アルザスの火山性土壌のグランクリュ
アルザス・グランクリュは様々な土壌のものがあるのが楽しい部分ですが、その中でも最もアルザスらしいのは火山性土壌のワインだと思います。
火山性土壌=その名前の通り、火山活動によって造られた土壌ですが、基本的に火成岩のことを示していますが、ワインの世界ではよく使われる言葉です。ほぼ火成岩と言った土壌はアルザスには実は少なく、火成岩の味プラス他の要素で味は決まります。
火成岩は火山がすぐに固まった火山岩と、火山がゆっくりと固まった深成岩に分かれます。
火山性土壌と言うと、結構な割合で火山岩のことだけを指しているケースも多いですが、深成岩も当然火山性土壌です。
火山岩は安山岩や玄武岩、流紋岩がよく知られていますね。深成岩は斑れい岩、閃緑岩、花崗岩などがあります。
火山岩の種類に関してはほとんど語られることがないのが現状です。フランスには玄武岩や流紋岩の地域がわずかながらあるのは知っていますが、アルザスの土壌が何かは不明です。
深成岩は花崗岩しか見かけないですね。他の岩もあると思いますがどこにあるかは知りません。アルザスの土壌の基本が花崗岩と言えます。
なのでここではアルザス・グランクリュの中で花崗岩のワインと、火山岩(何かは不明)のワインを紹介していきます。
花崗岩土壌
花崗岩の土壌から出来るワインはふんわり軽やかで、ゆっくり上に伸びていきます。
リースリングに最適な土壌ですが、中には花崗岩土壌の素晴らしいゲヴェルツトラミネールやピノグリもあります。
グランクリュではない花崗岩土壌では、ゲヴェルツトラミネールやピノグリは腰のない弱々しいワインになりがちですが(その中にも良いものもありますが)、グランクリュだとそうなりません。
花崗岩の土壌のグランクリュは、ヴィンツェンベルグ、フランクシュタイン、シュロスベルグ、ヴィネック・シュロスベルグ、ブランド(ブラント)があります。
花崗岩土壌のグランクリュはどれもおすすめですが、代表と言うとシュロスベルグとブランドですね。
ただシュロスベルグは、花崗岩だけではなく、ミグマタイトですから性格的には花崗岩ぽくありません。緊張感があって、花崗岩のグランクリュの中で一番グランクリュ的な味わいだと思います。
花崗岩らしくて質が高いのはブランドですね。ブランドもシュロスベルグ同様、日本でも人気のグランクリュですが、それも当然の質の高さです。非常に暑いリューディ。
ヴィネック・シュロスベルグはシュロスベルグやブランドと比べると少し控えめな味わい。落ち着き、品の良さ、派手さのない安定感。
フランクシュタインは、花崗岩のグランクリュの中でヴィンツェンベルグと並んで最も北ですが、とてもゆるい性格。
北のエリアの方が冷涼で引き締まりそうですが、ゆるく芯がないワインになります。土壌がとても軽いのだと思います。これはこれでとても良い。ただシュロスベルグ やブランドを想像して飲むと違和感を感じてしまうかもしれません。
他にもケフェルコフやシュタイングルーブラーにも花崗岩があります(花崗岩だけではない)
ケフェルコフは石灰岩の区画もありますが、2つの土壌をブレンドしても柔らかいです。表土の厚い土壌らしい味わい。しなやかさは花崗岩のみのグランクリュに劣る印象です。
シュタイングルーブラーは様々な土壌が入り組んだ複雑なリューディ。他にはないユニークさ。少し捉え所がないとはいえ、個人的にはかなり気に入っています。花崗岩もありますが石灰岩がメインで、そんなに花崗岩ぽくはありません。
火山岩土壌
火山岩の土壌のグランクリュは、ムエンチベルグ(ムエンシュベルグ)、キッテルレ、ランゲンがあります。
特に有名なのはランゲンで、次いでキッテルレも知名度が高いですね。ムエンチベルグはあまり聞きません(ですが火山性ぽいのはムエンチベルグ)
火山岩の土壌は深成岩の土壌のワインよりも力強く、骨格もしっかりとあります。上向きのエネルギー感が強いです。ただ石灰岩のような引き締まりや酸の強さはないですね。
ランゲンは特に力強さ、エネルギー感の強いグランクリュです。太くまっすぐ整った形と安定感。火山性の上昇感より大地に根を張るエネルギーを感じます(ランゲンは火山岩だけではない)シュロスベルグほどの緊張感はなく、より太い印象です。
キッテルレはランゲンと比べると繊細。それでいてもちろん力強さがあります。しなやさか。
ムエンチベルグは火山灰もあり(凝灰岩)、ふわっとした雰囲気。上昇力があって抜けが良いです。どっしり感とか安定感はありません。ふわさらっという印象。
ムエンチベルグはMuenchbergと書きますが、Moenchbergという別のグランクリュもあるので注意が必要です。