コルビエール〜Corbières〜
カルカッソンヌからナルボンヌにかけて広がる広大なアペラシオンがコルビエールです。ミネルヴォワの南側に位置します(カルカッソンヌからナルボンヌにかけての北側がミネルヴォワ、南側がコルビエール)
コルビエールの土壌
87の村がコルビエールを名乗ることができます。ラングドックの中でも最も大きなエリア。山側から海側まで広がり、土壌も多様ですが、全体として非常に乾燥していて、ラングドックの中でも特に雨が少なく、粘土の多い土壌。優しい味わいでこじんまりとしたワインが生まれます。スケールは大きくありません。
コルビエールのぶどう品種
コルビエールは、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインとありますが、ほぼ赤ワインの産地です。
赤ワインはカリニャン、グルナッシュ、ムールヴェードル、シラーを主体としたワインを生産しています。
シャトー・ラ・バロンヌはコルビエールでナチュラルなワインを造る生産者です。カルカッソンヌとナルボンヌの丁度中間あたりに位置するムーやフォンクベルトに畑はあります。
地中海からの暖かい風はアラリック山を越える時に 冷やされ、その冷たい風が畑の気温を下げます。アリラック山の石灰岩は柔らかく水分を蓄えるのも特徴です。
ビオディナミの生産者ですが、使用しているアンフォラはその土地の粘土で造られたもので、きとんとしたビオディナミの思想を実践していることがわかります(その土地と関係のないアンフォラをただ使うだけの造り手は多い)
紹介している赤ワインのコルビエール・レ・シュマンも良いですが、同じエリアのレ・シュマン・ブランもとてもおすすめです。
コルビエール・ブートナック〜 Corbières Boutenac〜
コルビエールの中心地あたりに位置するブートナック村を中心とした10の村で認められているアペラシオンがコルビエール・ブートナックです。
コルビエール・ブートナックの土壌
土壌は中新世のモラス。珪岩の砂利が多く、表土が厚い土地です。厚みがあって、硬さがないワインが生まれます。柔らかくて濃くてフルーティです。
コルビエール・ブートナックは、ラングドックの中でも特に優れたクリュ・デュ・ラングドックに認められています。
コルビエール・ブートナックのぶどう品種
ぶどう品種はグルナッシュ、ムールヴェードル主体にカリニャンやシラーをブレンド出来る規定ですが、補助品種であるカリニャンの作付け比率が30〜50%と決まっていて、実質カリニャンのワインです。実際、カリニャンが美味しい土地だと思います。
他の土地のカリニャンだと荒々しいものも多いですが、コルビエール・ブートナックのカリニャンはなめらかです(土壌の滑らかさとカリニャンのワイルドさが拮抗した味わい。良いとこどりで丁度良い)
珍しい自根のカリニャンが生き残っているのもコルビエール・ブートナックの特徴です。
コルビエール・ブートナックは、コルビエールを外してブートナックというアペラシオンに変わることになっています。
どうしてもコルビエールという名前のイメージに引っ張られてしまいますから、方向性の違うコルビエール・ブートナックがブートナックに変更になるのは良い方向かもしれません。
コルビエール・ブートナックの中でもとても古いワイナリーであるドメーヌ・デュ・ヴィルマジュー。ジェラール・ベルトランが所有するワイナリーの1つです。同じくブートナックのラ・フォルジュが高価ながら素晴らしいですが、ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー・コルビエール・ブートナックも、お手頃ながらブートナックらしさはしっかりと感じられます。
ラングドック地方のワイン産地⑤、カバルデスの記事はこちらからどうぞ。