ヴァン・ド・コルス〜Vin de Corse〜
コルシカ島ほぼ全土を網羅するアペラシオンであるヴァン・ド・コルス。その中でも5つの地理的名称付きアペラシオンがあり、それぞれ特徴があります。
地理的名称は島の北部、西部、南部の地域にあり、実質、地理的名称が付かないヴァン・ド・コルスは島の東部のワインです。
地理的名称付きアペラシオンの一つはヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルスで、ミュスカ・デュ・カップ・コルスの紹介記事に既に載せてあります。ここでは残り4つの地位的名称付きヴァン・ド・コルスを紹介していきます。
全体としては赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められていて、赤ワインとロゼワインはグルナッシュ、ニエルキオ、シャッカレッロ主体、アレアティコ、バルバロッサ、カルカジョーロ、モラステルにシラー、サンソー、カリニャン、ムールヴェードル、ヴェルメンティーノが使用可能です、
白ワインはヴェルメンティーノ主体で、ユニブラン、ビアンコ・ジェンティユ、コディヴァルタ、ジェノヴェーゼが使用可能です。
地理的名称付きアペラシオンの品種規定は基本的に同じで、コトー ・デュ・カップ・コルスだけ少しだけ違いますが大枠は同じです。
ヴァン・ド・コルス・フィガリ〜Vin de Corse Figari〜
コルシカ島の最南端にあるフィガリ、モナシア・ドレーヌ、ピアノットリ・カルダレッロの3つの村に認められた地理的名称。コルス・フィガリとも呼び、そちらの方が良く使われます。
コルス・フィガリは、コルシカ島の中でも南ですので特に暑いですが、フィガリ湾から強い風が吹き、暑さを和らげます。雨が少なく日照量が多いのでアルコールの高いパワフルなワインが生まれます
南国的でタンニンも強く、がっつりしたワインですが、風が強いエリアだからか、不思議と重苦しくないです。
土壌は花崗岩と花崗岩の砂です。
コルス・フィガリは赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められています。規定はヴァン・ド・コルスと同じですが、赤ワインはシャッカレッロの比率が高いです。
コルス・フィガリでお勧めの造り手はドメーヌ・ド・ラ・ムルタです。とてもナチュラルな造りのワインです。ドメーヌ・ド・ラ・ムルタの赤ワインはカルカジョーロ・ネーロ主体にシャッカレッロ、ニエルキオ、そして白ぶどうのヴェルメンティーノの混植混醸です。複雑でいて軽やかなワイン。まっすぐ芯のある少し緊張感のある味わいです。深みがあるが重くなく、表面は滑らかと言った感じではなく、適度な引っかかりがあります。
ヴァン・ド・コルス・ポルト・ヴェッキオ〜Vin de Corse Porto Vecchio〜
コルシカ島の南東部、ポルト・ヴェッキオを含む8の村に認められた地理的名称。ポルト・ヴェッキオはコルシカ島の中でも大きな街です。コルス・ポルト・ヴェッキオとも言います。
ポルト・ヴェッキオはコルス・フィガリの北側に位置します。雨が非常に少なく暑くて乾燥したエリアです。
土壌は東部ですが花崗岩です。コルス・フィガリもそうですが、南東部(というか東側)はなだらかな地形です。
赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められています。規定はヴァン・ド・コルスと同じですが、赤ワインはニエルキオの割合が高いように思います。
ポルト・ヴェッキオは力強くガチッとしたワインが生まれます。タンニンもしっかり。品種の問題もありますが、コルス・フィガリよりさらに力強い傾向にあります。
ポルト・ヴェッキオではドメーヌ・ド・グラナイオーロがお勧めです。70年代の創業時からずっとナチュラルな栽培です。ドメーヌ・ド・グラナイオーロの赤ワインはニエルキオ、シャッカレッロ、ミニュステッロと品種ごとのワインを造っています。磁場品種であるミニュステッロはどっしりゆっくりした個性です。
白ワインも素晴らしく、トップキュヴェのLe Jブランは飲んだことがありませんが、スタンダードな白ワイン、キュヴェ・モニカ・ブランも美味しいです。ヴェルメンティーノ100%のワインで南国フルーツのニュアンスで強い旨味があります。
ヴァン・ド・コルス・サルテーヌ〜Vin de Corse Sartène〜
ヴァン・ド・コルス・サルテーヌは、コルシカ島の南西部、サルテーヌ村を中心とした16の村に認められた地理的名称です。アジャクシオと隣接(アジャクシオのタルヴォ川を挟んで南側、オルトロ渓谷とティザーノ地域にぶどう畑は広がる)コルス・サルテーヌとも言います。
コルス・サルテーヌは、ふんわりとした明るく楽に飲めるワインです。風が吹き乾燥していますが、海に近くしっとり感とドライさのバランスが良いです。厚みがありゆったりしたワイン。
土壌は花崗岩、風化した花崗岩の砂です。
赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められています。規定はヴァン・ド・コルスと同じです。赤ワインはシャッカレッロ比率が高いですが、ニエルキオ、グルナッシュとのバランスが良いワインが多いです。
コルス・サルテーヌはドメーヌ・ペロ・ロンゴがお勧めです。コルス・サルテーヌ・エキリブルは、先に書いたように、シャッカレッロ、ニエルキオ、グルナッシュのブレンドでとてもバランスが取れています。柔らかく大きな味わい。
ヴァン・ド・コルス・カルヴィ〜Vin de Corse Calvi〜
ヴァン・ド・コルス・カルヴィは、コルシカ島北東部、カルヴィを中心としたバラーニュ地方の32の村に認められた地理的名称です。コルス・カルヴィとも言います。
コルス・カルヴィは、風はあるが割と穏やかな気候。山の麓の標高が高い場所に畑はあり、穏やかな気候ながらカチッとしたワインが生まれます。
土壌は花崗岩です。シストもあります。
赤ワイン、ロゼワイン、白ワインが認められています。規定はヴァン・ド・コルスと同じです。コルス・カルヴィもニエルキオの比率が高めです。
クロ・クロンビュはコルス・カルヴィのエリアの海に近いリュミオ村の造り手です。ビオロジック栽培。クロ・クロンビュ・コルス・カルヴィ・ルージュは、ニエルキオではなくシャッカレッロ主体にミニュステッロとカルカジョーロ・ネーロをアッサンブラージュしたワインです。スムースでまろやかなタンニンが魅力です。