フランスの地域圏(レジオン)
フランスの地域は行政区分としてはいくつかの地域圏(レジオン)に分かれています。この地域圏が最も大きな地域の区分です。地域圏はいくつかの県で構成されています。
ワイン産地は地域圏や県と完全には連動していないです。出来る限り、地域圏などは抜きにしてワイン産地の話を書いていますが、いくつかのワイン産地は地域圏や県を理解した方がわかりやすいので、多少触れていました。
ですが、全体の理解として頭の片隅に入れておいた方が良いと思いましたので、簡単にまとめて書いておきます。
2016年に再編、統合されて、現在の形となっています。
フランスの地域圏一覧
- グラン・テスト地域圏
- ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏
- オーベルニュ・ローヌ=アルプ地域圏
- オー=ド=フランス地域圏
- イル=ド=フランス地域圏
- サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏
- ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏
- ブルターニュ地域圏
- ノルマンディー地域圏
- ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏
- オクシタニー地域圏
- プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール
- コルス地方公共団体
コルスは島ですが、上記がヨーロッパ本土にある地域圏で13あります。
その他に海外地域圏として、
- ギュイヤンヌ・フランセーズ(フランス領ギアナ)
- グアドループ
- マルティニーク
- マヨット
- レユニオン
の5つがあります。海外地域圏はそのまま海外県でもあります。
グラン・テスト地域圏
グラン・テスト地域圏は、アルザス地域圏、シャンパーニュ=アルデンヌ地域圏、ロレーヌ地域圏が統合されて出来た地域圏です。10の県に分かれています。フランス北東部ですね。
ワイン産地で言うと、旧地域圏名を見るとわかりますが、アルザス地方とシャンパーニュ地方を含みます。
県名で言うとバ=ラン県(北部)オー=ラン県(南部)がアルザスです。バ=ラン県の県庁所在地はストラスブールです。オー=ラン県の県庁所在地はコルマールです。アルザスワインの話でもオー=ラン、バ=ランは頻繁に出てきますね。
マルヌ県とオーブ県は、シャンパーニュの中心となる県です(ワイン産地のシャンパーニュ地方は、他にもいくつかの県をまたがります)
マルヌ県とオーブ県で性格が違います。よりシャンパーニュらしいのはマルヌ県です。シャンパーニュ北部のランスやエペルネがあるのがマルヌ県です。オーブ県に中心はトロワです。マルヌとオーブもシャンパーニュを語る上で良く出てくる言葉ですね。
ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏
ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏は、ブルゴーニュ地域圏とフランシュ=コンテ地域圏が統合されて出来た地域圏です。8つの県に分かれています。
名前の通りワイン産地としてはブルゴーニュ地方を含み、フランシュ=コンテ地域圏は、ジュラ地方を含みます。
ブルゴーニュ地方はヨンヌ県(シャブリなど)、コート・ドール県、ソーヌ・エ・ロワール県(マコン)、そしてオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のローヌ県(ボージョレ)も含みます。
ジュラ地方はジュラ県です。
オーヴェルニュ・ローヌ=アルプ地域圏
オーヴェルニュ・ローヌ=アルプ地域圏は、オーヴェルニュ地域圏とローヌ=アルプ地域圏が統合されて出来た地域圏です。ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏の南側です。13の県に分かれます(リヨンも含め)
ワイン産地としてはロワールの一部(オーヴェルニュ)、コート・デュ・ローヌ、サヴォワ、そして先に書いたようにブルゴーニュも一部含みます。
ブルゴーニュと書きましたが、先に少し触れたようにボージョレがローヌ県の北部に位置します。ローヌ県はもともとリヨンが県庁所在地でしたが、今はリヨンは別のエリアになっています。ですが、ワイン産地として考えると、ボージョレとコート・デュ・ローヌ北部はリヨンのワインとして捉えられます。
コート・デュ・ローヌは、アルデシュ県、ドローム県です。名前だけ見るとローヌ県と思ってしまいそうですが、ローヌ県は違います。アルデシュ県がコート・デュ・ローヌ北部の多くを含み、ドローム県は、北部の飛び地のディーや、ヴァランスなどがそうです。
コート・デュ・ローヌの南部で有名なシャトーヌフ・デュ・パプは別の地域圏(プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏)です。
サヴォワ 地方は、アン県、イゼール県、サヴォワ県、オート=サヴォワ県にまたがります。アン県はビュジェイ、サヴォワ県はシャンベリーが中心地で、周辺にヴァン・ド・サヴォワのクリュがいくつかあります。オート=サヴォワはアヌシー湖の辺りや、レマン湖畔のヴァン・ド・サヴォワがあり、セイセルもオート=サヴォワです(街自体はローヌ川を挟んでアン県に跨る)
アン県にはソースで有名なナンテュア(ナンチュア)もあります。
オー=ド=フランス地域圏
オー=ド=フランス地域圏は、ノール=パ・ド・カレー地域圏とピカルディ地域圏が統合されて出来た地域圏です。イル=ド=フランス地域圏とベルギーに間に位置します。ワインとは関係ないエリア。フランドル伯領だった地域を含みます。5つの県に分かれています。
イル=ド=フランス地域圏
イル=ド=フランス地域圏は、フランスの首都であるパリを中心とした地域圏です。「フランスの島」の意味(川に囲まれて島のようにも見えるから)8つの県に分かれています。
カペー朝の成立した時点では、王領はイル=ド=フランスのみでした(完全に同じ地域ではない)
サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏
サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏は、フランス中央部に位置する地域圏です。6つの県に分かれています。
ロワール地方のトゥーレーヌやサントル・ニヴェルネのエリアで、オルレアンがあるロワレ県や、トゥールがあるアンドル=エ=ロワール県などがあります。サンセールがあるシェール県もサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏です。
ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏
ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏は、サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏とブルターニュ地域圏の間に位置する地域圏です。5つの県に分かれています。
名前の通りロワール地方の西側がペイ・ド・ラ・ロワール地域圏です、ナントがあるロワール=アトランティック県、アンジェがあるメーヌ=エ=ロワール県があります(ロワール地方はかなりの県を跨っています)
ブルターニュ地域圏
ブルターニュ地域圏は、かつてのブルターニュ公国の領土の8割ほどで構成されている地域圏です。4つの県に分かれています。ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏の西側で、フランス最西端。
ブルターニュもワインと関係ありませんが、シードルや、そば粉のガレットは、日本でも有名ですね。
ノルマンディー地域圏
ノルマンディー地域圏は、バス=ノルマンディー地域圏とオート=ノルマンディー地域圏が統合されて出来た地域圏です。5つの県に分かれています。フランス北西部。
ノルマンディーもワイン産地はありませんが、ここもまたシードルやカルヴァドスの産地です(カルヴァドスは県名でもありますね。別の県でも造れますが)
加えて、カマンベールやポン・レヴェックと言った超有名どころのチーズを産する地域圏です(どちらのチーズもコミューン名でもある)チーズだけではなく乳製品が美味しい地域です(フランス南部の牛乳はイマイチな場合が多い)
ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏
ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏は、アキテーヌ地域圏、リムーザン地域圏、ポワトゥー=シャラント地域圏が統合されて出来た地域圏です。12に県に分かれています。
ワイン産地で言うとボルドーと南西地方(大西洋側、スペイン国境まで)ですね。
ボルドーはジロンド県、南西地方はオクシタニー地域圏と合わせてかなり多くの県を跨っています。
オクシタニー地域圏
オクシタニー地域圏は、ラングドック=ルシヨン地域圏とミディ=ピレネー地域圏が統合されて出来た地域圏です。
モンペリエを中心としたエロー県、カルカッソンヌ周辺のオード県、ニーム周辺のガール県(コート・デュ・ローヌとラングドックに跨る)、ルーション地方のペルピニャンがあるピレネー=オリエンタル県、南西地方のトゥールーズがあるオート=ガロンヌ県、カオールのロット県などがあります。
オクシタニー地域圏は、ワイン産地のラングドック地方、ルーション地方、南西地方の東部、コート・デュ・ローヌ南部の一部を含む地域で、このエリアのワインを合わせて考える見方も面白いと思います。
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏は、フランス南東部、イタリアと国境を接するところに位置する地域圏です。6つの県に分かれています。
マルセイユがあるブーシュ=デュ=ローヌ県、ニースがあるアルプ=マリティーム県、トゥーロン周辺のヴァール県、そしてアヴィニョンがあるヴォクリューズ県があります。
ヴォクリューズ県はワイン産地としてはコート・デュ・ローヌ地方です(シャトーヌフ・デュ・パプなど)なのでワイン産地として考えるとローヌのところに書いてありますが、旅行誌などは行政区分で書いてあるのでプロヴァンスの項に書かれていたりします。
コルス地方公共団体
コルス地方公共団体はコルシカ島全体を包括する地域圏です。
海外地域圏
グアドループとマルティニークはカリブ海、西インド諸島に浮かぶ島です(グアドループは小さな島の集まり)マルティニーク島のラムは有名で、働くお店でも使っています。
ギュイヤンヌ・フランセーズ(フランス領ギアナ)は、南アフリカ北東部、ブラジルやスリナムに隣接した地域圏です。
マヨットは、アフリカ大陸南東のコモロ諸島に属する島の1つです。
レユニオンは、マダガスカル島の東に位置する島です。元々はブルボン島という名前で、コーヒーのブルボン種の原産地でもあります。レユニオン島のブルボン種はほぼ絶滅していますが、近年、ブルボン・ポワントゥ(ラウリーナ)として希少ではありますが復活しつつあります。