ブルゴーニュ〜Bourgogne〜

ピュリニー・モンラッシェのワインの特徴

ピュリニーモンラッシェ

ピュリニー・モンラッシェ〜Puligny-Montrachet〜

ピュリニー・モンラッシェは、北はムルソー、南はシャサーニュ・モンラッシェ、西はサン・トーバンに囲まれた、白ワインの銘醸地が集まるエリアの中心に位置する村です。

ピュリニー・モンラッシェは、ブルゴーニュの中では一番水を感じる地域だと思います。透明感のあるみずみずしさ。すっとまっすぐ伸びていく整った形。キリッとしつつも硬さがないのがピュリニーです。非常にストレスのない味です。

品格という点ではブルゴーニュの白の産地では圧倒的で、ムルソーもシャサーニュ・モンラッシェもかなわないと思います(コルトンも)

ピュリニー・モンラッシェで生産されるワインはほぼ白ワインですが、少量の赤ワインも造られています。

もともとはピュリニー村でしたが、19c末にピュリニー・モンラッシェに村名が変更されています。

ピュリニー・モンラッシェの斜面上部には、ムルソーに跨る形でブラニーのエリアもあります。村までいかない小さな集落です。ブラニィで白ワインを造るとピュリニー・モンラッシェを名乗ることが出来ます(ムルソーのエリアならムルソーまたはムルソー・ブラニィ)赤ワインの場合のみブラニィのアペラシオンとなります。

ピュリニー・モンラッシェの畑は全体的に東南方向を向いた斜面で、グランクリュが圧倒的とはいえ、村名格からしっとりとした質の高いワインが多いです。

ブルゴーニュピュリニーモンラッシェエティエンヌソゼ

ピュリニー・モンラッシェのグランクリュ

モンラッシェ〜Montrachet〜

モンラッシェ

全体的に品位の高いピュリニー・モンラッシェですが、中でもグランクリュのモンラッシェは圧巻です。モンラッシェはシャサーニュ ・モンラッシェ村にも区画がありますが、ピュリニー側の方が品位があります。最も大きな広がりを感じるワインです。

モンラッシェは石灰岩と泥灰岩が重なった土壌です。

モンラッシェは「禿げた山」という意味ですが、石灰が強く、植物ががほとんど育たない土地のため付いた名前と言われています。

13cにはモンラッシェのぶどうのことを記した文献が書かれているようですが、それ以前は石切場でした。

モンラッシェが今のような名声を得るようになったのは18cになってからです。1855年のラヴァル博士の格付けではテッド・ド・キュヴェ・エクストラという最高位の格付けを唯一得ています(ロマネ・コンティやシャンベルタンより、上の格付けです)

三銃士で有名な文豪アレクサンドル・デュマが、「脱帽し、跪いて飲むべし」とシャンベルタンを讃えて話も良く知られていますね(デュマは1802〜1870まで生きた方です)

ピュリニー側のモンラッシェの最大所有者はマルキ・ド・ラギッシュです。モンラッシェの北端のエリアを保有しています。実際にワインを造っているのはジョセフ・ドルーアンです。

バタール・モンラッシェ〜Batard-Montrachet〜

モンラッシェと同様にバタール・モンラッシェもピュリニー、シャサーニュ両村にまたがって広がるグランクリュです。他のグランクリュと比べると重ためで太い芯があります。

バタールは、庶子(私生児)を意味した言葉です。

エティエンヌ・ソゼのバタール・モンラッシェの区画はモンラッシェのすぐ下に位置する区画です。

シュヴァリエ・モンラッシェ〜Chevalier-Montrachet〜

シュヴァリエモンラッシェ05

シュヴァリエ・モンラッシェはピュリニー側のみのグランクリュで、評価としてはモンラッシェの次に位置するワインです。

シュヴァリエ・モンラッシェはモンラッシェの斜面上部に隣接しています。表土は白っぽく石灰の強い土壌で、他のグランクリュと比べて硬質な印象を受けます。バタール・モンラッシェよりももっと細めの芯があり、重たくありません。

シュヴァリエ・モンラッシェの評価が圧倒的に高いのはドメーヌ・ルフレーヴです。ドメーヌ・ルフレーヴを代表するグランクリュであり、ビオディナミのワインの魅力を堪能出来るワインでもあります。

シュヴァリエ・モンラッシェは、プルミエクリュのカイユレの一部もシュヴァリエ・モンラッシェと認められたことで、飛び地のようになっています。

飛び地を抜かした北端にはシュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドゥモワゼルという有名な区画があります(下部はプルミエクリュのレ・ドゥモワゼル。プルミエクリュの項目でも触れます)シュヴァリエ・モンラッシェ・ドゥモワゼルはもともとはグランクリュ区画ではなく1939年にシュヴァリエ・モンラッシェとして認められた区画です。

シュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドゥモワゼルの所有者は有名なルイ・ラトゥールとルイ・ジャドです。

シュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドゥモワゼルの南側は、もともとのシュヴァリエ・モンラッシェの北端でクロ・デ・シュヴァリエ〜Clos des Chevaliers〜という区画です。

以前はモンラッシェとして管理されていたブシャールがもっているシュヴァリエ・モンラッシェ・ラ・カボットという区画もあります。シュヴァリエ・モンラッシェの南端の下部に位置していて、その下もブシャールのモンラッシェの区画となっています。

ビアンヴィニュ・バタール・モンラッシェ(ビアンビニュ・バタール・モンラッシェ)〜Bienvenues-Batard-Montrachet

ビアンヴィニュ・バタール・モンラッシェもピュリニーのみのグランクリュです。バタール・モンラッシェのピュリニー側の隅にある区画のようにも思えますが、味わいはバタールとは結構違います。

ビアンヴィニュ・バタール・モンラッシェはより凝縮度がありミネラル豊かです。

ビアンヴィニュは「ようこそ」みたいな意味。不思議な名前です。

ピュリニー・モンラッシェのプルミエクリュ

ピュリニー・モンラッシェは目を奪われがちなグランクリュが揃っていますが、プルミエクリュもそれぞれ個性があって素晴らしいです。

ピュリニー・モンラッシェには17のプルミエクリュがあります。

ピュリニー・モンラッシェのプルミエクリュ(17)
  • レ・シャルモー〜Les Chalumaux〜
  • シャン・カネ〜Champ Canet〜
  • レ・コンベット〜Les Combettes〜
  • レ・ルフェール〜Les Referts〜
  • ラ・トリュフィエール〜La Truffière〜
  • クロ・ド・ラ・ガレンヌ〜Clos de la Garenne〜
  • レ・ペリエール〜Les Perrières〜
  • クロ・ド・ラ・ムシェール〜Clos de la Mouchère〜
  • シャン・ガン〜Champ Gain〜
  • レ・フォラティエール〜Les Folatières〜
  • クラヴァイヨン〜Clavaillon〜
  • ル・カイユレ〜Le Cailleret〜
  • レ・ドゥモワゼル〜Les Demoiselles〜
  • レ・ピュセル〜Les Pucelles〜
  • スー・ル・ピュイ〜Sous le Puits〜
  • ラ・ガレンヌ〜La Garenne〜
  • アモー・ド・ブラニィ〜Hameau de Blagny〜

レ・シャルモー〜Les Chalumaux〜

レ・シャルモーはムルソーやブラニィと隣接した上部の畑で、レ・シャルモーの区画とスー・ル・クルティル〜Sous Le Courthil~の区画に分かれています(一部、村名区画もあります)

レ・コンベット〜Les Combettes〜

ブルゴーニュピュリニーモンラッシェコンベット09エティエンヌソゼ

ムルソーのレ・シャルム・ドゥシュに隣接するレ・コンベット。しっとりしつつも中心は芯がありガッチリ。

レ・ルフェール〜Les Referts〜

ピュリニー1erレフェールマルクモレ

ムルソー側の斜面下部に位置するレ・ルフェール。レ・コンベットの下部です。ムルソー・レ・シャルム・デュスに隣接しています。どっしりして厚みがある。安定感。レ・ピュセルと似た部分があるが、もう少し粗々しい印象。

ラ・トリュフィエール〜La Truffière〜

ラ・トリュフィエールは斜面上部のブラニィのエリアに隣接した畑です。細やか、ミネラリー。品の良さ。

クロ・ド・ラ・ガレンヌ〜Clos de la Garenne〜

ピュリニー1erクロドラガレンヌ15ルイジャド

レ・フォラティエールの北東方向(ムルソー側)に隣接するクロ・ド・ラ・ガレンヌ。斜面上部らしい抜けの良さ。涼しい畑。酸は強いがかっちりしつつもしつこさはない。

レ・ペリエール〜Les Perrières〜、クロ・ド・ラ・ムシェール〜Clos de la Mouchère〜

クロ・ド・ラ・ガレンヌの下部(ほんの一部しか隣接してないですが)、レ・ルフェールと隣接するレ・ペリエール。安定感。横幅。レ・ペリエールの中にはクロ・ド・ラ・ムシェールの区画もあります(アンリ・ボワイヨのモノポール)レ・ルフェールと隣接している部分がクロ・ド・ラ・ムシェールです。

レ・フォラティエール〜Les Folatières〜

ピュリニー1erレフォラティエール15ドメーヌローラン

ピュリニー・モンラッシェのグランクリュ、プルミエクリュ群の中央上部に位置るすレ・フォラティエール。大きな畑で畑で。最も大きなエズ・フォラティエール〜Ez Folatieres〜の区画と、他にアン・ラ・リシャルド〜En la Richarde〜、ポー・ボワ〜Peux Bois〜、オー・シャニオ〜Au Chaniot〜の区画があります。

アン・ラ・リシャルドと言えばドメーヌ・ドーヴネイを思い浮かべます。客土したため村名に格下げされていますが、多くのプルミエクリュより素晴らしい出来。

レ・フォラティエールは全体的に、滑らかなピュリニー・モンラッシェの中でも滑らかさが際立つ畑。するりと抜けていく。軽やか。

ル・カイユレ〜Le Cailleret〜、レ・ドゥモワゼル〜Les Demoiselles〜

モンラッシェの北部に隣接するプルミエクリュのル・カイユレ。実際はその間にレ・ドゥモワゼルがあります。モンラッシェから連続した同じ土壌です。レ・ドゥモワゼルの上部はシュヴァリエ・モンラッシェの区画の一つ、シュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドゥモワゼルです。

レ・ドゥモワゼルはグランクリュ(シュヴァリエ・モンラッシェ)とプルミエクリュ(ル・カイユレ)に跨った畑と言えます。ドゥモワゼルは二人娘の意味です。シュヴァリエ・モンラッシェから少し離れた飛び地もグランクリュとして認められています。

このシュヴァリエ・モンラッシェの飛び地もル・カイユレに隣接していて区画名もプルミエクリュ同様ル・カイユレです。その周りにもぶどうは植えられているようですが、A.O.C.を名乗れない区画となっています。

レ・ドゥモワゼルは、グランクリュ区画が良いのは当然として、プルミエクリュのレ・ドゥモワゼルもかなり素晴らしい畑です。スケールの大きさ、形の整い。まっすぐ芯があり、泥灰岩らしい高密度でキメの細かさが魅力です。凝縮して引き締まった酸。芯の強さがあります。プルミエクリュの中では最もグランクリュっぽい味わいの畑だと思います(通常のル・カイユレより一段上の味)

レ・ピュセル〜Les Pucelles〜

ブルゴーニュピュリニーモンラッシェレピュセル

レ・ピュセルは、斜面下のほぼ平地の畑です。バタール・モンラッシェやビアンビニュ・バタール・モンラッシェと隣接しています。まろやかでどっしり。繊細な感じではなくピュリニーのプルミエクリュの中ではざっくりとした個性で厚みがあります。暖かい畑。

ピュリニー・モンラッシェの代表的な造り手

  • ドメーヌ・ルフレーヴ〜Domaine Leflaive〜
  • エティエンヌ・ソゼ〜Etienne Sauzet〜
  • フランソワ・カリヨンFrancois Carillon〜
  • ジャン・ルイ・シャヴィ〜Jean Louis Chavy〜
  • ドメーヌ・ジャン・シャルトロン〜Domaine Jean Chartron〜

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