ベルジュラック地区〜Bergerac〜
南西地方のワイン産地であるベルジュラック地区はカスティヨン・コート・ド・ボルドーから地続き、ドルドーニュ川の中流域にあるワイン産地です。
美しい村落が点在するエリアです。
気候はボルドーと似ていますが、より内陸に位置しますので昼夜の寒暖差があり、特に冬は寒いです。ワインもより引き締まった味わいになります。
土壌もボルドーと似ていて粘土石灰質や砂利質、粘土質などがあります。
ベルジュラックの街があるドルドーニュ県は、昔はペリゴール州と呼ばれていて(完全に同じではないが)、現在もペリゴール地方などと呼ばれたりもしますね。
ペリゴールといえばフォワグラが有名で、フォワグラを取った後の鴨であるマグレ・ド・カナールやトリュフなどでも知られています。
ベルジュラック地区近くのヴェゼール渓谷にあるラスコー洞窟は世界遺産として有名です。約1億7千万年前の先史時代である後期旧石器時代、オーリニャック文化の洞窟壁画で知られています(現在非公開。レプリカの洞窟は見学可)
同名のA.O.C.ベルジュラックがベルジュラック地区の全域で造られる、最も基本のアペラシオンです。同じエリアにはより条件の厳しいコート・ド・ベルジュラック〜Cotes de Bergerac〜のアペラシオンもあります。
ベルジュラックのワインは、ボルドーより内陸で引き締まった味です。硬いわけではなく、穏やかな品の良さがあります。
ベルジュラックのエリアには、より優れたワインを造る地域として、ペシャルマン、モンバジャック、ソーシニャック、モンラヴェル、ロゼットといったアペラシオンがあります。
ベルジュラックのぶどう品種
ベルジュラックは、ボルドーから近いこともあり、品種も同じボルドー品種を使ったワインを造っています。
赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フラン、コット(マルベック)をブレンドしたスタイルで、補助品種として地場品種のフェル・セルヴァドゥ(フェル・サルヴァドゥ)なども使用可能です。
ベルジュラックの白ワインは、ソーヴィニヨンブラン、ソーヴィニヨングリ、セミヨン、ミュスカデルに補助としてユニ・ブランを加えられます。
ペシャルマン〜Pécharmant〜
ワイン産地としてはかなり広いエリアがあるベルジュラックですが、その中でも特に優れた赤ワインを産出するのがペシャルマンです。ぺシャルマン村を含む4つの村に認められています。
ペシャルマンはドルドーニュ川の北側に位置し、通常のベルジュラックより、さらに品格があり優美さを持ったクリュです。
鉄分の多く深い粘土質土壌から(丘陵部にはスメクタイト粘土がある)、上質なメルロが栽培されています(ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フラン、コットなどとのアッサンブラージュです)。
ペシャルマンは、よく熟したぶどうの味がします。それでいて涼やかです(昼夜の寒暖差)
ぺシャルマンのワインもかなり日本には少ないですが、シャトー・バルイユのぺシャルマンが購入可能です。
モンバジャック〜Monbazillac〜、ソーシニャック〜Saussignac〜
ベルジュラックには甘口ワインのクリュもあります。ソーシニャックとモンバジャックです。ドルドーニュ川の南側で砂質と石灰質の土壌です。貴腐ワイン、または過熟したぶどうを使った極甘口です。
シャトー・デ・ゼサールはナチュラルで真っ当なワインを造りながら、価格を上げないことに誇りを持っているありがたい造り手です。ソーシニャックです。
モンバジャックだと、名前もそのままのシャトー・モンバジャックが良いですね。
モンラヴェル〜Montravel〜、コート・ド・モンラヴェル〜Cotes de Montravel〜、オー・モンラヴェル〜Haut Montravel〜
カスティヨン・コート・ド・ボルドーに隣接するエリアがモンラヴェルです。ボルドー品種を使用した赤ワインと辛口白ワインを造っています。
モンラヴェルのエリアの中で、北側の丘のエリアからは、甘口白のコート・ド・モンラヴェル、北側の丘と南に位置するモンラヴェルの街の間のエリアからは、同じく甘口のオー・モンラヴェルのアペラシオンがあります。
辛口ワインのモンラヴェルも甘口ワインのコート・モンラヴェル、オー・モンラヴェルもボルドー品種のブレンドですが、補助として、地場品種のオンダンクを加えることが出来ます。
ロゼット〜Rosette〜
ロゼットは、ぺシャルマンの西に位置する半甘口白ワインの産地です。セミヨン、ソーヴィニヨンブランなどのボルドー品種からワインは造られます。
南西地方のワイン産地②、ガロンヌ地区の記事はこちらからどうぞ。