Château Lafleur〜(ポムロール東部)
- シャトー・ラ・フルール・ペトリュス〜Château La Fleur Petrus〜(ポムロール東部)
- シャトー・ガザン〜Château Gazin〜(ポムロール東部)
- シャトー・セルタン・ド・メイ〜Château Certan de May〜(ポムロール東部)
- シャトー・レヴァンジル〜Château L’Évangile〜(ポムロール東部)
- シャトー・ラフルール〜Château Lafleur〜(ポムロール東部)
- シャトー・オザンナ〜Château Hosanna〜(ポムロール東部)
- シャトー・ラ・コンセイヤント〜Château la Conseillante〜(ポムロール南部)
- シャトー・プティ・ヴィラージュ〜Château Petit Village〜(ポムロール南部)
- シャトー・ネナン〜Château Nénin〜(ポムロール西部)
- シャトー・トロタノワ〜Château Trotanoy〜(ポムロール西部)
- シャトー・ド・サル〜Château de Sales〜(ポムロール北西端)
ポムロールの有名シャトーの中でも圧倒的知名度を誇るのがシャトー・ペトリュスです。ペトリュスは聖ペトロの意味。シャトー・ペトリュスはポムロールを象徴するような存在です。シャトー・ペトリュスを含めたジャン・ピエール・ムエックスが手に入れたシャトーの品質によってポムロールは世界的に有名になったと言えます。
シャトー・ペトリュスはポムロールの中でも特に重い粘土質土壌で、ボタンホールと呼ばれる小さな丘の上にペトリュスの畑はあります。水捌けのかなり悪い土壌です。標高が他の畑より少しだけ高いところと、粘土質が強いこと、粘土の質が良いこと(スメクタイト)がシャトー・ペトリュスの特徴です。
シャトー・ペトリュスと並んで超高価なワインがル・パンです。ポムロール自体がアメリカでの需要に支えられる形で発展していますが、ル・パンも評論家のロバート・パーカー氏が100点を付けたことで人気に火が付きました。ファーストヴィンテージが1979年でパーカーが100点を付けたのが1982年なので本当に彗星の如く現れた存在と言えます。
シャトー・ラフルールはシャトー・ペトリュスなどとは違って比較的軽めの礫質土壌です。ペトリュスの近くですが土壌は随分と違います。シャトー・ラフルールはカベルネフランの割合が多いワインです。
ラランド・ド・ポムロール〜Lalande de Pomerol 〜
ポムロールからバルバンヌ川を挟んで北側に位置するアペラシオンがラランド・ド・ポムロール です。
ポムロール同様東側は粘土質で、西側は砂質が強くなります。東側はA.O.C.ネアック〜Neac〜も名乗れます。全体的にポムロールよりドライなテイストです。
シャトー・シオラックはラランド・ド・ポムロール東部ネアックにあるシャトーです。
ボルドーのワイン産地⑤、ソーテルヌとバルサックの記事はこちらからどうぞ。