コンドリュー〜Condrieu〜
コンドリューはコート・ロティの南に広がるワイン産地で、赤ワインのコート・ロティから一転してヴィオニエを使用した白ワインのみの産地です。
コンドリューのぶどう品種
先に書いたようにコンドリューはヴィオニエ100%の白ワインのみを造る産地です。ヴィオニエは南仏でも見かけますが、クオリティとしては圧倒的にコンドリューが優れているように思います。
ヴィオニエは栽培が難しい品種ですが、他の品種にはない独特な個性があり、代替できません。アロマティックな香りがフォーカスされがちですが、香りだけが強いバランスの悪い表層的なワインも多いのでしっかり質の高いものを選ばないといけません。
コンドリューの土壌
コンドリューは花崗岩の土壌ですが、表土にはアルゼイユと呼ばれる砂状の雲母に覆われています。
コンドリューはしっかりとした構造があり、さらっとはせずに重み、トロミがあります。味わい自体は重くても香りが強く上昇性があるので、重苦しくありません。酸は低く、アルコールが高くボリュームのあるワイン。タンニンをしっかりと感じるワインが多いです。
構造がしっかりして、タンニンもありつつ、柔らかさも兼ね備えているのがコンドリューです。エキゾチックな香り、アプリコットのニュアンスもあります。
コンドリューの生産地域
コンドリューは今でこそエリアが広くなっていますが、20c前半はコンドリュー村のみに認められていました。今ではコンドリュー村に加えて、ヴェラン村、サン・ミッシェル・シュル・ローヌ村、ヴェルリュー村、シャヴァネ村、リモニー村などもコンドリューの生産村として認められています。
エリアが広くなっても質は高いですが(あまりよくないハリボテみたいなのもある)、コンドリュー村のコンドリューは基本として抑えておきたいところです。
他にはサン・ミッシェル・シュル・ローヌ村のポンサンの区画なども上質のワインを生む畑として知られています。
ドメーヌ・ジョルジュ・ヴェルネ・コトー・デュ・ヴェルノンはコンドリュー村のワインです。
シャプティエのコンドリューはナチュラルでクリアでエネルギー感があってとてもいいです。ミネラル感も強いです。
クロ・ド・ラ・ボネットのコンドリューも魅力的です。コンドリュー・レジェンド・ボネッタは樹齢の古いぶどうを使ったトップキュヴェです。若木のぶどうを使ったコンドリュー・ロッシュ・ダルビエルの方が個人的には好感が持てますが、コンドリュー・レジェンド・ボネッタも美味しいです。
コンドリュー・レジェンド・ボネッタは、コート・ボネットという森に囲まれた60年間荒廃していたエリアの畑。ナチュラルな栽培で、硫黄と銅、プレパラシオン以外は使用されたことがないのだとか。
フランソワ・ヴィラールのコンドリューはサン・ミッシェル・シュル・ローヌ村のポンサンの区画のワインです。シャトー・グリエも近い場所。
コンドリューは甘口もありそちらもお勧めです。イヴ・キュイロンのコンドリュー・エゲです。貴腐ぶどうと遅摘みのぶどうを使用しています。
シャトー・グリエ〜Chateau-Grillet〜
生産者が一人のみで、生産者の名前がそのままアペラシオンになっているユニークなワインがシャトー・グリエです。コンドリューの内にあり、ぶどう品種も同様にヴィオニエです。現在はビオディナミを行なっています(現在のオーナーはシャトー・ラトゥールと同じですね。シャトー・ラトゥールもビオディナミです)シャトー・グリエは焦げた城の意味です。
サン・ミッシェル・シュル・ローヌ村とヴェラン村にまたがる畑で、コート・デュ・ローヌ地方では唯一のモノポールです。1936年A.O.C認定と最初期です。もともとはコンドリューとシャトー・グリエは離れていたということですね。
コンドリューと同じく花崗岩土壌ですが(黒雲母)、価格はコンドリューのどのワインより圧倒的に高いです。フランスを代表する白ワインの1つと言われていますが、量も少なくほとんど見かけないワインです。クオリティが高いとは言え、パフォーマンスで考えるとコンドリューの方が良い気はしますが、一度は飲んでみたいワインです。
シャトー・グリエの品質に満たないぶどうで造られたポンサンというワインもあります(それでもかなり高価)アペラシオン的にはコート・デュ・ローヌです。ちょっと曖昧ですが、広い意味でフランソワヴィラールのドポンサンもシャトー・グリエもポンサンというエリアなのだと思います。すぐそばのようですし(区画は違うが同じエリア)
コート・デュ・ローヌのワイン産地③、サン・ジョセフの記事はこちらからどうぞ。