ヴォルネイ〜Volnay〜
ヴォルネイはコート・ド・ボーヌの中でももっとも品格のあるワインを生む産地です。ブルゴーニュ全体から見ても屈指の品の良さがある村と言えます。コート・ドールの中でも小さな村で、品質差が少なく、全体的に軽やかで華やかなワインが多く造られています。
小さな面積の畑ながら、標高差は結構あり、村名も含めて斜面上にあるのも特徴です。
ヴォルネイは繊細に造れば造るほど、その魅力は増す印象があります。現在より抽出が浅かった18c頃には、より繊細でロゼのような色合いの上品な赤ワインが造られていて、その時代に評価されていたのがヴォルネイです(ヴォルネイだけではなく全体的に抽出は優しめだった)
中世にはブルゴーニュ公国がヴォルネイのエリアを所有してワインを造っていたことからも、ヴォルネイの素晴らしさが見て取れます。
昔から赤ワインの評価が高かったヴォルネイですが、現在も赤ワインのみが認められています。
ヴォルネイは北東側でポマールと、西部はモンテリー、南部はムルソーと隣接しています。ヴォルネイは村名クラスでも品がある稀有な村です。まずは村名から試してみるのが良いかもしれません。
ヴォルネイのプルミエクリュ
ヴォルネイにはグランクリュはありませんが、30のプルミエクリュがあります。
上質なプルミエクリュが多数あり、その比率は5割を超えています。
ムルソー村にあるヴォルネイ村と隣接した畑のサントノは、赤ワインを造るとヴォルネイ・プルミエクリュ・サントノが名乗れ、白ワインの場合は、ムルソー・サントノとなります(区画によって通常のムルソーだったり、プルミエクリュだったりする)
ヴォルネイのプルミエクリュ(31)
- ピテュール〜Pitures Dessus〜
- フレミエ〜Frémiets〜
- クロ・ド・ラ・リュジョット〜Clos de la Rougeotte〜
- レ・ザングル〜Les Angles〜
- ポワント・ダングル〜Pointes d’Angles~
- レ・ブルイヤール〜Les Brouillards〜
- クロ・デ・デュック〜Clos des Ducs〜
- クロ・ド・ラ・カーヴ・デ・デュック〜Clos de la Cave des Ducs〜
- ラソル〜Lassolle〜
- ル・ヴィラージュ〜Le Village〜
- クロ・ド・ラ・バール〜Clos de la Barre〜
- レ・ミタン〜Les Mitans〜
- アン・ロルモー〜En l’Ormeau〜
- レ・グラン・シャン〜Les Grands Champs〜
- ラ・ジゴット〜La Gigotte〜
- クロ・デュ・シャトー・デ・デュック〜Clos du Chateau des Ducs〜
- クロ・ド・ラ・ブス・ドール〜Clos de la Bousse-d’Or〜
- クロ・ド・ラ・シャペル〜Clos de la Chapelle〜
- クロ・デュ・ヴェルスイユ〜Clos du Verseuil〜
- カレル・スー・ラ・シャペル〜Carelle sous la Chapelle〜
- レ・カレル・スー・ラ・ドゥスゥー〜Les Carelles sous la Dessous〜
- クロ・ド・ローディニャック〜Clos de l’Audignac〜
- タイユ・ピエ〜Taille Pieds〜
- シャンパン〜Champans〜
- ル・ロンスレ〜Le Ronceret〜
- クロ・デ・シェーヌ〜Clos des Chênes〜
- レ・カイユレ〜Les Caillerets〜
- アン・シュヴレ〜En Chevret〜
- レ・リュレ〜Les Lurets〜
- ロバルデル〜Robardelle〜
- サントノ〜Santenots〜
ピテュール〜Pitures〜
ヴォルネイ北部、斜面上部に位置するピトゥールは、2つの区画、ピテュール〜Pitures Dessus〜と、シャンラン〜Chanlin〜に分かれています。シャンランは以前は別のプルミエプルミエクリュでしたが、統合されています。シャンランの区画はポマールと隣接していて、ポマール側もシャンランです(プルミエクリュのレ・シャンラン・バ〜Les Chanlins Bas〜)
急斜面らしいスピード感がありつつ骨太なワインを生みます。
クロ・デ・デュック〜Clos des Ducs〜
ピテュールとヴォルネイ市街地の間にあるプルミエクリュのクロ・デ・デュック。マルキ・ダンジェルヴィル(マルキ・ダンジェルヴィーユ)のモノポールです。市街地の周りにはいくつかのデュックと名前の付く畑がありますが、公爵の意味です(ブルゴーニュ公のこと)
残りのデュックの、クロ・ド・ラ・カーヴ・デ・デュック、クロ・デュ・シャトー・デ・デュックと比べても一段レベルが高いように思います。泥灰岩ですが、比較的水はけも良い土壌です。
レ・ミタン〜Les Mitans〜
ポマール側の斜面下部にあるプルミエクリュであるレ・ミタン。目立たないクリュではありますが、複雑でスパイシー、力強さと厚みがあり、どっしりとした安定感のある味わいです。
クロ・ド・ラ・ブス・ドール〜Clos de la Bousse-d’Or〜
ドメーヌ・ド・ラ・プス・ドールのモノポールであるクロ・ド・ラ・ブス・ドール。ヴォルネイの市街地のすぐ下に位置します。以前はドメーヌ名と同じプス・ドールという名前の畑でしたが、畑の名前をドメーヌの名称に使えるのはドメーヌがその畑からのみワインを造る場合だけという法律に従い、ドメーヌ名ではなく畑名を変更しました(法律はそこまでガチガチではなく、何年も畑名とドメーヌ名は同じプス・ドールでしたが)
プス・ドールからブス・ドールに変更になったわけですが、元々はブス・ドールという畑だったので、元に戻ったとも言えます(他にも何度か名称が変わっているようですが)
クロ・ド・ラ・ブス・ドールは、粘土が多めで力強さがあります。肉厚で硬さがあり、ヴォルネイらしさには若干欠ける気はしますが上質です。
タイユ・ピエ〜Taille Pieds〜
ヴォルネイの市街地の南部に広がるプルミエクリュのタイユ・ピエ。クロ・ド・ラ・ブス・ドールとも近いですが、タイユ・ピエもガッチリタニックでしっかりとした骨格を感じます。凝縮度が高く広がらず一点に集中するような味わい。エレガント方向とは少し違うヴォルネイです(ヴォルネイらしさはきちんとありつつも)かなりの急斜面。
シャンパン〜Champans〜
最もヴォルネイらしいと言えるプルミエクリュがシャンパンです。タイユ・ピエの下部に位置します。斜面中腹で、比較的緩やかな斜面、石灰岩が多く、タイユ・ピエより粘土は少ないことから優美でしなやかなワインが生まれます。
クロ・デ・シェーヌ〜Clos des Chênes〜
タイユ・ピエとモンテリーの間に位置するクロ・デ・シェーヌ。クロ・デ・シェーヌもヴォルネイを代表する畑の1つです。粘土や鉄分が多く急斜面です。可愛らしさがある。緻密さ。隣のタイユ・ピエよりずっと近づきやすい。どっしりした粘土ぽさがありつつも急斜面の抜けの良さもあります。
レ・カイユレ〜Les Caillerets〜
シャンパンに隣接するカイユレ。反対側はムルソー村のサントノです。シャンパン同様、ヴォルネイらしさ全開の畑。大きくて特に品格がある。シャンパンは、アン・カイユレ〜En Cailleret〜、カイユレ・ドゥス〜Cailleret Dessus〜、クロ・デ・スワッサント・ウーヴレ〜Clos des 60 Ouvrées〜の3つの区画に分かれます。
クロ・デ・スワッサント・ウーヴレは、カイユレの上部の区画で、ドメーヌ・ド・ラ・プス・ドールのモノポールです。評価の高い区画ですが、シャンパンに隣接するアン・カイユレやカイユレ・ドゥスもかなり上質です。
サントノ〜Santenots〜
ヴォルネイ村ではなくムルソー村に入ったところにあるプルミエクリュのサントノ。白ワインを造るとムルソーとなりますが、赤ワインはヴォルネイのプルミエクリュです。サントノはいくつかの区画に分かれていて全て合わせると割と広いエリアとなります。
レ・サントノ・デュ・ミリュー〜Les Santenots du Milieu〜、レ・プリュール〜Les Plures〜、レ・サントノ・ブラン〜Les Santenots Blancs〜、レ・サントノ・ドゥスー〜Les Santenots Dessous〜の4つの区画に分かれています。
カイユレや、アン・シュヴレ、ロバルデルなどと隣接しています。隣接しているとは言え、ムルソー村内のサントノは、ヴォルネイ村とは結構性格が違う印象です。ヴォルネイ村の畑より粘土が強く、どっしりしたボディです。伸びやかさには欠けます。ヴォルネイ村の中にも力強いクリュはいくつかありますが、それでもヴォルネイらしい部分を持っています。ヴォルネイと名前は付きますが、サントノは別物です。違った魅力があります。
ヴォルネイの代表的な造り手
- ドメーヌ・マルキ・ダンジェルヴィル(マルキ・ダンジェルヴィーユ)〜Domaine Marquis d’Angerville〜
- ドメーヌ・ド・ラ・プース・ドール〜Domaine de La Pousse D’Or〜
- ドメーヌ・ミシェル・ラファルジュ~Domaine Michel Lafarge~
- ドメーヌ・ド・モンティーユ〜Domaine de Montille〜
- ドメーヌ・アンリ・ボワイヨ〜Domaine Henri Boillot〜
- ドメーヌ・ニコラ・ロシニョール〜Domaine Nicolas Rossignol〜